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【エスノグラフィーの事例】一人暮らしの食卓のエスノグラフィー①

SEEDATAアナリストであり、大学時代はエスノグラフィーを専攻していた宮下さん。しかし、学生時代に行った「一人暮らしの食食卓」のエスノグラフィー調査では、まったく成果が得られなかったそうです。ところが、SEEDATAに入社後、あらためてジョブ分析を行うことで、大学生の特殊とも思われる行動から新たな示唆を得ることができたといいます。

ビジネスエスノグラフィーでもっとも難しいのは人の家にあがること

宮下(以下:宮)「大学時代3年のときに、実際に某企業とエスノグラフィーのプロジェクトをやることになりました。ビジネスでエスノグラフィーを行ううえでもっとも難しいのは人の家にあがることなんです。さらに、あがることはできても、調査対象者のありのままの生活を見ることは難しいんですよね。

そのことを企業の人々もみんな分かっていたので、「大学生だからこそ見えるものってなんだろう?」となったときに、大学生の生活を見てみようと。僕らの周りは1人暮らしをしている大学生が多かったので、一人暮らしの大学生がどんな食生活をしているかを観察しようということになり、実際に知り合いの食事風景を見させてもらうことになりました」

-大学生同士であれば、自然な形で家に入り自然に観察することができますね。

「僕が観察させてもらったのは、大阪から上京して一人暮らししている友だちの家でした。バイト終わりで「晩飯何喰うの?」と聞いたら、カット野菜の袋を開けて、いきなりその中にドレッシングをドバっとかけて、皿に出さずに食べ出したんです。彼はほかにも基本、食器を使わず、タッパーを皿代わりにしていて、うどんを茹でてその中に明太子を入れて混ぜて食べたり、うどん食べたその容器に、さらにご飯を入れたりしていましたね」

-たしかに合理的といえば合理的ですが……。

「とくにカット野菜を袋のまま容器代わりにして食べるという行動については、かなり特殊でおもしろいと思ったんですが、そこに分析的視線を持てず、当時は「特殊な行動なんじゃないか」だけで終わってしまったんです。企業側も「こういう行動はおもしろいね」だけでとくにフィードバックもなくて」

-当時は特異な行動を見つけたけれど、それ以上の分析ができなかったと。

「当時、単純に一人暮らしの家に行けば、いろいろ面白いことが出てくるだろうと思っていたんですが、僕自身、そもそも何を見るべきかという着眼点がまったく分からなかったんですよね。

学問としてのエスノグラフィーでは、仮説を持ってフィールドに入らないというのが基本で、現場を見て、その場で何が行われていたかをありのまま記述するんですが、当時の僕は何を描写していいかまったく分からなかったので、とにかく書きまくりました。でも、ビジネスの的に分析する視点がないから、何を描写していいかがわからなくて。

それで「エスノグラフィーをしても、実際に企業の商品開発にいかせるヒントってないな」と思ったんですが、もっと実践して証明したくてSEEDATAに入ったんですよね」

-実際に成果はみえなかったけれど、宮下さんはエスノグラフィーに可能性を感じていたんですね。

「SEEDATAに入るまで、皿を使わないという話は、「料理をしたくないから」「皿洗いたくないから」「すぐ食べられるから」、だからドレッシングを直接入れる、という時短文脈での話でしかないとずっと思っていたんです。でも、それなら世の中すべてパッケージというものはあるわけで、時短に対して新たに価値提供するパッケージを作る必要はないですよね。

それをSEEDATAに入ってから、あらためてジョブ理論的アプローチでこのエスノグラフィー調査を分析してみたんです」

-SEEDATAエスノグラフィーの特徴ともいえるジョブ分析ですね。

「料理をするのが面倒くさい」とか「片付けるのが面倒くさい」という表層的な意識から、ジョブの視点を持ってコンテクストを読み解いていくと、日々疲れている中で、食事に付随することで、もっとも嫌なのは、「片付けること」のほうなんです。

その中でも、掃除を徹底できないことで、排水溝とかが汚くなって、悪臭がでることが嫌なんです。それは単に片付けることより、もう少し深い部分で、その先に起こってしまう現象(悪臭が発生する)がすごく嫌なんですね」

-排水溝は夏場だと1日でもゴミを放置すると臭くなってしまいますもんね。

「でも、日々の生活の中で排水溝まで毎日掃除するってなかなかできないですよね。とくに大学生って極端に家にいる時間が短いので、1日の汚れであっても3日くらい放置することはざらにあるし、疲れていることで掃除っておろそかになりがちで、一回あたりに放置されて溜まるゴミの量も多くなるんです。

そう考えると、「自宅の中に嫌な匂いがこもるのが嫌で、それを事前にふせがなければならない」というジョブが浮かび上がってきました」(続)

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