前回はインタビューフローの考え方でしたが、今回はインタビューフローの書き方編です。
今回はSEEDATAがどのようなフォーマットでインタビューフローを作っているかをご紹介します。
はじめに、インタビューフローを作る際の重要なポイントは以下の2点です。
①大から小に流れていく
②行動と意識に分けて考える
①大から小に流れていく
インタビューフローの大枠のイメージは、大きい話から小さい話に流れて順序立てていくということです。はじめに対象者の生活や全般の質問話を置き、詳細な話は最後に持ってくるようにします。何故なら、対象者の生活全般を理解しなければ、細かい点について詳しく聞いていくことは難しいからです。
前回までの主婦をテーマとすると、まずは1日の過ごし方(平日・休日)や、生活全般の話を聞いた後に家事の詳細や、使っている食材や調味料など細かい話に落としていくという順番でフローを作りましょう。
また、1日の過ごし方など大きい話からヒアリングしていくことで、インタビューに答える対象者も自分の考えを整理して話やすくなります。
②行動と意識に分けて考える
インタビューフローを作る際のもう一つのポイントは、ヒアリングする手順を
・行動に関する質問
・意識に関する質問
に分けて考えるということです。
例:
「平日の買い物で絶対買うものは何ですか?」→具体的な行動に関する質問
「平日の買い物で時短のために意識していることは何ですか?」→意識に関する質問
このように行動と意識に関する質問は分けて考えましょう。
また、ヒアリングの順序は行動の質問→意識の質問の順番で聞くようにします。
意識の質問を先に聞いてしまうと、頭の中では自分の具体的な行動を想像しながら話すことが多いため、その後行動の質問を聞くと、先に答えた行動の話を考えてしまい、対象者が限定的な行動しか想起できなくなるというデメリットがあるからです。そのため、まずは行動の質問を聞く必要があります。
基本インタビューフローについて
【基本インタビューフロー】
キークエスチョン
調査するセグメントについて
0.インタビューの目的
1. セットアップ
・ 準備(モデレーターと対象者位置、カメラ承諾)
・ モデレーター・イントロ (議事録の文章化・録音の承諾)
2. 生活者情報(生活のリズム・趣味・価値観)(00min / 00:00)
・自己紹介(アイスブレーク要素を含める)
・名前、年齢、職業、
・趣味やアクティビティ
3. 生活の過ごし方(00min / 00:00)
・〇〇頻度
・平日の一日
・休日の一日
4.個別テーマ①について(00min / 00:00)
5. 個別テーマ②について(00min / 00:00)
6. segment質問について(00min / 00:00)
7. その他(00min / 00:00)
上のフローはSEEDATAでおこなっている定性インタビューの基本的なインタビューフローです。通常このスケルトンに、実際の要素を入れ込んでいきます。順に解説していきます。
(今回はインタビューフローの書き方を説明し、インタビュー時のポイントは次回ご説明します)
キークエスチョンと調査セグメントを記します。実際のインタビューで聞く質問は、0.からの数字で記したところからスタートします。
キークエスチョン&セグメント
まず、インタビューでもっとも重要なキークエスチョンと、セグメントの説明を載せます。ヒアリングを進めていくと、想定していたセグメントとは異なるケースもあるため、どんなセグメントがあったか見やすいように一覧を載せておく必要があるのです。
また、ここには対象者の事前情報(スクリーニング調査の回答情報など)もなるべく載せておきます。リクルーティングした時の条件、たとえば、性年代、オープンアンサーに何を書いていたかなどが当てはまります。
0.インタビューの目的
ここからがいよいよインタビュー項目です。
まず、対象者に今回はどんな目的でインタビューをするのかあらためて趣旨を説明します。
たとえば「今回は主婦の家事時間の過ごし方についてヒアリングするために来ていただきました。普段おこなっている行動や考え方についてお聞きたいと思います」というように、対象者に説明するイントロダクションを記載しておきます。
1.セットアップ
目的の説明が終わったら、自己紹介と録音の許諾や議事録をとることの許諾をします。
アイスブレイクの意味もこめて、簡単に自分たちの紹介をしていきましょう。
2. 生活者情報(生活のリズム・趣味・価値観)
次に対象者に自己紹介として、名前、年齢職業、趣味・アクティビティなどの基本的な情報をヒアリングします。
この際、名前や年齢職業は事前のリクルーティングで知っていても、間違いがないかという確認のため、またアイスブレイクのためにも再度行いましょう。
趣味やアクティビティは、調査と直接関係しなくてもお互いの共通点を見つけられたり、カジュアルに話せるきっかけ作りとなるため、入れておくことをオススメします。
3. 生活の過ごし方
ここからが本題で、まずは対象者がどんな生活をしているのかを聞いていきます。SEEDATAではさまざまな生活者の調査をしていますが、だいたいどんな調査にも「一日の過ごし方」は入れるようにしています。
平日と休日の過ごし方だったり、職業によっては日勤と夜勤の場合など、対象者の生活に合わせて1日のパターンを分けて聞いていく必要があります。
ここでは、起床から就寝までの一日の過ごした方を聞くだけではなく、たとえば今回のインタビューが家事行動に関する調査だとすると「家事にまつわることはなるべく詳細に教えてください」というように、調査内容にあわせて1日の様子を聞くようにします。
たとえば「家事を意識する時間をなるべく詳しく教えてください」というように聞くことで、「夜ご飯を作り始める前の16時頃にお茶を飲み、気分のモードスイッチを入れ替えている」など、細かい要素を聞き出すことが可能です。
ここはさらっと聞くのではなく、行動の話が出てきたらその時の気持ちなども聞きながら、比較的時間をかけて質問していきましょう。たとえば先ほどの回答に対して「お茶を飲むのはなぜですか?」などと質問してこの内容を深堀りしていきます。
4.5.個別テーマ①~②
個別テーマは大きなものを1、2個くらいは用意しまょう。
たとえば家事についての質問や、使っている調味料についてなど、個別のテーマの中にキークエスチョンを入れていくイメージです。
キークエスチョンははじめにダイレクトに聞くのではなく、個別テーマの中に自然に紛れ込ませて入れていくようにします。
6. segment質問について
ここではセグメントごとに聞きたい質問を聞いていきましょう。
7.その他
ジャンル分けできないが聞きたほうがいい内容などを入れておきます。
以上のような形でインタビューフローを作っていきます。
1題目につき5つくらいの大きな質問があり、さらに小さい質問に分岐していきますが、そこまでは記入しておいた方がよいでしょう。インタビューフローはこの「どこまで詳細に書くのか」という点もひとつのポイントです。
たとえば対象者が「A」と答えたら「何故Aと思ったのですか?」というように、詳細に書こうとすれば無限に書けてしまうため、あまり詳細に書くことはオススメしません。フローが完全な台本になってしまうと、インタビュアーは「これをすべて網羅しなければいけない」と思ってしまうため、なるべく深堀りの質問は書かないことをオススメします。
インタビューフローは完璧な台本ではなく、当日のアドリブを含めた意味でのフローであると考えましょう。
また、SEEDATAでは、インタビュアーとフロー作成者が異なる場合がありますが、インタビューフローは数人で作ることが多く、完全に初見でインタビューに行くことはほぼありませんし、オススメしません。何故なら「インタビューフローには書かれていないが、このような意図がある」ということもあるからです。