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SEEDATA
公開日:2019.11.06/ 更新日:2022.08.18

D2C

今更聞けないD2C①D2CとB2C、D2CとECの関係

これまでSEEDATAブログではD2C、またはDTC(Direct-to-Consumer)、およびDNVB(Digitally Native Vertical Brand)について幾度もご紹介していますが、今回は「今更聞けない」ということで、すぐにD2Cとはなんなのか知りたいという方に、あらためてD2Cの基本について解説します。

↓これまでのDNVB、D2Cに関する記事はコチラ↓

https://seedata.jp/tag/dnvb/

↓ブランディングの観点からD2CやDNVBを解説↓

デジタル時代のブランディングとしてのD2C・DNVB

①D2CはB2Cと同じように取引形態を示す言葉

まず、昔からおなじみのBtoB(B2B)、BtoC(B2C)といった取引形態を示す言葉の類語としDtoC(D2C)は登場しました。

ちなみに、みなさんご存じだと思いますが、

B2B→Business-to-Business

B2C→Business-to-consumer

の略語です。
ほかにも最近では消費者が直接工場にオーダーメイドできるCtoF(Consumer-to-factory)や、D2Cを発展させたDNVB(Digitally Native Vertical Brand)、DWC(Direct-with-consumer)なども登場しています。D2C、DNVBとは一体どんなもので、従来の取引形態と何が違うのかをみていきましょう。


B2BやB2Cということをあらためて考えると、「誰と誰の取引か」という取引形態を表しています。B2Bは企業間、B2Cは企業がコンシューマーに商品やサービスを提供しています。ここからビジネスという言葉が抜けてDirect-to-Consumer=D2Cになったわけですが、D2CもB2Cの一貫です。

つまり、B2CとD2Cはまったく異なるものではなく、取引形態としてBusiness-to-consumerなのです。

しかし、これまでのBusiness-to-consumer、とくに製造業の場合、間に流通や小売りが入っていたため、B2Cと言いつつも、取引形態自体はB2Bでした。それが、本当にダイレクトに消費者に商品を届けていることを表しているのが、Direct-to-Consumer=D2Cなのです。

B2Cの中でも厳密に「直接届けている」ということを取り出して「Direct-to-Consumer」と表現しているのです。つまり、D2Cとは狭義では、「流通業者などの他者を介さずに製造業が自分たちで直接商品を販売し・配送手配する業態」といえるでしょう。

②D2CとECの違い

D2CはEC(ElectricCommerce)とほとんど同じと思っている人もいますが、厳密には異なります。

1.ECとは

EC(electronic commerce)とは厳密には販路の話です。たとえば、マス広告をうち、自分たちのECサイトにアクセスし買ってもらったり、コールセンターに着電して欲しい商品を聞いて発送したりすることをECと呼びます。

ECが本来示していたのは、リアルな店舗を持たない、お店に置かない、卸しを通さないで直接売るなどの流通の手段のことです。

②D2Cとは

ECに加えて、SEO対策をしてアクセスを誘導したり、SNSを使って広報・販促をしたりして、それをきっかけに消費者が購入したり、場合によってはショールームのようなものがあり、それをきっかけにオンラインで購入するようになるパターンをD2Cと呼びます。

単なる販売としてのチャネルだけでなく、原則ほかのメディアを介さず、自分たちのストーリーやブランドのベネフィットなどの情報をできるだけ直接伝えていこう(情報のチャネル)ということ、EC的なチャネル(モノを直販するチャネル)をミックスしたのがD2Cです。

典型的なD2Cのパータンはたとえば、アプリがあり、インフルエンサーがいて、インフルエンサーの情報に消費者が直接触れ、アプリやECサイトで直接購入するという形です。

情報は直接消費者に届けられるような形で、なおかつECの形がとれるのがD2Cの特徴です。

ECとD2Cは、マーケティングの世界では「どんな投資をすれば何人くらいの購入があり、何円売り上げる」というように、効率を上げ利益を追い求める、パフォーマンス・マーケティングの考え方が中心です。

ECとD2Cにももちろんブランディングもありますが、やはり良い悪いといいうことではなく、パフォーマンス・マーケティングが支配的です。

 

D2CとECの違いについて、詳しくはこちらの記事を御覧ください。

ECとD2CとDNVBの違いとは?

 

この記事の補足として、D2CとECとの違いをさらに厳密にするのであれば、「製造業が自社で企画製造した商品を直接売る」という取引形態がD2Cの特徴です。

一方、自社で作ったものでも仕入れたものでも、インターネットを介して売っていればECです。言葉の中にはD2Cも含まれる場合がありますが、ダイレクトでないものも含んでいるのがECなのです。

つまり、B2B、B2C、D2C、ECあたりを厳密にすると、製造業というのは間に卸しや小売りを挟んでいるので、実はB2B2Cだったのです。それが直接consumerに売ることが可能になったため、D2Cと呼ばれるようになったという背景を押さえておきましょう。

➂ECとD2Cの文脈の違い

さらに、D2CとECでは文脈が異なります。

EC業界はどちらかというと効率重視で中抜きの文脈でネットで販売を捉えていました。

一方D2Cは、考え方としてはブランドや顧客エクスペリエンスを大事にしたいという観点からインターネットを活用しています。

もちろん、D2Cは以前ご紹介した「哲学のチャネル」などがあることも形式的な違いですが、そもそもの持つ「価値観が異なる」という意味でも、別の言葉で表現しているのです。

中間コストを削減していることは同じでも、ECは安さや効率性の文脈がメインでしたが、D2Cは中間業者がいない分付加価値を高め、よりよい商品を作ったり、直接つながってブランド体験を高めたりすることができることを重要視しています。

D2CはECをしている人からすればECの発展形であり、製造業をしている人からすれば直接販売の発展形という風に考えると分かりやすいかもしれません。

直接販売という言葉の具体的定義は、企業において消費者に対しておこなわれている販売の形式であり、通常の流通業者システムを介さず直接消費者に対して送付するということです。

D2Cも形式としてはほぼ直接販売といえるでしょう。

➂D2Cの事例

D2Cの作り方に見る4つの方向性

D2Cの作り方には、おもに①カスタマイズ、②パーソナライズ、③ワンイシュー(シンプル) ④キュレーションという4つの方向性があります。それぞれについては以下の記事で事例とともに分かりやすく解説しています。

【D2Cの事例①】D2Cの作り方にみる4つの方向性

FABRICTOKYOに見るD2Cの立ち上げ方

FABRICTOKYOは、採寸体験に特化したリアル店舗を持ち、採寸データはクラウドに保存され、その後オンラインオーダーが可能な日本のD2Cブランドです。

以下の記事ではFABRICTOKYOが考える3つのチャネルの完全連動やFABRICTOKYOのD2Cの定義について解説しています。

【D2Cの事例②】FABRICTOKYOに見るD2Cの立ち上げ方

 

D2Cについてさらに詳しく知りたい方はこちらの記事をあわせてご覧ください。

https://seedata.jp/blog-dnvb-2211/ https://seedata.jp/blog-dnvb-2535/ https://seedata.jp/blog-information-3773/ https://seedata.jp/blog-dnvb-2591/

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