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【エスノグラフィーの事例】訪日外国人のエスノグラフィー②

前回に引き続き、SEEDATAで行った訪日外国人のエスノグラフィーから見えてきた、東京の移動体験を向上させるためのヒントについて、SEEDATAアナリストの宮下さんにお伺いします!

【エスノグラフィーの事例】訪日外国人のエスノグラフィー①

自分の位置を頭の中の地図上で確認しながら移動することが重要

前回は、訪日外国人の方がバスに乗った際、どこでも席を選べる状態で、バスの進行方向左側、後ろから3番目の席を選び、「何故そこに座ったのか?」という発見があったというお話でした。

宮下(以下:宮)「そこでジョブ分析アプローチでは、「何故彼は、その場所を雇用したのか」という分析ができるわけです。「どこにでも座れるんだからどこでもいいじゃん」と、見逃さないことが重要ですね。彼のとった行動自体は無意識なんですが、行動観察している人が見逃さず指摘することで、すごいおもしろい気付きが得られるんです。

理由は第一に、道路交通事情があって、日本って左車線ですよね。心理的背景として、今自分が正しいバスに乗ってるか確認したいという思いがあるんです。左のほうが外を確認しやすく、さらに後ろから3番目だと窓の位置が絶妙で、バス停に止まった時に、ちょうど看板が見やすいというのを事前に肌間で感じているんです」

一なるほど、日本に長年住んでいるのにまったく気が付かなかった……。

「知らない土地で、絶対迷いたくないという防衛本能みたいなものも働いているんでしょうね。

彼にはまず素の状態で動いてもらい、あとで、何故ここではこういう行動をしたのか話しを聞くんですが、「不安だったからランドマークを見ながら移動したかった」と言うんです。東京のランドマークは複数あって、Googleマップを使えば見ることはできますが、「実際に頭の中でランドマークを見ながら移動したい」と。ここからが分析の世界ですね」

一Googleマップを見るだけではダメなんでしょうか?

「心理的に自分の位置を確認しながら移動したいという点が重要です。たとえば、パリって非常に移動しやすいといわれているんですが、それは真ん中にエッフェル塔があって、そこから街が広がっていて、迷ったらそこに向かえばいいんです。

ニューヨークも碁盤の目になっていて、ブロックでどこにいるかが分かるし、大抵の都市ってそうなんですが、日本は環状になっているし、諸外国に比べ、都市の規模が大きいんです。上野新宿間で15キロくらいありますが、そんなに大きな都市ってあんまりないんですね」

一その感覚はすごくわかります。赤坂から虎の門って近いはずだけどどっちの方角だろう?って考えたりしてしまいます。

「実は自分が今いる位置とか、向いてる方角とかを確認する術がないのが東京なんです。

ここで、人は今自分がどんな位置にいて、どの方向に向かっているのか、頭の中で俯瞰的に見ながら移動するのがいちばん安心するんじゃないかという仮説が立つんです。

そう考えると、Googleマップとかも非常に使い勝手が悪くないですか?知らない土地でこっちは北とか南って言われてもわからないし(笑)」

一Googleマップ上では目的地はこっちなのに、実際自分が進んでいる方向が違って混乱してしまう現象がありますね。

「俯瞰的に見て、自分がどこにいて、どちらを向いているのか割り出せない人が地図が読めないと言われます。自分が向かいたい方向にスマートフォン上で地図を動かしますが、地図上の進行方向と、自分が実際に向いている方向が頭の中で一致するまでに非常に時間がかかってしまう。

逆にポケモンゴーはすごい歩きやすいんですよね、わかりやすい目印が街中に複数あるので、その目印を見ながら歩いていけばいいし、自分が通ってきた道に目印になるものが複数あるから、目的地と自分が向かいたい方向、向いている方向を把握しやすい。

ただ単に、行きたい方向に対して、目印になるものから自分の向いている方向を割り出したいだけなんですが、その根本的なところが今まだ解決されてないんですよね。方角を知る方法はたくさんあるので移動体験はもっと良くなるはずです。」

一とくに新宿の高層ビル群あたりは街並みが似ていて、地図を見ているのにいつも混乱してしまうんですが、私だけではなかったんですね。

「このジョブの発見から、移動体験においては、自分の位置を頭の中の地図上で確認しながら移動することが重要だということがわかりました。

おもしろいのは、このジョブを発見すると、外国人に限らず、日本人にでも応用できることです。大阪駅や東京駅、新宿駅の地下なども複雑で分かりづらいので、これを応用できたらいいですよね」

一東京に限らず、どこでも道に迷わずスムーズに移動することが可能になれば、もっといろんな場所に行くという人が増えそうです。こういった発見ができるのが、SEEDATAのエスノグラフィーの強みといえますね!

「そうですね、エスノグラフィー自体は、観察者の力量がすごく問われると思います。今回でいえば、英語表記が少ないといったニーズを発見して改善するというのは簡単だけど、新しい領域を発見するというジョブのアプローチはすごく難しくて、それをやれているのがSEEDATAのエスノグラフィーの特徴です。ジョブを発見したほうが、商品の開発やサービスの仕様におとしやすいんですよね」

日頃なにげなく移動している東京の街ですが、それでも幾度となく道に迷った経験があります。Googleマップの登場で、本格的に迷子になることは減ったものの、「自分が今どこを向いていて、どちらに向かうべきかわからない」という瞬間があるのも事実。

遠くない未来、今回のエスノグラフィーで導き出されたジョブが活用され、どこにいても自分の向かうべき方向が瞬時にわかる日がくるかもしれません。(了)

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