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Written by
宮井 弘之
代表・ファウンダー

【トライブレポート紹介42】プレミアム系商品開発・新規事業アイデアのヒント(カルチャーシーカー)

はじめに~トライブレポートとは

SEEDATAは今後増えていくであろう考え方や行動を示している先進的な消費者グループ=「トライブ」を独自のリサーチによって発見、定義し、調査した結果をレポートにまとめています。

トライブ・リサーチから得られた知見を通じて、推進される企業のイノベーション活動を「トライブ・ドリブン・イノベーション」または「トライブ・マーケティング」と総称し、コンサルティング、支援を行っています。

トライブレポートの詳細と読み方については、こちらの記事をご一読いただければ幸いです。

トライブレポートの読み方

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文化を自分のライフスタイルに取り入れることの豊かさを追及する人びと

地域の魅力を探索し、未だ体験したことのない生活を探し求める人たちや、地域の味を求めるフーディスト、好奇心を満たすために旅に出るトラベラーなど、生活スタイルはそれぞれですが、SEEDATAでは豊かな生活を探求し、自らライフスタイルを作り上げる生活者をカルチャーシーカーと定義しました。

そのきっかけのひとつとなったのが、2011年に起きた東日本大震災であり、震災を機に人生の歩み方を深く考えるようになった人たちは少なくありません。たとえば、モノをたくさん持つことに違和感を感じ、必要最低限のモノだけを持ち、自然の流れを感じ取りながら生活する人や、都会の合理的ライフスタイルを捨て、地方で自分の価値観を大切にしながら生活することを選んだ人など、生活の在り方そのものを変えた人たちがいます。

カルチャーシーカーたちのライフスタイルも、こういった人生の過ごし方を考えた結果から登場してきた過ごし方といえるでしょう。

彼らに目を向けることで、今後人びとが求める豊かな生活の在り方、そしてごたわりを持って暮らす人たちの価値観を知ることができるでしょう。

カルチャーシーカーはSEEDATAがオススメしているトライブレポートのひとつです。

企業の方からは、「付加価値の高い商品やサービスを作りたい」、または「こだわりを持った人たち向けの商品を作りたいので、そういった切り口のレポートはないですか?」と聞かれることがよくあります。しかし、こだわりやプレミアムと一言でいっても、プレミアムの中にもボタニカルがあったり、食リッチがあったりとさまざまです。

それらを明確にするため、SEEDATAでは複数のトライブを用意し、具体的にどういうこだわり方を持っているのかをより深く調査しました。

つまり、単に「富裕層を知りたい」ではぼんやりとしすぎているため、どういった豊かさやどんなプレミアムな部分に、どのようにアプローチしているのかを知る必要があるのです。

たとえば、プレミアムの進化系の1つにボタニカルがありますが、「人や環境への配慮に消費者として向き合える体験を提供してもらえることは贅沢なんだ」といった切り口を作らなければ、一言で「付加価値」や「プレミアム」といわれても分かりません。

今回ご紹介するカルチャーシーカーは「豊かな文化を自分のライフスタイルに取り入れる」という意味での豊かさを追求している人たちです。文化に対して高い付加価値を感じている人たちの調査なので、さまざまな人に応用可能なレポートです。

カルチャーシーカーの特徴としては、SEEDATAが以前調査したフューチャーショッパーとは対照的な位置にあるため、この2つのレポートをセットで読むことで、今後の消費者トレンドの広がりを理解することができるでしょう。どちらも先進的ではありますが、先進性の方向は違った方向に向かっています。

カルチャーシーカーは基本的には手間をかける、時間をかけることを惜しまない人たちで、それが豊かさにつかながるという価値観を持っています。

フューチャーショッパーやサブスクリプションを活用している人たちの中には、自分の頭で考えるより人に選んでもらうほうが楽と考え、簡単・便利・即時のようなことをよしとしている人たちもいて、先進的ではありますがカルチャーシーカーとは真逆の考え方になります。

まず紹介したいのが、SoupStockTokyoの遠山さんの「片手に根っこを持って、片手に変化を持つ。そういった雰囲気の面白い時代になってくると思う」という発言です。

不確実で、日々絶えず変化する世の中で、最近では業者に頼まなくてもDIYで自作したり、工場に直接発注したりと、モノづくりや起業が容易になりつつあります。

遠山さんとは有識者としてお仕事をご一緒したこともありますが、人のこだわりや、こだわりを持った豊かな生活をしていきたいという思いで、さまざまな事業を生み出している方なので、彼自体がカルチャーシーカーといえます。

遠山さんはよく発意という言葉を使われていますが、自分でこんなことをしたい、こんな暮らしをしたいという気持ち、それを諦めず自分で作っていくことが大事なのではないかと考えています。

つまり、自分のやりたいという熱意(=発意)を実現するための環境は整ってきていて、発意と変化が訪れるタイミングは増えてきているといえるでしょう。カルチャーシーカーは発意を持ちながら変化の動きを感じ取り、自ら動き出す人たちなのです。

カルチャーシーカーのセグメントは以下の3パターンです(※1はセグメントではなく有識者になります)。

ローカルアクティビスト

地方の魅力を自分の視点で発見し、経験したことのない、未だ見ぬ出会いを大切にする、実験的な生活を好む人たち。地方の街が好きになり、地方好きが高じて移住したり、都会的でない生活を好む。

トラベルエクスプローラー

こだわりの強いキャンプ旅をしたり、知識を得るために探索的な旅行を楽しむ人たち。知的好奇心を満たすために突発的に旅に出る。今回はInstagramで有名なプロキャンパーにインタビュー。

カルチャーフーディスト

食に対するこだわりが強く、地場の味を求めて食旅行をしたり、食べ物から教養を学ぶ人たち。今回は長野の信州小諸で現地の旬な食材を使った食体験を提供している方にインタビュー。

ローカルアクティビストの方は、震災を機に、東京に暮らす便利さは本当の豊さではないと感じて移住し、そこで地産地消をしています。ここで私が指摘しておきたいのは、最近スーパーなどにある「顔の見える〇〇」という商品はむしろ商業的になってしまっていて豊かではないと思い始めていることです。「その顔写真のアイコンからでは、その人たちの時間や込められた思いが感じられない」という発言がありました。

象徴的なエピソードとしては、印鑑を作りに判子屋に行った際、この印鑑は誰が作るのか聞いたところ、法人名を言われてキャンセルし、おじさんがひとりで作っている町の判子屋さんを思い出してそちらに行ったそうです。

つまり、どんな人が作っているか分からない印鑑より、「この人が作っている」と分かることが贅沢であり、価値があるという価値観を持っているのです。

この思いが強くなってくると、食に関しても、東京ではなく、実際に作っている人の近くに住みたくなるのは当然の流れといえるでしょう。

トラベルエクスプローラーは移住こそしませんが、動く別荘をコンセプトにキャンプ生活をしています。

行った場所そのものが楽しいという部分もありますが、そこにかける手間や時間をじっくり味わたいと考えているため、どこの絶景スポットで写真をとろうか、行きたい場所を探す瞬間など、そのプロセス自体を楽しんでいます。旅行の前後にあえて手間をかけることにより、その旅がよりよいものになったと感じることができるのです。

また、モノの裏側を知るということは食ではよくありますが、カルチャーフーディストの浅間兄弟は、モノやコトを好きになるプロセスについて言及しています。「何かに好意を抱く過程に裏側を知るという経験があったり、表に出された情報だけで好きになったのではなく、裏にある情報を知ることを通じて好きになる、その過程にこそ価値がある」と発言しています。

この真意は、すべての情報を表に出してほしいということでは決してなく、裏側を知って好きになったという経験をしたいという意味です。

たとえば、某焼肉のタレについて、科学者の人たちが知識を振り絞って考えて作ったそれには人の思いや時間があるはずですが、その裏側をまったく感じることができないまま販売されていると指摘しています。つまり、その裏側が動画やストーリーとして少しでも見られたらもっと好きになれるし、もっと価値を感じられる、そういうことを含めて好きになる過程をデザインしていかなければいけないのです。

ただし、裏側を積極的に表に出しすぎるとそれはもはや表になってしまうため、裏側の情報の置き方はすごく難しく、見せられるのではなく自分で見つけて好きになるのが理想といえるでしょう。

このように、「豊かさ」と一言でいっても、細かく分解する必要があり、現代のこだわりの方向性は多様になっています。

カルチャーシーカーには現代の人のこだわりの中でもものすごく先進的なものがつまっていて、彼らを薄めたのが一般的な人たちのこだわりです。

調査の中でも何度も出てきていますが、「何が幸せか」と考えたときに、他の誰かの基準ではなく、自分の基準で考えて選択することが幸せであるという考え方が徐々に広がってきています。

ただし、現代の難しいところは、これがすべての人に広がっていくわけではないという点です。フューチャーショッパーのように合理的に選んでもらったほうがよいという価値観もあり、この2つの方向の先進層が出てきているとうことを理解する必要があるでしょう。

カルチャーシーカーにとって「流行」というものには、もはやネガティブなラベルがついています。情報が多いほうがいいとも思っておらず、むしろなるべく情報は少なくしたほうが自分の感覚は養われると考えていることも特徴です。

また、モノそのものより、熱意や意図を感じ取ったうえで価値を判断したいと考えているため、価格の高い低いではなく、手間をかけられたものが贅沢であり、それを感じ取りたいと思っているのです。

近年、イケダハヤト氏のような人物が注目されていることなどからも、「手間をかけることが贅沢」という価値観が広がっていることは分かります。

彼は東京から高地に移住して生活をし「高知では季節にあわせて自分の時間を自由にデザインできる」と発言しています。

東京では、外が暗くなっても街中ライトで照らされているため画一的な時間を過ごしますが、田舎では、夏は夜まで長く町が活性化しているから子育ての時間を長くとろうとか、秋には仕事を増やそうなど、季節に合わせた生活を送ることが可能だと指摘しています。

SEEDATAでは彼の発言を「子育てに手間や時間配分に自己裁量が生まれることが贅沢」というように解釈しています。

以前であれば、お金をかけて家庭教師をつけたり、英才教育でインターナショナルスクールに通わせたりするなど、「お金をかけた教育をすることが贅沢」と捉えられていましたが、「親子で過ごす試行錯誤の時間こそ贅沢」というように贅沢の軸が変化し始めているのです。

こういった大きな変化を踏まえると、「贅沢品」と一言でいっても随分難しくなってきていますが、カルチャーシーカーの持つ「手間や時間をかけたものが贅沢」という価値観から、ビジネスモデル視点で含意を導出すると、ローコストで高収益なプロダクトやサービスを作るヒントが眠っているともいえるでしょう。

要は、今後はこだわりの商品を作るときに原価という意味でお金をかける必要はないかもしれないということです。贅沢の概念が変わることで、ビジネス的にはローコストで高収益なのものがデザインできる可能性があるため、自分がターゲットとしているペルソナが、何を贅沢と感じるのかよく考える必要があります。

さらに、5年後10年後くらいに出てきそうなビジネスのアーリーウォーニングサインとして出てきているのが、「なんもしない人」という職業です。

参照記事:

https://bizspa.jp/post-68644/

Twitterのダイレクトメッセージで依頼を受け、「なんもしない」ことを条件に依頼者に自身を貸し出しています。

例として、1人では行きづらい店に同行する、ゲームの人数合わせ、場所取りといった場合にレンタルを依頼し、飲食代、交通費のみを支払うという仕組みです。

この事例から分かることは、今後はビジネスを始める際、こちら側からなにか価値を提供する必要はもはやなくなり、消費者が勝手に価値を感じてくれるようになっていくということです。

これまではローコストを考えてきましたが、ノーコストエクスペリエンスが出てくれば、サービスはそのための箱のような存在になっていくでしょう。仕入れや原価を発生させる必要がない形でも、そこに人が勝手にお金を払ったりするような、職業、モノ、場、ビジネスがこれから増加するであろうと私は洞察しています。

もちろん手間や時間、哲学など見えないコストは必要ですが、何かを仕入れるというような目に見えるコストをかけたからといって、もはやそれは価値の源泉にはならないのかもしれません。面白い時代です。

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https://goo.gl/maps/dcH89kaj5Y82

記事ではこれ以上はご紹介できませんが、ほかにもトライブレポートにはおもしろい機会領域が数多く掲載されているため、お問い合わせの際は、まずは気になるトライブレポート名と「〇〇ビジネスをやっています」ということをお伝えしていただければ、我々がトライブレポートをもとにビジネスアイデアをいくつかご提案し、コンサルティングさせていただきます。

あとは皆さんの会社がすでに持っているリソースと掛け合わせて、新規事業の場合はビジネスモデルを変える、または新商品・新サービスを生み出すなど、それぞれの課題に対応いたします。

たとえば、新商品を作りたいという会社の場合、SEEDATAが提携している会社とこのトライブが世の中に何万人いるかを調査し、その人たちにテストマーケティングしてみて伸ばしていくことも可能です。また、サービス開発の場合もプロトタイプを作ることができますし、ビジネスモデルの場合でも、ビジネスモデルに関する検証された知識を手に入れるPoB(Proof of Business)のプロセスに入ることも可能です。

SEEDATAへのお問合せはこちらから(コンタクトフォームに移動します)。

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