Written by
大川 将
チーフフューチャリスト

質的調査、量的調査のメリット・デメリット

生活者のリサーチを行う際に、よく耳にするのが質的調査(定性調査)量的調査(定量調査)という二つのアプローチです。今回はこの二つのリサーチの違い、メリット・デメリットについてお話しします。

新規事業に必要な定性調査と定量調査の違い

質的調査(定性調査)と量的調査(定量調査)の違い

質的調査(定性調査)・量的調査(定量調査)の違いは、端的に言えば、データとして数字を扱うか言葉を扱うかの違いです。

量的調査とは、出てきたデータを数字として扱うものであるため、アンケート調査を量的なアプローチで行う際は、数字としてデータを扱えるようにつくることが一般的です。シングルアンサーで「Yes、No」で答えられるものや、複数回答で答えを選ぶものにすることで、データを量的な分析にかけることが可能になり、それをもって「量的」ということができます。

人数が多ければ量的であり、人数が少ないのが質的、という理解をされている方がいるかもしれません。実際、量的アプローチでは大勢の方からデータを集めることが必須であるため(統計学的有意性)結果としては人数差が出ることがほとんどですが、本質的には、人数の大小ではなく、扱うデータの違いが、これらのアプローチの違いなのです。

また、「質的調査(定性調査)は言葉として扱うから分析はできない」というのは間違いです。質的調査には質的調査の分析方法があり、有名な方法にグラウンデッド・セオリー・アプローチ(GTA)などがあげられます。

特にアカデミックな場において、質的調査は「科学的でない」との批判に晒されることが往々にしてあります。この場合「科学的」とは一般的には「再現性」のことを指して用いられることが多く、端的に言えば、現場の環境や調査者の質、データの分析方法によっては違う結果が出てしまうのではないか、という点に関する批判です。こういった批判に対して、分析方法の体系化や、調査者の自己再帰性が問題にされるなど、質的調査はその方法論に関して敏感に議論を重ねてきたという歴史があり、その議論はこれからも常に問われ続けていく点でしょう。

量的調査のメリット・デメリット

先述したとおり、量的調査は再現性が高く、数字として端的に比較が可能なため、ビジネスにおいては企業としても納得感が強く、これがもっとも大きなメリットといえるでしょう。

「ある生活者がこのように発言しています」より、「10000人の生活者がYesと言っています」のほうが企業側も動きやすい、というのは想像に難くないでしょう。

対して、量的調査は細かいニュアンスを拾うことや、価値観を深堀することが難しいというデメリットもあります。アンケートの場合、こちらが想定した質問を送ることしかできないため、商品やサービスの満足度を調査する際などには効果的なのですが、深堀する必要のある価値観やインサイトは、対面で話を聞く中で見つけていくしかありません。

質的調査のメリット・デメリット

質的調査の強みは、インタビューや行動観察を通して、アンケートでは見られない、細かいニュアンスや深い価値観を発見することができる点にあります。さらに、エスノグラフィーに関していえば、言語的なデータだけではなく、その行動を行っていたときの周囲の環境、本人の表情、空間の状況など、あらゆる物事をデータとして扱うことで、多面的に生活者を理解することができるという強みがあります。

しかし、ビジネスではそれが結果どれだけの人たちに商品が届けられるか、という点がどうしても重要になってくるため、少人数にしかアプローチできない定性的な調査よりも、大勢の人たちの意見が拾いやすい定量調査が好まれることが多いのが実情です。

 

このように、量的調査のメリット、デメリットは、裏返せば質的調査のメリット、デメリットとなるのですが、質的調査と量的調査は競争関係ではなく補完関係にあるべきといえます。

一概には言えませんが、生活者の価値観やインサイトを深堀りしたい場合、量的調査では見えてこない可能性があります。しかし、新しい、先進的な価値観をいくら深掘りしても、その価値観を持つ人々が全国に果たしてどれだけいるかが分からなければ、企業としては資金をつぎ込むことに躊躇してしまうということも十分に理解できることであり、そういった際に量的調査が補完的な役割を果たすことができるのです。

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