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SEEDATA
公開日:2018.07.20/ 更新日:2021.06.09

トライブ(tribe)

【トライブレポート紹介⑫】リラックス系商品開発、新規事業アイデアのヒント(アラパー)

はじめに~トライブレポートとは

SEEDATAは今後増えていくであろう考え方や行動を示している先進的な消費者グループ=「トライブ」を独自のリサーチによって発見、定義し、調査した結果をレポートにまとめています。

トライブ・リサーチから得られた知見を通じて、推進される企業のイノベーション活動を「トライブ・ドリブン・イノベーション」と総称し、コンサルティング、支援を行っています。

トライブレポートの詳細と読み方については、こちらの記事をご一読いただければ幸いです。→トライブレポートの読み方

都会のカフェでのリラックスには今後2段階の休息が求められている

アラパーとは「Around thePark(アラウンド・ザ・パーク)」の略語です。

東京の代々木公園近くにあるレストランが発行するZINE内の記述に端を発するこの言葉は、「代々木公園やその周辺にあるような、オシャレなコーヒースタンドやレストランに集う人びと」を指し示しています。

このレポートを作成した2015年の生活トレンドを表すキーワードとして「上質な暮らし」や「サードウェーブ系男子」などが挙げられますが、アラパーはそのような概念を内包しつつ、より具体的です。彼ら・彼女らは都心にある公園やその付近に集まる、ある程度の富裕層です。快適な生活のためにお金を惜しまない性質を持ちつつも、肩の力が抜けている青年層(20~30代)と言えます。公園という場所を中心に考えるという点に新しさがあります。

規模がそれなりに大きい都市であれば、都市部の中心に大きな公園があり、そこが都市における進んだ暮らしの中心になっていることも多く、たとえば札幌の円山公園、富山の環水公園などが例として挙げられ、海外に目を向ければニューヨークのセントラルパークやロンドンのハイドパークも思い浮かびます。

公園に集う人びとにはどのような共通点があり、また、地域ごとにどのような違いがあるのでしょうか。これらを調べることで、新たな生活トレンドを考えるきっかけがが見つかるはずです。

アラパーはSEEDATA的には遊び心をもって調査したトライブなので、これで新規事業などをしようというつもりはとくになかったということを大前提として(笑)見てもらえたらと思います。2015年当時、新商品開発では「プレミアム」「上質な暮らし」「サードウェーブ系」などのキーワードがよく使用されていました。これらをもう少し分解して言い換えると、「そんなに派手ではないが、少しよいモノが欲しい」ということになりますが、これではまだなんとなくぼんやりとしているので、もう少し客観的にセグメントして、フォーカスをあてようというのが調査のきっかけです。

10年以上商品開発に携わる中で、最近では前回(※リンク)ご紹介したボタニカルというキーワードのもと、さまざまな商品が出てきていますが、とくにこの5~10年くらいはプレミアムブームというものがありました。企業の新商品開発の担当の方からは「プレミアム〇〇を作りたい」というご相談を多くいただき、通常商品の1.5倍くらいの値段に設定した商品をプレミアムと銘打って販売していました。

この「プレミアム系商品を使っているユーザーを調べたい」と言われて、そもそも「プレミアムとは何か?」とずっと疑問に思っていた私は、プレミアムなモノを好む人たちをデモグラフィックに定義できないかと考えたのです。

この場合、よくやりがちなのは住んでる場所で、たとえば世田谷や自由が丘に住んでいるなどでは少し違うなと感じました。もっと全国均一に使える切り口はないかと考えたときに、気が付いたのが「公園の近く」でした。

「プレミアム商品が好き」という消費者の背後にある意識と、「代々木公園の近くっていいよね」とか「円山公園を散歩するのっていいよね」と思っている人たちの背後にある意識が一致するのではないかという仮説に辿り着いたのです。

そこで、流行の最先端を好む人たちをトライブと仮定した際に、その人たちが公園に対して思っていることや、公園とどう付き合っているかをみれば、ちょっと上質や、プレミアムのヒントを言語化できるのではないかと考えました。いつものトライブレポートのように今後増えていくというよりは、これは昔から存在する人びとを新たに定義した少し変化球なレポートと思っていただければ幸いです。

冒頭でも触れたとおり、都市にはNYでいえばセントラルパーク、ロンドンのハイドパーク、札幌の円山公園、東京でいえば代々木公園など、街の中心に公園があって、公園にいるような人たちや公園が好きな人たちが、上質な暮らしのヒントになるのではないかという、かなり変わった調査を行いましした。

まず、アラパーには、公園の周りにあるカフェやお店がいいと思っている人と、公園の周りのコミュニティを大事にしている人が存在します。

また、公園の周りにお店を出す人たちへのインタビューと、全国の有名な公園の特徴についてデスクリサーチを行いました。

調査の結果、「アラパーこそががサードウェーブ系の正体なのでは?」という仮説が浮かび上がりました。「(ある条件を満たした)公園の周りのお店や公園で休日や余暇を過ごすことが好きな人」と定義すれば、サードウエーブ系というぼんやりしたクラスターをもう少し尖らせて分析できるのではないかと考えました。

公園周りにできる店は時代の空気を映し出す鏡ともいえるので、商品開発を担当している方たちは、公園周りにできている店を定期的に訪問して観察することで、今のトレンドがわかるはずです。

また、今回ご紹介する機会領域は、新規事業というより商品開発を手掛けている方でなければピンとこないかもしれませんが、一応お話しますね。最近、マインドフルネスや癒しなどのジャンルの商品の開発に携わる方々から「人々のリラックスや休息に対して価値を提供したい」とよくご相談を受けます。ただ、この「リラックス」という言葉だけだとぼんやりしているためMVPには落ちません。

ここで重要なのは、リラックス、癒し系の新規事業や商品を開発したいと考えている方は、休息やリラックスをせめて2、3種類程度にしっかり分解し、どんな休息やどんなリラックスなのか、それぞれごとにユーザーが異なるということを理解して、どのユーザーに対してはどのタイプのリラックスを提供することをMPVにするのか、または新商品・新規事業案のコンセプトにするのかを考えるべきです。

いずれにしても、リラックスという言葉だけでは新商品のアイデアや新規事業のコンセプトにはなり得ません。リラックスという価値を一段深掘りしたところで捕まえる必要があります。そのような前提のもと、我々が提案しているのが「二段階休息のデザイン」です。

とあるアラパーのトライブから、「カフェで休むことと公園で休むことはかなり違う。いきなりカフェに行くより、まず公園に行って休息したい」という発言がありました。つまり、まず喧噪からいったん離れること=公園に行くことが一段階目のリラックス、休息の意味を成しているのです。

その後、さらなる癒しを求めてカフェで落ち着きたいというインサイトがあり、一言で「休息」といっても、このくらい細かな機微があるということが分かります。

商品開発の場合、コンセプトをしっかり特定する必要があるので、アラパーをヒントにリラックスや休息といっても細かな違いがあるということを理解し、自社の商品やサービスが提供したい癒しや休息はなんなのかを、しっかりと考えてみてはいかがでしょうか?。

「ここまで狭く考える必要があるのか?」と疑問に思う方もいるかもしれませんが、この程度まで細かく尖らせて考えなければ、新商品案のコンセプトは磨かれていきません。

公園の近くのカフェというのは、二段階休息で癒しや休息を求める人々の欲求に応えているからこそ人気が出るのであって、まだ2段階休息にはなっていない都会の中にある公園は、今後ニ段階休息をどう実現するのかをデザインしていくことが、さらなる飛躍のヒントとなることでしょう。

記事ではこれ以上はご紹介できませんが、ほかにもトライブレポートにはおもしろい機会領域が数多く掲載されているため、お問い合わせの際は、まずは気になるトライブレポート名と「〇〇ビジネスをやっています」ということをお伝えしていただければ、我々がトライブレポートをもとにビジネスアイデアをいくつかご提案し、コンサルティングさせていただきます。

あとは皆さんの会社がすでに持っているリソースと掛け合わせて、新規事業の場合はビジネスモデルを変える、または新商品・新サービスを生み出すなど、それぞれの課題に対応いたします。

たとえば、新商品を作りたいという会社の場合、SEEDATAが提携している会社とこのトライブが世の中に何万人いるかを調査し、その人たちにテストマーケティングしてみて伸ばしていくことも可能です。また、サービス開発の場合もプロトタイプを作ることができますし、ビジネスモデルの場合でも、ビジネスモデルに関する検証された知識を手に入れるPoB(Proof of Business)のプロセスに入ることも可能です。

SEEDATAへのお問合せはこちらから(コンタクトフォームに移動します)。

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たとえば、新商品を作りたいという会社の場合、SEEDATAが提携している会社とこのトライブが世の中に何万人いるかを調査し、その人たちにテストマーケティングしてみて伸ばしていくことも可能です。また、サービス開発の場合もプロトタイプを作ることができますし、ビジネスモデルの場合でも、ビジネスモデルに関する検証された知識を手に入れるPoB(Proof of Business)のプロセスに入ることも可能です。

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