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デザインシンキングとエスノグラフィー②

前回は 奥出直人教授のエスノグラフィーの特徴であるメンタルモデルの抽出する方法をご紹介しましたが、今回はそのメンタルモデルを取り出すための分析法をご紹介します。

デザインシンキングとエスノグラフィー①

thick descriptionの作り方

まず、現場メモを殴り書きしたものを作成し、それをもとに濃い記述(thick description)を作成します。エスノグラフィーを始めてから終了するまでの数時間分をすべて記録した濃い記述をパソコンではなく、手書きで行います。

なぜ手書きするかというと、奥出先生は解釈学的現象学にのっとっていて、たとえば、調査者が知覚した内容こそが重要であり、忘れてしまったり、濃い記述から漏れるような内容は切り捨ててしまおうという、少し大胆な手法と言えるかもしれません。

長時間におよぶエスノグラフィーは情報量が膨大すぎて、すべてを解釈することはできないので、落ちていくところは捨てる、そのためにあえて手書きで行っているというのがこの手法のおもしろい点です。

5モデル分析と「認知、行動、オブジェクト」

エスノグラフィーの現場をありのままに観察者が記述したものを、5つの方向性から照らして分析を行うのが5モデル分析です。

5モデル分析

1.フローモデル

フィールドワーク上で出てきた、物や人の役割を示したもの。

2.アーティファクトモデル

エスノグラフィー中に用いられたもの。例えば街中を移動している人だとスマホや、カメラ、リュックなど。

3.フィジカルモデル

スノグラフィが行われた場所を整理したもの。巻き尺で測られた正確な平面図ではなく、調査者の記憶から描き起こしたもの。

4.シークエンスモデル

エスノグラフィのすべての行動と、どこが重要だったかを時系列で整理したもの。

5.カルチャーモデル

エスノグラフィの現場には出てこなかったが、その人に大きな影響を及ぼしている人、尊敬している人など深く背景に関わっている人と、その関係性を整理したもの。

メンタルモデルを抽出したときに、アーティファクトモデルの中にあるどういったものを使ったのか、あるいはカルチャーモデルのどういった背景や、どういった認知からこういった直感的行動をとっているのかといったことを元にメンタルモデルを抽出します。ここでいうメンタルモデルとは、「認知、行動、オブジェクト」のセットのことを指します。

たとえば、「美容に敏感な人が、街中で鏡を見た時に髪型を直す」というなにげない行動は、「自分の髪型を見る、髪型を直す、鏡(自分を映し出すもの)」という「認知、行動、オブジェクト」がセットになっているのです。

つまり、人が自然に使いやすいデザインをつくるため、エスノグラフィを行う→5モデル分析→メンタルモデルの抽出→それをデザインのインタラクションに落とし込むという方法がとられています。

このように奥出メソッドでは、メンタルモデルを抽出した後、コンテクストの中でユーザーと一緒に価値を作っていくことを行っています。

デザイナーは解釈している立場なので、本当にユーザーにとって価値があるのかわからない。そのため、これからユーザーとなる人を呼んできて、オフィスや自宅などのコンテクストの中で、本当に使いやすいデザインはどういったものなのか、本当に価値のあるものは何かを、ユーザーと共に生み出していくのです。

奥出先生の元々の研究がバナキュラーデザインであることの影響が、こうした特徴に現れているようにも感じられます。

SEEDATAでは、独自のエスノグラフィー調査を行っています。ビジネスにエスノグラフィーを取り入れたいという方はinformation@seedata.jpまで、件名に『エスノグラフィーについて』、御社名、ご担当者名をご記名いただき、お気軽にお問合せください。

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