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SEEDATA
公開日:2018.06.19/ 更新日:2021.07.12

エスノグラフィー(ethnography)

デプスインタビューのメリット・デメリット

デプスインタビューとは

デプスインタビューとは、「企業側から派遣されたインタビュアーと、対象者が1対1で行う面談式のインタビュー」のことを指します。

定量調査とは異なり、あらかじめ用意してあった質問だけに回答してもらうのではなく、インフォーマントの回答に対して随時、新たな質問を投げかけていく形式をとります。そして、本人さえも気がついていない深層意識の中にあるニーズや要望を引き出すことを目的とした手法といわれています。

(※Cross Marketing「デプスインタビューとエスノグラフィー調査の違いと使い分け」より)

通常のインタビューと異なり、“デプス“という言葉がついているのは、「「デプス(depth)」とは「深さ」を表す言葉で、「対象者と深く関わることが出来る」という意味と、「対象者からの返答が深い」というふたつの意味」を持たせるためにあります。(※同上)

デプスインタビューのメリット

デプスインタビューの大きな特徴は、グループインタビューと異なり、インフォーマントと調査者が1対1の面談式で行う点にあります。

この特徴を起点として、デプスインタビューのメリット、デメリットを見ていきましょう。

デプスインタビューは、個人同士での調査になるため、調査者とインフォーマントとの間で多くの時間を共有し、その関係性が密なものにすることができます。

このため、質問も「どのような行動をとったのか」などのような表層的な回答に留まらず、そのきっかけや理由、方法などの具体的な回答までも詳しく得ることができます。

こうした特徴を持つデプスインタビューは、以下の5つのメリットがあるといえるでしょう。

  • インフォーマントの個別具体的な特性、経歴に合わせた質問や仮説を事前に準備できる。
  • 調査者とインフォーマントとのラポール(信頼関係)を形成しやすいため、本人すら意識していなかった潜在的な価値観にも触れることができる。
  • 調査の進行を、調査者がグリップすることができる。
  • 情報の公開範囲が限定的であるため、プライベートな内容にも踏み込みやすい。
  • 複雑な意思決定プロセスを細分化して調べることができる。

ただし、これまで述べてきたように、調査者とインフォーマントの関係性が密であることが上記のメリットを賜る前提となっていますので、調査者がインフォーマントとの間に信頼関係を築けるかどうかが調査結果の質を高めるポイントとなってくるともいえます。

デプスインタビューのデメリット

一方、デメリットは、どうなっているのでしょうか。

デプスインタビューは1対1の形式であるがゆえに様々な深い価値観を得やすい手法ですが、そこには他のインフォーマントがいなければ、インフォーマント同士の相互作用は発生しません。

このことから、以下のようなデメリットを生じているといえます。

  • インフォーマントと調査者とだけの関係性に留まってしまい、インフォーマント同士の関係性から得られるインサイトを得られない。
  • 調査結果が、特定のインフォーマントの発言による個別具体的なものによりすぎてしまう可能性がある。
  • 考え過ぎてしまい、自分の価値観が揺らいでしまう可能性がある。
  • これ以外に個別に行う調査であるため、コストや時間がかかりやすい。

また、どのような対象者がインフォーマントとしてふさわしいのかを吟味した上で実施しなければ、調査のコンセプトからずれてしまう危険性があるでしょう。

デプスインタビューの有用性

以上から、デプスインタビューは、調査対象に関してある程度の前提や知識を把握した上で、より深い価値観を引き出す際に有用な調査手法だと考えられます。

デプスインタビューを実施する前に、FGIやデスクリサーチなどを実施して様々な仮説を持っておくことで、より良い調査結果を導くことが可能となるでしょう。

ただし、デプスインタビューは臨機応変に質問を投げかけていく必要があるため、調査者にインタビュースキルが高く求められる高度な調査手法であるとも考えられるため、ある程度の鍛錬も必要であると考えられます。

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