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エスノグラフィーとフィールドワークの違い

近年、ビジネスにおいても耳にすることが増えてきた「エスノグラフィー」ですが、フィールドワークとの違いについて、はっきりと説明できない、という方もいらっしゃるのではないでしょうか。

フィールドワークとは

フィールドワークは社会学でよく使われる言葉ですが、あえて日本語で訳すとすれば「野良仕事」という言葉が充てられます。野良仕事という言葉からもわかるように、外に出て行う調査一般をフィールドワークと呼びます。

フィールドワークの定義は場合によってさまざまですが、たとえば、あるコミュニティに入って参与観察をすることはフィールドワークのひとつですし、ある場所で定期的に写真を撮り続けるという行動。これは参与観察のように調査者と被調査者のインタラクションがあるわけではありませんが、定点観測という立派なフィールドワークです。

他には、街頭でアンケート用紙を配ることも、量的調査の文脈ではフィールドワークと呼ばれていますし、人の家や持ち物を観察しスケッチする考現学などでも、フィールドワークという言葉が使われています。

つまりフィールドワークは、人もしくはコミュニティ、人間の生活を対象に扱い、観察、インタビュー、アンケートなど、広い意味で人々が生活や仕事をする自然な場で行う社会調査であり、しいて言えばデスクリサーチの対義語とも言えるでしょう。

フィールドワークは野外でのあらゆる調査活動であり、見る聞く話す解釈する記録するなど、さまざまな意味でもちいられることもあります。また、質的調査ではなくて量的調査(アンケートなどを配布すること)でもフィールドワークと言う語が用いられます。

さらに、人間のコミュニティだけでなく、動物や植物を観察すること、企業や農村を見学することもフィールドワークと呼ばれる場合があり、その用法は文脈によってさまざまな意味を持ちます。

対して、エスノグラフィーとは、人々の集団に関する記述的な研究のことを指します。コミュニティの内側に入り、参与観察やインタビューなどを通して話を聞き、その集団の在り方や歴史を調査すること、もしくは調査したものの結果をエスノグラフィーと呼んでいます。

フィールドワークが野外で行うさまざまな調査法の総称であるのに対し、エスノグラフィーは基本的には参与観察(フィールドワークの一種)を通し、コミュニティの内側に入って調査を行うことが前提です。

また、エスノグラフィーは複数の調査方法をまじえることが基本であるため、参与観察だけでなくインタビューや文献調査も行います。もともと、異文化や他者を理解するための方法論であるエスノグラフィーは、フィールドワークに限らず、記録や文献、メディアなどを用いてあらゆる方面から多面的に理解することを目指しています。

これは一種のトライアンギュレーション(方法論的複眼)であり、より記述を厚くし、質的研究の「質」を高めるための方法として、エスノグラフィーにおける基本的な態度のひとつです。

なぜフィールドワークではなくエスノグラフィーなのか

では、なぜビジネスの世界においてフィールドワークという言葉ではなく、エスノグラフィーという言葉が好んで用いられるのでしょうか?

海外でエスノグラフィーという言葉が持ち上げられ、それを輸入してきたという背景はありますが、そこには、先述のとおり、エスノグラフィーの基本的な哲学が「コミュニティの内側に入る」ということにある、ということが関係しているように思われます。

調査の過程でコミュニティの人々と信頼関係を築き、コミュニティの外側からは理解しきれない異文化や他者について、その内部から理解するというプロセスが、ビジネスにおいてイノベーションが生まれる際にも重要だからではないでしょうか。

たとえば、消費者が実際にどういう行動をとっているか分からないから、現場を見に行くわけですが、その際、【企業―消費者】という関係から抜け出すことができなければ、重要な気付きを見逃してしまう可能性すらあります。

実際、人類学的なエスノグラフィーのように調査対象者と対等な立場を築くことは、ビジネスにおいては時間的・経済的、さまざまな要因において難しいのですが、それでも生活者の視線に立とうとし、彼らの目線から物事を見ようとする姿勢こそが大切なのであり、それが「エスノグラフィー」という言葉が好んで用いられる背景なのかもしれません。

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