日本国内外の先端事例や生活者トレンドをSEEDATA独自の視点で分析し、ブログ形式で配信しています。News

Written by
SEEDATA
公開日:2018.11.30/ 更新日:2021.06.11

トライブ(tribe)

【トライブレポート紹介32】サブスクリプションサービス、新規事業アイデア企画のヒント(ソロテーマパーカー)

はじめに~トライブレポートとは

SEEDATAは今後増えていくであろう考え方や行動を示している先進的な消費者グループ=「トライブ」を独自のリサーチによって発見、定義し、調査した結果をレポートにまとめています。

トライブ・リサーチから得られた知見を通じて、推進される企業のイノベーション活動を「トライブ・ドリブン・イノベーション」または「トライブ・マーケティング」と総称し、コンサルティング、支援を行っています。

トライブレポートの詳細と読み方については、こちらの記事をご一読いただければ幸いです。

トライブレポートの読み方

[toc]

テーマパークに訪れるお客さんと聞いたら、思い浮かべるのは、ファミリー、恋人、特に女性の友人グループなどで、一般的に最も想像から遠いのは、男性が一人で訪れているシーンではないでしょうか。しかし、一人でテーマパークへ行く男性は確かに存在します。

そもそも、「おひとりさま」という言葉が流行ったように、ひとりで何かを楽しむという行為は昔からありましたが、ひとりで楽しむものといえばカラオケ、焼き肉などがメインでした。

また、女性なら、キャラクターなどの熱烈なファンが高じて一人でテーマパークへ行く人は昔から存在しましたが、基本的に2人以上で行って楽しむのが当たり前だったテーマパークに、男性が一人で行くというのは、おひとりさまの未来を表しているのではないかと考えました。

テーマパークの市場は想像以上に大きく、たとえば東京ディズニーリゾートの年間来場者数は約3000万人(2017年公式データ)と、相当な数の人が行っていることが分かります。

さまざまなテーマパークがある中で、今回は都心から近い、浦安にある有名なテーマパークにひとりで行っている20代男性5人と比較対象として女性2人にインタビューを行いました。当然ですが全員年間パスポートを持っています。

発信型ソロテーマーパーカー

ひとりで行くがSNSで発信しているタイプ

探求型ソロテーマーパーカー

アトラクションの装置を見て動き始めるタイミングを分析するなど、実際にテーマパークを運営している人よりマニアックな着眼点を持っている

分析型

ショーやキャラが好きで、コンテンツとして楽しみそれを分析している

発信型は分かりやすく、カメラを持ちキャラの写真を撮影して、何故こんなポーズをしているかをシェアして盛り上がるなど、ひとりで行っているものの情報発信を通じて人とつながろうとしているのが特徴です。

ある発信型ソロテーマパーカーは、小学生のときからディズニーランドへ行き始め、高校生になってショーの写真を撮るようになり、Twitterなどにあげたのがきっかけで情報発信することの楽しさに目覚めといいます。

特徴として、「パークのイベントには参加するが、パーク以外の世の中のイベントに参加するのは好きではない」という発言があげられます。

もうひとりの発信型ソロテーマパーカーは、キャラクターやショー好きが高じてテーマパークライターという肩書になってしまったという人です。

注目すべきは、年間パスポートを持ってから物足りなさがでてきたということ。「ワンデーで行っているのときのほうがワクワク感が大きかった。あまりに気軽に行ける場所になってしまった」というのはキー・トレンドにもつながる発言です。

また、自分のやっていることが「孤独」や「ひとりぼっち」という言葉で表現されるのは違和感があるが、「ソロ」という言葉は当てはまるといいます。

これは今後のコミュニケーションのヒントになる考え方で、彼曰く「ソロは目的があってひとりでも十分楽しんでいる言葉」なので、今後一人で何かを楽しむサービスを作る場合、「孤独」や「ぼっち~」ではなく、「ソロ~」と表現すると受け入れられやすいといえるでしょう。

探求型ソロテーマパーカーは、テーマパーク以外にも、旅行全般、イベントに参加したり何かを継続的に見に行くようなサービス全般に参考になるヒントがあります。

彼らは運営側が公式に発表している以上のことを発見して理解したいと考える、いわゆるエクストリームユーザーです。

特徴として「最初は開園ダッシュしていたのが、明日も明後日も行けるので心の余裕が生まれてダッシュしなくなった」という発言があげられます。そうなると何が起きるかというと、キャスト側の視点になり、周りへの気遣いが生まれるようなってくるそうです。

また、ワンデーのとき行っていなかったり、気が付いていなかったりしたものに気が付くようになるというのは、年間パスポートのようなものを持っていることならではの効果といえるでしょう。

このことからSEEDATAはある仮説を持ちました。その日、その回だけで売っている場合は、主要なもの、メインのもの、オススメのものを当然体験しようとします。ところが、サブスクリプションになると使い放題のため、心の余裕が生まれ、マニアックな掘り下げや、みんな気が付いていないものについて議論することで盛り上がったり、小さい趣味の集まりがたくさんできてくる可能性があるということです。このことはあらゆるサブスクリプションモデルに当てはまる可能性があります。すべての事業者が理解すべき事項です。

ビジネスモデルをサブスクリプションに移行していく場合は、こういった点に気がつかなければユーザーのライフタイムバリューを大きくすることはできません。

逆に、ユーザーが掘り下げたくなるようなマニアックなところにうまく誘導していくことができれば、使い続けてくれる可能性が高まります。

サブスクリプションにした場合、このような現象が起きてくるということは、新規事業でも新サービスでもつねに意識しておいたほうがよいでしょう。

一方、分析型ソロテーマパーカーは、男性のソロテーマパーカーとの比較するとキャラやショーが好きな女性です。

女性のソロテーマパーカーは基本的にキャラクターやショー、パレード、ダンスなどが好きな傾向が強く、彼女たちから見ると、最近はソロで来る女性は多いという印象が既にあり、今後さらに一般化してくる可能性があります。つまりテーマパークはもはやデートスポットでは収まらなくなっているのです。

今回ご紹介するキートレンドは、ソロの人たちはいつもソロで行っているわけではなく、ソロで行っても、あるときは知り合いがいるから連絡をとって会うなど、コミュニティはできているということです。サブスクリプションのサービスデザインをしたり事業を考える場合、ソロの人たちが常にソロだと思わないほうがよいでしょう。ソロが増えてきても、ソロ同士の集まりもあるし、いつも集団で来る人もいる、この人はソロ、この人は集団と分類しきれないようになってきています。

また、ソロテーマパーカーから見えてきた、サブスクリプションにした場合の超重要なビジネスリスクは、使い放題サービスにすると3年くらいを境に急にパークに行かなくなるということです。

ソロテーマパーカーのように勝手にマニアックな点に目を向けて続けてくれる人もいますが、そんな人ばかりではありません。前述したように、使い放題にしてもワンデーのときと同じ商売をしていると、飽きが加速して急にいなくなってしまうのです。

サブスクリプションサービスに移行にするときは、都度売りとは変わってくることを十分考えて離脱マネージメントを設計しましょう。

記事ではこれ以上はご紹介できませんが、ほかにもトライブレポートにはおもしろい機会領域が数多く掲載されているため、お問い合わせの際は、まずは気になるトライブレポート名と「〇〇ビジネスをやっています」ということをお伝えしていただければ、我々がトライブレポートをもとにビジネスアイデアをいくつかご提案し、コンサルティングさせていただきます。

あとは皆さんの会社がすでに持っているリソースと掛け合わせて、新規事業の場合はビジネスモデルを変える、または新商品・新サービスを生み出すなど、それぞれの課題に対応いたします。

たとえば、新商品を作りたいという会社の場合、SEEDATAが提携している会社とこのトライブが世の中に何万人いるかを調査し、その人たちにテストマーケティングしてみて伸ばしていくことも可能です。また、サービス開発の場合もプロトタイプを作ることができますし、ビジネスモデルの場合でも、ビジネスモデルに関する検証された知識を手に入れるPoB(Proof of Business)のプロセスに入ることも可能です。

SEEDATAへのお問合せはこちらから(コンタクトフォームに移動します)。

【関連記事】

新規事業、新商品・新サービス開発のアイデアまとめ

【トライブレポート紹介30】AIファースト時代のサービス開発、新規事業開発アイデアのヒント(botter)

コメントする

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です