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SEEDATA
公開日:2019.08.05/ 更新日:2021.06.09

商品開発(product development)

【商品開発のプロセス18】デプスインタビューの方法⑤インタビュー聞き方編

前回、前々回とインタビューフローの考え方インタビューフローの書き方についてお伝えしてきましたが、今回はSEEDATAのデプスインタビューの聞き方のポイントについて解説します。

デプスインタビューの聞き方のポイントは大きく以下の4つです。

⓪事前連絡

インタビュー対象者とアポイントを取る場合には、調査会社経由、もしくは機縁法というリクルーティング方法があります。調査会社経由とは、調査会社に対象者リクルーティングを依頼し、調査票を作成して、調査会社のパネルから対象者を選定する方法です。一方で、ここでいう機縁法とは、知り合い経由、あるいはブログなどから該当する対象者を見つけ、直接調査依頼し、対象者を集める方法です。機縁法で、対象者と事前連絡が取れる場合は、インタビューの日程や当日に向けた挨拶などをやり取りします。が、その際に一点注意することは、インタビューフローを事前にお送りしないようにすることです。

取材の場合は、事前に取材内容(=インタビューフロー)をお送りして、あらかじめ答えていただくことを用意してもらう方が進めやすいですが、インタビューではなるべく、対象者の価値観や潜在的意識を深堀りすることを大切にするため、事前に質問を送ると、質問に対する答えが用意されてしまう可能性があります。

デプスインタビューでは、対象者が普段から思っていることをヒアリングするのではなく、意識していなかった部分までヒアリングすることが目的のため、対象者にはあえて何も用意せず来て頂きヒアリングをおこない、そこから深堀りしていきましょう。

①ラポールの形成

ラポール=信頼関係を意味する言葉ですが、インタビューの際は初めに信頼関係をきずくことが重要です。

初めてインタビューに来る方は、調査に慣れておらず、少し不安感があったり、緊張していることが多々あります。その状態で踏み込んだ内容を聞かれても答えにくいため、スタートはなるべくカジュアルな雰囲気作りを心がけます。

インタビューフローではここで、趣味やアクティビティなど、なるべく話しやすい質問を最初に用意し、対象者が砕けた雰囲気で話しやすくなることを意識しましょう。

また、ヒアリングの際は、対象者の目をしっかり見て、堅苦しい雰囲気をもたないような意識をします。

インタビューでよくある失敗として、インタビュアー全員がパソコンを開いてインタビューをおこなうことです。対象者となかなか目が合わず、パソコンが壁となり、対象者とフランクに話すことが難しくなってしまいます。そのため、パソコンは議事録をとる人のみが開き、ほかの参加者はなるべく対象者と話すようにしましょう。

どうしてもパソコンが必要な場合は、パソコンを斜めに置き、対象者との物理的壁を作らないことが大切です。

②インタビューの際の意識

われわれがインタビューの際に大切にしている考え方は「インタビューは対象者から引き出すのではなく、一緒に考える」という姿勢です。

対象者が考えることが難しい内容は「この質問は一緒に考えていきたいのですが」という風に、一緒に作り上げていくことを意識します。

SEEDATAがよくおこなうのは、インタビュー中に純粋想起で対象者が感じていることを聞くだけではなく、たとえば「以前の対象者は〇〇という考え方を持っていましたがBさんはどう思いますか」という風にほかの対象者がいっていたことをあえて聞いてみたりします。

そういう状況なら私はこう思うかも知れないという風に、持っていた仮説の検証を実施することができます。

③深掘りを意識 

フロー作成編とも重複しますが、インタビューフローに書かれた内容をただ聞くだけではなく、「何故そう思ったのか」「Aの場合とBの場合はどうか」など、むしろフローに書いていない内容をなるべく深堀りしていくことが重要です。

深掘りの際に大事なのは、インタビュアーが対象者の発言の情報を整理しながら話すことです。

たとえば、「平日に料理作る際、いちばん手間だと思うことは何ですか?」という質問に対し「献立を考えることです」という回答が得られたとします。その回答に対して「場合分け」できないかを考えます。

たとえば「では、平日ひとりのときの献立と、家族がいるときの献立だと両方面倒ですか?」「旦那さんのいる日の献立と、いない日の献立ではどうですか?」など、想定されるシーンで場合分けをしたり、「先ほどはあのような答えでしたがこの場合はどうですか?」など、今まで出てきた内容や想定されるシーンをこちらから出していき、場合分けの整理をしていくことが大事です。

そうすることで対象者にも「このときはこうだがこのときはこう」など場合分けをしながら考え方を共有してもらうことができます。

このように、単に「何故、何故」ではなく、情報の整理をしていくことが重要です。

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