毎月Zs学生メンバーがZ世代の間で話題になっている出来事を紹介する「Zsトレンド速報」。第2回目のテーマは「Z世代の漫画事情」です。現代において漫画は、アプリで楽しめる電子漫画やフルカラー、韓国発の縦読み漫画「Webtoon」などが登場しており、Z世代はそれらを活用して様々な形式の漫画を楽しんでいるようです。
そこで、今回はZ世代がどんなときにどんな読み方で漫画を楽しんでいるのか、その実態に迫りたいと思います。
これまで、漫画といえば白黒で、一枚一枚、紙のページをめくりながら楽しむものというイメージがあったと思います。しかし、Z世代の間では紙ではなく電子、白黒よりもカラーで、スマホ一台で楽しめる漫画が多く好まれているようです。
たとえば、最近注目を集めている韓国発の縦読み漫画「Webtoon」(ウェブトゥーン)。Webtoonはスマホ縦にスクロールする形式で、コマ割りやセリフ、ストーリー展開も全て縦に進んでいくという、スマホの画面や使い方に合わせて漫画を読みやすく進化したものです。
電子化されたことによって、いつでもどこでも漫画を楽しめるようになった今、Webtoonはスマホならではの、ページをめくらず、スムーズかつダイナミックにストーリーを楽しめるという点において人気を集めています。
実際にZsメンバーに話を聞いたところ、「縦スクロールは流し読みでSNSのタイムラインのように気軽に楽しめる。動画の倍速視聴の感覚に近い。」と話していました。縦読み漫画は、短時間で多くのコンテンツを消費するZ世代にとって読みやすい漫画として人気となっているようです。
また、最近では漫画を無料分だけ楽しむというZ世代が増えているようです。たとえば、Zsメンバーが愛用している、人気漫画アプリ「ピッコマ」は、一日待てば次の話が無料で読める仕組みになっていたり、週刊少年ジャンプの公式漫画アプリ「少年ジャンプ+」ではアプリ内の漫画を初回であれば全話無料で読めるようになっています。
このように、週刊誌や単行本を紙で購入するのではなく、アプリで無料で気軽に楽しめる漫画がZ世代の間で主流になっているようです。
一方で、紙のページをめくって読み応えをじっくり楽しむためにあえて紙の漫画を選択したり、無料ではなくお金を払って単行本を購入することに価値を感じるZ世代もいるようです。あるZsメンバーは「面白い漫画は単行本を買って作者に貢献したい。」と話していました。彼らは「漫画を購入することは、ただストーリーを楽しむ以上に、作者への貢献になる」という考えを持っているようです。
以上のように、Z世代は漫画を短時間で気軽に楽しみたいときはWebtoonやアプリでの単話を活用し、一方で漫画をじっくり楽しみたい、作者を応援したいというときは紙の単行本を購入するということが今回の調査で分かりました。
<学生アナリストコメント>
今回のトレンド速報ではZ世代の漫画事情を紹介しました。Z世代のコンテンツ消費行動の特徴として、倍速視聴やショートムービーなど、短い時間でコンテンツを楽しむことが挙げられます。今回の漫画事情についても、縦読みや単話読みなど時短視聴の特徴が現れていました。 一方で、コンテンツをじっくり楽しみたい、コンテンツに関する人やモノを応援したいというニーズもZ世代にはあります。そのため、今後Z世代に向けたコンテンツとして、たとえば、漫画の好きなシーンや雑誌の好きな特集だけ部分買いできるサービスや、好きな作家やクリエイターの作品に登場した食べ物や洋服を楽しめたり、聖地を巡るツアーなど、作品の世界観を同時に楽しめるサービスが求められるかもしれません。(アナリスト・小川紗季)
<参照記事>
海外発の「縦読み漫画」が流行中!“待てば¥0”のシステムを生んだ漫画アプリ「ピッコマ」の戦略とは?
縦読み漫画とは、スマホ画面を縦にスクロールして漫画を読んでいく形式で、コマ割りやセリフ、ストーリー展開も全て縦に進んでいくという、スマホの画面や使い方に合わせて読みやすく進化したものだ。これをいち早く日本に取り入れたのが、“待てば¥0”でおなじみの漫画アプリ「ピッコマ」。話題の作品だけでなく韓国で人気の作品も読むことができる。