Written by
藤井 陽平
取締役

【商品開発のプロセス④】着想のための有効ツール編

前回は商品開発の着想に必要なインプット素材の、着想型と検証型についてご紹介し、着想段階では定量調査やマクロトレンド情報は活用せず、新しい気づきを与える情報が重要であるとお話ししました。

今回は着想のために有効なツールについて考えていきます。SEEDATAでは着想向けのインプットデータでトライブデータとデコンテという主に二つのデータを活用しています。

これまでの商品開発のプロセスに関する記事はコチラ

商品開発のヒントとなるトライブデータ

一つ目はトライブデータを活用し、枠外情報の視点からインサイト(生活価値)を得て、分析することでアイデアを創出する手法です。

たとえばSEEDATAが見つけたドクターシューマーというトライブは、サプリメント摂取量が多かったり、完全栄養食品を積極的に摂取する健康意識の非常に高い生活者です。ドクターシューマーの価値観の中には、「足りない栄養素を補うようにマイナスをゼロにしたいのではなく、ゼロからプラスの状態に高めてくれる機能が良い」という考え方がありました。この考え方を抽出すると、「健康的でありながら、身体の状態をプラスに引き上げる機能」を考えることができます。

例として、ここから、一時的に集中力を高めてくれるサプリメントが勉強やe-sportsなどのシーンに適用できるのではないかと仮説を立て、商品アイデアに昇華していくことができるのです。

SEEDATAでは、ティーンからシニアまで幅広く、ユニークな考え方を得ることができるトライブデータを活用し、アイデア創出に生かしています。

しかし、このような着想データは自社でリサーチ・分析して内製すると、期間と工数が膨大にかかるため、現実的ではありません。一つのトライブを分析するのに2~3ヶ月はかかるため、商品開発のアイデアにトライブを活用したいという方は、SEEDATAのトライブレポートを利用していただくことをオススメします。

トライブの詳細については以下の記事をご覧ください。

SEEDATAがエスノグラフィーでジョブを見つけだせるのは、トライブリサーチによるインサイトの蓄積があるから【前編】

トライブの価値観が次のイノベーションのもとになる【後編】

商品開発のアイデアのもととなるデコンテ

もう一つのやり方は、デスクリサーチを活用して情報収集をする方法です。

SEEDATAにはデコンテと呼ばれる過去のヒット商品や、切り口のユニークな商品を再分析した分析シートがあります。デコンテとは、脱構築を意味するデコンストラクション(ここでは既に世の中にある商品を再度構築し直し、何が良かったのか考え直す意味)と台本を意味するコンテ(ここでは商品アイデアを発想するための考え方を示したモノの意味)の二つを掛け合わしたSEEDATAの造語です。

過去商品を改めて分析したデコンテをストックしているため、商品アイデアを考えるときにこのデコンテを活用し、いろんな領域でのアイデアを分析することができます。デコンテには、商品の特徴・スペック・技術的アプローチなどの基本的な商品情報の他に、なぜこの商品がヒットしたのか、ヒット要因を我々の観点で分析しています。ここでのポイントはインサイトの観点から商品がウケた理由を捉え直すことです。

商品分析自体は、自社でも取り組んでいる企業は多く、私も幾度か拝見させて頂いたことがありますが、ヒット商品を味・容量・デザイン・飲み方などのトレンドについて分析しているケースが多く見受けられます。

一方、SEEDATAでは「生活者のどのようなシーン・どういったニーズに刺さったから良いのか」といった観点で分析し、アイデア創出のための資料としてまとめています。SEEDATAがなぜインサイトに焦点を当てるかというと、ヒット商品をインサイトで捉える方法をとると、他業界の商品事例からもアイデアを導き出せるからです。

たとえば冷凍食品のアイデアを考える場合、先ほど示したトレンド分析の観点からのヒット商品リサーチで取り組むと、冷凍食品にまつわるトレンドを集める必要があるため、冷凍食品関連の事例を分析することになるでしょう。このやり方だと同一カテゴリーの商品を調べることになるため、他社の二番煎じのアイデアしか生み出すことはできません。

一方、デコンテで示した、インサイトに着目した商品リサーチのやり方で考えると、調べるヒット商品は冷凍食品ではなく、例えば主婦の方が良く使う日用品でもいいですし、子供向けのお菓子からもヒントを得ることができるでしょう。

例として、日用品の中から、時短に関するインサイトや健康意識に関する重要な気づきを得ることができます。他業界の商品は関連しないと思いがちですが、インサイトという軸で捉え直すと、意外と他業界の方がユニークなインサイトを捉えているケースがよくあります。

このように他業界のインサイトからアイデアを導出すると、競合他社と似たようなアイデアや過去プロジェクトと重複するようなアイデアは出にくくなります。

デコンテは、生活にまつわるものであれば比較的どの領域でも使える考え方になっていますが、生活日用品に関する内容が比較的分析しやすいのでオススメです。なぜなら日用品はダイレクトに生活者が使う商品であり、生活の中でのニーズが比較的分かりやすく、商品におちやすいジャンルだからです。

通常はつい自社商品に近い領域、アルコールならアルコールだけを調べがちですが、たばこ、嗜好品ジャンル、日用品からもアイデアのヒントは考えることが可能なのです。

こういったアイデアの導き方は、これまでさまざまな業界のクライアントに携わってきたSEEDATAだからこそ分かる考え方かもしれません。

SEEDATAではデコンテとトライブレポートを合わせて活用していますが、社内でコンパクトにアイデアを発想する場合は、デコンテのみからアイデアを考えることが容易にできます。

トライブデータを活用することのメリットは、トライブは3~5年後の未来の価値観を持った生活者なので、アイデアを近未来まで飛ばしながら発想をすることができることです。

トライブレポートの読み方はこちら

トライブからは近未来視点、デコンテからは現状の生活者のインサイトを見つけることができます。

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当連載をまとめたホワイトペーパーができました。商品開発のプロセスを分かりやすく解説しています(全31ページ・1.86MB)

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【商品開発のプロセス①】商品開発のアイデア作りの心得と4つのリスク(前編)

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