SD G株式会社は2022年3月、SEEDER株式会社に社名変更しました。
2015年にSEEDATAを創業した際は、まだ多くの人が気が付いていない、言語化されていない未来の兆しをもとに未来洞察をおこない、事業やサービスのコンサルティング支援をスタートさせました。
社名にこめたのは「今後やってくるトレンドに合わせる」のではなく、「自ら動くことで未来の兆しを事業として具現化する支援をしたい」という思いです。そこで「種(SEED)となるデータ(DATA)」で社名を「SEEDATA」にしました。
創業当時は未来の兆しとなるトライブレポートの作成と販売が中心で、まさにデータの会社でしたし、現在のように設計から実施までサポートするビジネスモデルは想定していませんでした。
創業3年目あたりから、われわれが発見した未来の兆しから、未来を洞察できることが実感でき始めました。
繰り返しになりますが、重要なのは未来を予測することそのものではなく、われわれが関わることで、新たな事業やサービスの種や芽を増やしていくことです。だからこそ、新規事業やサービス開発などの伴走型の支援をおこなってきました。
その後、SEEDATAの収益が増大し、2021年には私は博報堂に一部社員をつれて戻る形で、より事業創造に関わるためにJVStudioを設立。SEEDATAを一度清算し、有志メンバーで新しいグループ会社としてSEEDERを立ち上げました。
そこで、伝統的なコンセプトである「兆しを見つける」ために、社員だけでなく、世界中のギグワーカーを巻き込む、ギグワーカー構想のもと、SD G(現SEEDER・シーダー)株式会社を設立しました。
さらに、事業を具現化してインキュベーションしていく際には、ファイナンシャルアドバイザリーサービス(FAS)が必要になるため、守屋実さんとともに4Mをプロデュース。現在はおもにこの3つのグループに分かれて活動しています。
JVStudioや4Mはトライブレポートは作るわけではありませんが、根っこにあるケイパビリティや価値観は同じです。
SEEDERは未来洞察やギグワーカープロジェクトをおこなうSD G株式会社の新しい社名であるとともに、これらの活動をおこなうコミュニティ全体の名前でもあります。
ここで、コミュニティ名である「SEEDER」の由来についてお話しさせてください。
それはSEEDATAの社名を考えてくれたネーミングライターの岩永さんと、新たな社名についてブレストしていた際のこと。
これまで私は、種から芽が出て花が咲くのだから、種となる「データ」こそが重要と考えていました。
しかし、岩永さんとの会話の中で、実は土を耕したり、水をあげたり、害虫を駆除したりする「種を撒き育てる人」、もっといえば「種が育つための肥よくな大地を作る人」のほうが重要なのではないかということに気が付きました。
このことから、新たな社名も、ギグワーカー然り、「データ」より「人」を中心に考えていきたいと思ったのです。
そして、あらためて、イノベーションの兆しを具現化する「人」を中心に捉えたときに、「種を蒔く人」にフォーカスした「SEEDER(シーダー)」を社名としました。
ご存知の方も多いかもしれませんが、「種を蒔く人」というのはミレーやゴッホの絵画のタイトルでもあり、「種を蒔く人のたとえ」はキリスト教の新約聖書の中に繰り返し出てくる、イエス・キリストのたとえです。
新約聖書の中に種を蒔くひとのたとえには、以下の4種類の異なる土地に落ちた種が登場します。
①道端
道端に落ちた種は人に踏みつけられ、空の鳥に食べられてしまった
②石だらけで土の少ないところ
石だらけで土の少ないところに落ちた種は、芽は出たが、根がなく水気もないので枯れてしまった
➂茨の中
茨の中に落ちた種は、茨も伸びて、多いふさいだため実を結ばなかった
以上が、種が落ちても実りのない3つの土地です。一方、良い土地に落ちた種もありました。
④良い土地
ほかの種は、良い土地に落ち、実を結んで、あるものは百倍、あるものは六十倍、あるものは三十倍にもなった
<参考:「種を蒔く人」のたとえ
私は、「ほかの種」という部分を「ほとんど全て」と理解しました。つまり、「ほとんどの人はよい土地に落ちて実を結び、何十倍もに広がる」という啓示と考えることができます。
本来の意味は逆かもしれませんが、選ばれた一部の種だけではなく、どんな種でも実を結ぶことができる。だからこそ、ギグワーカー構想にも大きな可能性を感じています。
そして、良い土地に蒔かれた種とは、自分たちのしていることはイノベーションにつながると信じ、営みを止めない人たちのことと捉えることができます。
もうひとつ重要に感じたのは、「何十倍」にもなるという部分。機械やモノに投資した場合、予想外に何十倍になることはありません。
しかし、人間や生命は、力を注ぐと何十倍にも飛躍することがあるからこそ、人にフォーカスし投資すべきだと考えます。これも種を蒔く人のたとえから感じました。
「種を蒔く人のたとえ」は、イノベーションを推進していくにあたり、SEEDATA時代から大事にしている価値観ととても近く、まさに僕たちが見ていくべき世界そのものです。
今後は、SEEDER株式会社の提供するサービスが、トライブデータを提供するseedata.jpと、ギグパートナーのマッチング事業をおこなうJINCHIの二つになり、新たにスタートします。
JINCHIには、戦いに出るための陣地と、トライブデータなどの最先端の智を提供する人の人智のふたつの意味をこめました。
また、ファイナンシャルアドバイザリーサービスは4Mが担当しますが、すべて「種を蒔く人たち」にフォーカスしたSEEDERグループとして、一丸となりイノベーションに取り組んでいきます。