日本国内外の先端事例や生活者トレンドをSEEDATA独自の視点で分析し、ブログ形式で配信しています。News

Written by
加藤 槙子
プロデューサー

【トライブレポート紹介69】ライフスタイルウォッチャーから読み解くレコメンド体験の未来

はじめに~トライブレポートとは

SEEDATAは今後増えていくであろう考え方や行動を示している先進的な消費者グループ=「トライブ」を独自のリサーチによって発見、定義し、調査した結果をレポートにまとめています。

トライブ・リサーチから得られた知見を通じて、推進される企業のイノベーション活動を「トライブ・ドリブン・イノベーション」または「トライブ・マーケティング」と総称し、コンサルティング、支援を行っています。

トライブレポートの詳細と読み方については、こちらの記事をご一読いただければ幸いです。

トライブレポートの読み方

近年、YouTubeなどで投稿者の生活の一部を切り取った「Vlog」と呼ばれる動画が流行しています。

SEEDATAでは、動画の発信者の多くは、有名な芸能人やタレントではなく、顔出しすらしていない主婦や学生であるにも関わらず、モーニングルーティン、朝の身支度、料理風景、掃除風景など、他人の名もなき生活の様子が何千、何万回と視聴され、「〇〇さんの生活に憧れる」と多くの人から支持されているのは何故なのかに着目しました。

 

ライフスタイルウォッチャーは、その名のごとく、これらの他人のライフスタイルを動画やSNSでのぞき見して、自らの生活に取り入れている人たちです。真似の対象は投稿者の持つ商品というより、投稿者のライフスタイルそのもの。

一般人のなにげない暮らしが誰かにとっての憧れやお手本となり、そこに登場する習慣や商品がマネされている事実は、これまでのマス中心のレコメンドや、インフルエンサービジネスといった、あらゆるレコメンドのあり方に変化をもたらすことが予測されます。

 

このレポートでは、何故、Vlogで描かれる生活やそこに登場する商品が自分に合っている・自分へのおすすめであると受け入れて取り入れるのかを調査することで、生活者が自分もやりたい、買いたいと思ってくれるようなこれからのレコメンド体験やサービス体験作りのヒントを調査しました。

 

ライフスタイルウォッチャーのセグメントとインサイト

調査は6名に実施し、セグメントはVlogのようなライフスタイルコンテンツの視聴者と発信者に分類され、視聴者側はさらに2つのセグメントに分類しました。それぞれよく見ている動画やインスタのアカウントなどから、以下のような行動や価値観について調査しています。

 ①With me ウォッチャー(視聴者)

料理や掃除など行動の真似をするためにSNSを見る人たち。

何故これらの動画を見ようと思うのか、何故真似できると思ったのかを調査。

 

ウィズミーウォッチャーのある女性は、特定の誰かの真似ではなく、インスタのハッシュタグ「#キッチンリセット」で検索をおこない、キッチン掃除や収納のコツがまとまっている短い動画から、さまざまな人たちの知恵をのぞき見し、「いろんな人の理想の生活をたくさん見ることで、自分の中に理想の生活をストックしている」と発言していました。

 

また、料理を真似しているYさんの発言を一部抜粋すると、「専門家やプロの料理を真似しようとすると、材料のあれが足りない、これが足りないとなり、結果長く続かないことが一番よくない。だから、あえてプロではなく普通に近い人の料理を取り入れている。この食材は代替できるとか、少しレベルを下げられるなど、自分にできることが多い、セミプロや一般の料理が得意な人を真似している」という発言がありました。

 

②ウィンドウショッパー(視聴者)

料理や家事などの行動よりも、家具を買う、化粧品を買うなど購買の参考にしている人たち。

どんな情報があれば買いたくなるのか、リコメンドを受けて購買にいたるまでの満足のいく購買体験を調査。

 

たとえば、ウィンドウショッパーのある女性は、普通のОLの自宅の食器や持ち物紹介を視聴し、それを自分の将来の1人暮らしの姿をイメージして参考にしている大学生は、「Vlogの発信者は先生から学ぶ感覚ではなく、年上の友だちや先輩から学ぶ感覚。先生の場合、すべてそのとおりにしなくてはという気持ちになるが、先輩だと、「これはいいな」と思ったものだけを主体的に真似できる」と言い、「一方的におすすめされるのではなく、自分から見つけてよいと思ったものだけ真似したい」という価値観がありました。

 

また、ウィンドウショッパーのTさんは、何も考えず有名ブランドですべて揃えるのではなく、その人がどういう理由で商品を選んだのか、背景にあるライフスタイルまでをしっかり見て、自分の生活に置き換えて「これならできる」「これなら自分も買いたい」と思ったものだけを取り入れると言います。

 

 ➂ライフシェアラー(発信者)

自ら発信者となり、自分の生活を発信する人たち。

何故自分の生活を切り取って発信するのか、なにがモチベ―ションになっているのかを調査。

 

Instagramで約1000人のフォロワーを持ち、自分自身がいいと思ったものをシェアしているMさんは、自身もコスメインフルエンサーの真似をしています。

「日々の購入したものや気になっているものを発信すると、自分と価値観の似た人がフォロワーになり、自分がなにかを探しているときも価値観の似たフォロワーのおすすめを参考にすることができる、発信する側受ける側でよいレコメンドの連鎖がある」と言います。

 

自分でYouTubeチャンネルを持つライフシェアラーも、最初は視聴者からスタートし、同年代の先輩主婦の知恵を動画で学んでいたため、「有名になりたい」「再生数が伸びてほしい」というより、「自分と同じような興味関心を持つ人はそんなに多くないからこそ、自分と似たような悩みを持つ人とつながってプラスの変化を与えられたり、自分に近い誰かにとっての参考になれば嬉しい」という価値観がありました。

 

ライフスタイルウォッチャーのインサイトと未来洞察

ライフスタイルウォッチャーの真似をする、おすすめを受けるという体験の特徴的な部分は、一度真似をしてみて自分に合わなかった体験を「失敗した」「最悪」と思うのではなく、「自分の好みをより明確にするための学び」として受け入れている点です。

吟味してひとつを選ぶというより、まず真似をして合わなければ次の真似をして、トライ&エラーを繰り返す行動をとっていました。

 

また、ライフスタイルウォッチャーの調査で得られたこのような発見から洞察したのが、

「知識提供型レコメンド」という未来のレコメンドのあり方の変化です。

これまでのおすすめは「受動的に受けるもの」でしたが、彼らのおすすめの受け取り方は、人の知識やセンスなどを取り入れることで自分自身の審美眼を磨き、思考を拡大して、自分がより成長していくための情報としてレコメンドを使う、より能動的な行動です。

 

さらに、ここから考えられる未来のレコメンド体験で重要な点は、「いいものが買えた」「おすすめどおりに買えた」という購買時の満足よりも、購買後に「自分の趣味が広がった」「センスがよくなった」など、成長の実感が得られる過程ではないでしょうか。

 

知識提供型レコメンドの中には、

①レコメンドを受ける目的

②購入体験のピーク

➂レコメンドのコミュニティ

という3つの大きなトレンドがあります。

①レコメンドを受ける目的 収束型レコメンドから探索型レコメンドへ

レコメンドを受ける目的が、選択肢の中からひとつに絞る収束型のレコメンドではなく、自分の知らない選択肢に出会える探索型レコメンドへと変化しつつあります。

だからこそ「あなたへのおすすめはこれ」と言われるよりも「ほかにもこんなものがある」と選択肢を広げてくれることがより重要になってくことが予測されます。

 

②購買体験のピーク 購入時の満足から使用後の上達へ

購入時の満足度よりも、使用後の上達を通じて、自分が達成感を得られるかを重視していくことが予測されます。

 

➂レコメンドのコミュニティ 同質集団間のおすすめから隣接集団のおすすめへ

自分とは少し異なる趣味の隣接集団からのおすすめを受けたいというニーズが高まっているのではないかと分析できます。

 

生活者変化行動仮説:セルフプロファイリング消費

これらをもとに導きだされた生活者変化行動仮説がセルフプロファイリング消費です。

 

セルフプロファイリング消費は、購買を繰り返し試すことで、自分にとって合うもの、合わないもの、自分の趣味をどんどん明確にしていく消費の仕方です。

 

これまではパーソナライズな体験でも、診断に合わせて好みに合うものを届けることが重要でしたが、その場合、ユーザー自身が「何故これが合うのか」「何が合わないのか」までは分らないことが課題でした。

今後は、単に好みに合致したものを届けるだけではなく、その理由まで知ることができる、あえて好みから外したものを届けることで、何故自分に合わなかったのかを、自分の中でフィードバックし、知識が溜まっていくようなサブスクリプションサービスの体験が求められているのではないでしょうか。

 

本記事でご紹介した内容はトライブレポートの一部となります。

トライブレポート本編のないよいうにつきましては、information@seedata.jpまでお気軽にお問い合わせください。

 

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