D2C(Direct-to-Consumer)の成功については以前下記の記事でも触れていますが、今回はネットビジネスや通販の観点から解説します。
【D2Cの事例②】FABRICTOKYOに見るD2Cの立ち上げ方
これまでより起業のハードルが下がったという話をしましたが、もっと具体的にいうと、
①ECをやるハードルが下がった
②ソーシャルメディアが日常化した
という2点が大きな理由としてあげられます。それぞれについてみていきましょう。
①ECをやるハードルが下がった
商品を見るために店舗に行き、購入は安いネットでするという行動をショールーミングといいますが、いよいよECでなんでも買える時代になりました。
しかしECの台頭の理由は、単に種類の多さだけではありません。品揃、利便性、価格以上に、「店員に話しかけられないですむ」ということがECを選択する理由として明らかになっています。
つまりECは、顧客が接客レベルを自らで選択できるものであり、それが買い物のしやすさにもつながっているのです。
②ソーシャルメディアが日常化した
商品を知る場所や機会が、CMや屋外広告、店舗などに加え、SNS上で知るということが圧倒的に多くなり、そのままオンラインで購入するという流れが一般化しています。
また、カメラ、編集、写真素材、決済システムなど、何もかもが進歩し、自らハイクオリティに発信することが可能になったことで、哲学を伝えることが容易になりました。
上記の2点以外にも、小ロット生産が可能になったという点もあげられます。
ベンチャーのsitateru(シタテル)や、OEM工場でも、かなり小ロットに対応できるところが増えています。3Dプリンターのfablab(ファブラボ)のような技術も含め、成型や生産が小ロットでできるようになったこともD2Cが伸びている要因といえるでしょう。
最後にSEEDATAが考える、EC企業の文脈からみたD2Cの成功の最大の背景は、消費者がECや普通の商品に飽き、ストーリーを求めるようになってきているという点です。
つまり、これまでのECプレイヤーはストーリーよりも効率性や即効性あるキーワード伝達を求めていました。一部のプレイヤーを除いてストーリーを丁寧に発信していくという手法はなかなか馴染まないものでした。
簡単にいえば、そこに顧客体験やストーリーを重視したECとしてD2Cが登場したのです。
機能の高い商品を効率よく配給するということを多くの人が追及した結果、消費者のECへの飽きや、同じような商品ばかりでストーリーがないことへの飽きといった過満足(過剰に満足させられることへの飽き)が起きました。
そこでよりエッジの効いた哲学やストーリー、効率性以外の体験を強く求めるようになったというのが、D2C成功の大きな要因だと考えます。