Written by
佐野 拓海
チーフ・プロデューサー
2019.12.19 | DNVB

D2Cコスメ界隈で盛り上がる「クリーンビューティー」というトレンド

これまで当ブログでは、国内外のさまざまなDNVB、D2Cをご紹介してきましたが、とくに化粧品のDNVB分野では「クリーンビューティー」という大きなトレンドが訪れています。この流れを受け、先日資生堂がアメリカのスキンケアブランド・Drunk Elephant(ドランクエレファント)を買収しました。

記事にあるとおり、Drunk Elephantは、ミレニアルやGeneration Zと呼ばれる若年層を含む幅広い顧客の価値観の変化を捉え、高い支持を得ているスキンケアブランドです。
資生堂は、アジアの生活者が今後ますますクリーンビューティー求めていくことを予測して、Drunk Elephantを買収しました。

では、そもそもクリーンビューティーの定義とは何なのでしょうか? ナチュラルとは違うのでしょうか?
近年日本の化粧品では「オーガニック」「ボタニカル」というコンセプトは一般的になりつつあり、もはやこのコンセプトが付いているだけでは商品を購入しないといわれています。「オーガニック」「ボタニカル」であることに加えて、自分と環境にとってよりクリーンな品質(製造工程、環境など)、パーソナルで安心感のあるブランドの存在感を人々は求めているのです。「ナチュラル」と「クリーン」の違いでいうと、「クリーン」ビューティー商品は決して、自然な成分だけとは限らないということがポイントです。なぜなら自然な成分=身体に良いとは限らないからです。それ以上に、あなたにとって、そして地球にとって、有害な成分が含まれていないことを「クリーン」と表現しています。
クリーンビューティーはもはや、この言葉がついているだけで生活者の購買意欲を掻き立てるようなビッグコンセプトのひとつといえるでしょう。

しかし、化粧品において「どのようにクリーンさを演出するか」は、多くのブランドが試行錯誤している最中です。
そもそもクリーンブームは、もともと食品において見られたコンセプトでした。食品分野で、オーガニック、無添加、ノン化学調味料などを人びとが求め出したことが、化粧品分野にも転用して生まれたトレンドです。
そこで、食品以外の化粧品のジャンルでも、食用成分を使うことでクリーン感を出そうと試みるブランドが増えています。

ひとつめにご紹介するのが、スキンケア製品のDIYレシピを紹介する「Clean Beauty Insiders」というポッドキャストから生まれたDNVB「Bybi」です。

Bybiの商品ラインナップには、アボカドのフェイスマスク、ウコンのボディスクラブ、ブルーベリーオイルといった身近な食材がずらりと並んでいます。
現代のマーケティングでは「何を作るかより、誰が作るか」のほうが重要視されるようになってきていますが、これは化粧品においても同様です。
肌に悪いものはなるべくつけたくないという人々は、よりクリーンなものをつけたいと考えるようになります。そこで、もともとスキンケア製品のDIYレシピを紹介する「100 レシピ for skin」という本を出版している人々が作ったブランドだからこそ、ユーザーは身体に無害なモノ以外は使用されていないという安心感、信頼感を得ることができます。この安心感こそが「クリーン」さにつながっているのです。

クリーンビューティーやクリーンスキンケアは新しいブランディング方法です。今後ますますクリーンビューティーがもてはやされるようになれば、それだけでは差別化できないため、どのようにクリーンであることを証明し、生活者の信頼を勝ち取るか?というブランディングで差別化していく必要があるのです。
Bybiの強みは「もともとDIYコスメを作っていた」という点であり、彼らが作っているものなら良いものに違いないと、生活者から共感を集めています。

このように、クリーン、お手製、手づくり…といったようにスキンケア商品も食べ物に近いトレンドが生まれています。
実際は「クリーン」や「クラフト」といったコンセプトもブランドが生んだものであり、世界共通の厳密な定義はありませんが、ブランディングの一環として日本でも今後確実にブームが訪れることでしょう。

Bybi以外にも、食用成分を使用してクリーンビューティーを謳うブランドは数多くあります。

たとえばfrank bodyはコーヒー豆を使ったボディスクラブをメインプロダクトとして販売しています。

Homepage

彼らの哲学は「Clean, not complicated skincare」です。
つまり、複雑なスケンケアはいらない、よりシンプルなものを追求しようという哲学を掲げています。

 

また、フランスのtypologyは、「基本に戻ること」を哲学としています。

これまで化粧品は化学物質によって発展してきましたが「基本に戻る」、つまり化学物質以前の原始的な手法に戻るということで、plants=植物や食物の成分から開発をおこなっています。
原材料に使われているのも、サボテン、ヘーゼルナッツ、ピスタチオ、ローズヒップ、アボカド、アスパラガス…と実にさまざまです。

 

このように、クリーンビューティーというトレンドは日本でも今後広がっていくでしょう。ただし、消費者の生活にこれまでなかった習慣をゼロから取り入れてもらうことは難しいため、例えば日本でも昔からある「おばあちゃんの知恵袋」のような慣習にヒントを得ることで、より受け入れられやすく、クリーンな商品を生み出すことができるかもしれません。当然、単純に食材だから、自然由来だから、環境に優しいから、というだけではなく、ここにスキンケアとしての確かなエビデンスがなければ、ブランドとしては成り立ちません。
これらの要素に加え、これまでご紹介してきたような、サスティナブル、エシカルといった、地球にとっても有害ではない商品であるかということも抑えておく必要があるでしょう。

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