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SEEDATA
公開日:2019.09.19/ 更新日:2021.06.11

DNVB

【D2Cの事例②】FABRICTOKYOに見るD2Cの立ち上げ方

以前、当blogでDNVBの事例として、丸井がFABRICTOKYOに出資したという記事を取り上げ解説しましたが、FABRICTOKYOがなぜ、どのようにD2Cをおこなうのかというスライドを公開しています。

【DNVBの事例➈】DNVB(デジタル・ネイティブ・バーティカル・ブランド)とデジタル・ネイティブ・ストアの違い

なぜやる?どうやる?進撃のスタートアップ(2019版)byFABRICTOKYO/Why How D2C Start Guide

出典:http://yuichiro-mori.com/2019/08/speakerdeck-why-how-d2c-startup/

今回はこのスライド内容についてSEEDATAなりの解説をします。

FABRICTOKYOとは?

出典:https://fabric-tokyo.com/pages/suit-lineup/?vialink=header

まず、前提として、FABRICTOKYOの特徴は、採寸体験に特化したリアル店舗があり、採寸データはクラウドに保存され、その後オンラインオーダーが可能なD2Cブランドです。

このスライドを作ったFABRICTOKYO代表の森氏は、2007年からファッションメディアなどの立ち上げをおこない、7事業に携わったのち、2010年にFABRICTOKYOを立ち上げました、典型的なシリアルアントレプレナーといえるでしょう。

これは以前のblog記事でも紹介していますが、現在成功している創業者のほとんどは、過去には多くの事業立ち上げを経験しています。その経験から、成功するノウハウというより「失敗しないノウハウ」を身につけ、あるとき時代の流れに乗ったビジネスを始めて軌道に乗るパターンが多いという特徴があります。FABRICTOKYOはまさに、D2Cの流れをしっかり掴み成功した事例といえます。

FABRICTOKYOが考える3つのチャネルの完全連動

スライドの中でも特徴的なのが「完全連動」という言葉です。

SEEDATAのblogでもDNVBには

  • 通販のチャネル
  • サービスのチャネル(顧客体験)
  • 哲学のチャネル

という3つのチャネルが必要と解説しましたが、森氏も「3つのチャネルが完全連動する必要がある」と考えているのではないでしょうか?

この完全連動の意味するところは、たとえば、slackが既存のチャットより使いやすいのは、ひとつひとつの機能がきちんと連動しているからです。

「ひとつの機能だけが尖がっていてほかと違う」というのは典型的な差別化の考え方ですが、単機能にサービスを分解して考える形の差別化は現代のサービス競争では通用しません。ひとつひとつの機能軸を全部ひとつの体験として、顧客データや顧客のフィードバック(=ファーストパーティデータ)を根拠に統合していく必要があります。この「すり合わせ」の概念には日本の製造業にはもともとあったものですので、製造業の方はしっくりくる考え方なのではないでしょうか?

FABRICTOKYOのD2Cの定義

スライドの中ではFABRICTOKYOの考えるD2Cの定義がいくつか紹介されています。

  • ECで直販する(卸さない)
  • まずオンラインから始める
  • 売るための店舗ではなく顧客体験のための店舗を持つ
  • その店舗をテクノロジーのアプローチで作る(一次情報がとれる、一次情報が活用できる)
  • ECサイト前提で店舗のUXを設計
  • オンラインとオフラインで直接顧客と接する

FABRICTOKYOの場合、アクセスデータをもとに出店エリアを決めていて、これはまさに一次データの取得と活用ですし、DNVB的考え方といえるでしょう。

カスタマーとの距離を近くすることのメリットはこれまでもお伝えしていますが、直接つながることで、哲学のチャネルができ、これによりブランドビジョンが伝えやすくなります。

いくら費用をかけて企業広告をうったりブランドブックを作っても、ブランドのビジョンは伝わりにくいものですが、熱狂的なユーザーと繋がる哲学のチャネルがあれば、ユーザーが独自に口コミし、広めてくれます。

オンラインだけでなく、コトパクシのようにイベントをおこなう方法も効果的です。

FABRICTOKYO自体は自社のビジネスを「D2C」と定義していますが、SEEDATAの考えるDNVBと限りなく近い考え方といえるでしょう。

では、アメリカのD2C事情はどうでしょうか。

オンライン上から始まるのがD2Cとはいえ、アメリカではテレビ広告も増えたり、VCの投資も増えています。

D2Cの広がりは、既存プラットフォームのシェアが拡大し、それらにすべておさえられてしまうことへのカウンターがベースです。自社で流通チャネルを持たず既存プラットフォームを活用している小規模事業経営者たちは、「自社の商品をどんな人が購入されているかほぼ答えられない」という現状があります。これが「DNVBやD2C」と「EC」の根本的な差といえるでしょう。

自社で流通のチャネルを持ち、ファーストパーティーデータを取得することがいかに重要か、その点に気づき始めた人々がD2CやDNVBを始めているのです。

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