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SEEDATA
公開日:2018.06.19/ 更新日:2021.07.12

エスノグラフィー(ethnography)

訪問調査とエスノグラフィーの違いとは?

近年、ビジネスの世界でも耳にすることが増えたエスノグラフィーですが、訪問調査との違いがよく分からないという方もいらっしゃるのではないでしょうか。

そこで今回はそれぞれの特徴と違いについてご紹介いたします。

訪問調査の特徴とエスノグラフィーとの大きな違いは?

ビジネスではもちろん、介護業界でも聞く事が多い訪問調査。一般的に訪問調査とは、調査対象者の「家」を訪問しインタビューやアンケートを通して調査を行うデータ収集法の1つです。

訪問調査とエスノグラフィーの最も大きな違いのひとつが、対象者と観察者の関係性や、観察者の「態度」のあり方です。

基本的に訪問調査は「客観的な調査」であると言えるでしょう。

訪問調査や行動観察において最も重視されるのは「バイアス」をかけない環境づくりです。特に訪問調査では、家庭での生活の実態を把握するため、調査者はできる限り存在を透明に近づけることが望ましいとされ、Fly On the Wallとも呼ばれる態度が期待されます。

例えば、ある対象者に「毎日のメイク風景を見せてください」とお願いをした場合、その最中に調査者があれこれと質問を投げかけてしまうと、対象者が普段しているメイクの風景とは異なってしまうということが一般的によく指摘されます。

そのため調査者は観察に留め、場合によってはカメラの設置のみを行うなど、対象者の生活をそのままに観察することを目的としているのが訪問調査の特徴と言えるでしょう。

エスノグラフィーは「了解的な理解」を作っていく調査

対してエスノグラフィーでは、対象者と信頼関係(ラポール)を築きながら、観察者と対象者を対等な立場に近づけて観察を進めていくことが一般的です。

これは、もともとエスノグラフィーが文化人類学・社会学から生まれた手法で、集団(コミュニティ)や社会の行動様式を、集団の内側に入って調査・記録することを目指したことが背景にあるからと考えられます。

そのため、ビジネスにおけるエスノグラフィー調査においてポイントとなる点は、調査者と対象者という関係を作らず、如何にそのコミュニティに自然に溶けこめるかという点です。

訪問調査が調査者がその存在を透明にし、客観的に調査を行おうとするものであるのに対して、エスノグラフィーでは、実際に自分もそのコミュニティの一員となって調べていくことを非常に大切にしています。

それは対象者と話しながら新たな答えを一緒に探していくというイメージで、対象者に対して一方的な理解ではない「了解的な調査」であるとも言えます。これがエスノグラフィーの特徴であり、訪問調査との最も大きな違いとも言えるでしょう。

SEEDATAでは訪問調査ではなく、エスノグラフィー調査を行うことを大切にしています。それは、調査対象者をインフォーマント(情報を与えてくれる対象)として接するだけでは、深い洞察に至らないと考えているからです。

生活者は、普段生活している間、常に深い理由を持って消費しているというわけではなく、多くの行動を「なんとなく」行なっているものです。この「なんとなく」の背景に、商品開発や事業開発につながるアイデアのヒントが眠っているのですが、これを引き出すためには、彼らに単純な質問項目をぶつけるだけではなく、対象者と同じ目線に立ち、ディスカッションのようにインタビューを行なっていくことが必要だと考えています。

エスノグラフィー調査とは、彼らの生活の内側に入り、彼らと「了解的な理解」を作っていく調査なのです。

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SEEDATAでは、独自のエスノグラフィー調査を行っています。ビジネスにエスノグラフィーを取り入れたいという方はinformation@seedata.jpまで、件名に『エスノグラフィーについて』、御社名、ご担当者名をご記名いただき、お気軽にお問合せください。

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