日本国内外の先端事例や生活者トレンドをSEEDATA独自の視点で分析し、ブログ形式で配信しています。News

Written by
SEEDATA
公開日:2020.07.21/ 更新日:2021.07.12

D2C

オンラインでのD2C的コミュニティの作り方

2020年7月現在、世界中で猛威を振るうコロナウイルスの影響により不要不急の外出が自粛され、バーや小規模飲食店、ライブハウスや映画館といったエンタメなどのリアル店舗が大打撃を受ける中で、早急な課題は「オンライン上でどのようにユーザーとつながり、売り上げを得るのか」ということです。

現状の飲食店向けサポートとしては、数か月先の食事券をオンラインで発行して購入するという先払いチケットや、クラウドファンディングに近い形で顧客の善意によってお金を集める方法が注目されています。

しかしドネーション的な一方的支援は、コロナウイルスが1、2カ月で収束するという楽観的な考えによるその場しのぎの行動ともいえます。これが半年、1年と続いた場合、無形のものに対する毎月の寄付は厳しくなっていくでしょう。

飲食店だけでなく、ほぼファンといえる存在がついていない小売り店はもっと厳しい状況になっていきます。

そこで次の課題として見えてくるのが、「単純なドネーションではなく、オンラインでどのように継続的に売り上げをあげていくか」です。

 

実際にSEEDATAの大川がゴールデン街のあるバーでおこなった、オンライン営業の事例をご紹介すると、まず、オンライン営業が成立するためには、前提としてお店にファンがついている必要があります。寄付などでその場をしのぐのではなく、ファンにもメリットがある形で、お金を支払ってもらう状況が必要という課題意識のもと、zoomでの営業に切り替えました。

方法は、チャージ代金を支払ってくれた人にURLを送り、別の方法で店員が飲むアルコールのオンラインチケットを発行し購入してもらうという単純なものです。

結果として、10人のお客が入り、通常営業の際の客単価と同等の1人当たり3000~4000円、全体では30000円ほどの売り上げがありました。

オンラインでつながるということは、各種飲食店がやっていくべき施策のひとつといえるでしょう。

 

この事例のような施策は飲食的のようにファンがいなければできないと思われがちですが、消費財ブランドも十分にアクション可能です。現にルルレモンやナイキといったD2C的コミュニケーションをとっているブランドは、オンラインフィットネスをスタートし、SEEDATAが担当している消費財ブランドも、店舗閉鎖をきっかけにD2Cとしてオンラインでつながる施策を始めました。

海外ではオランダのデニムブランド『Closed』が「#we are closed togther」というハッシュタグを使い、「閉鎖されているけれど近くにいよう」と呼びかけ、オンラインヨガを配信して1to1でつながっています。

国際政治学者のイアン・ブレマー氏は「家に籠もり人との関係性が希薄になりつつある

今こそ、人は他者とのつながりを求めている」と言います。

これまでは職場や買い物、ジムなど、どこかに行けば誰かに会うことができましたが、今は能動的にしか人とつながることができません。多くの人が受動的に待っている時にブランド自ら歩み寄っていくことこそが重要なポイントといえるでしょう。

 

「オンラインでつながる」ということは各社が思案していることですが、そのうえで抑えておくべきことは、お金を支払ってもらうことではなく、生活者が一番困っているときに、企業としての哲学を持ち、生活者の課題を解決するべくカスタマーサクセスに振り切るということです。

たとえば、丸一日家にいることで「仕事と家事と育児の境目が曖昧になり、どう生活リズムを作るのか」という課題に対し、「毎朝ヨガをしましょう」と提案して一緒におこなうなど、オンラインでつながることで、商品ではなくブランド自体にきちんと共感してもらうことが可能になります。

オンライン営業で売り上げを上げることも重要ですが、生活者にどんな課題があるかを見つけ、オンラインという接点を活用し解決していくことが、もっとも重要といえるでしょう。

オンライン営業のtips

ブランド価値を高めるためには、オンラインで直接つながり顧客の課題を解決することが最重要という前提があるうえで、オンラインで人を集める際の具体的なtipsをご紹介します。

オンラインと一言でいっても方法はさまざまで、YouTube配信のように一方通行の場合もあれば、zoomのように双方向のインタラクションがある場合もあります。

まず、オンラインでつながる際、大前提として生活者のデジタルリテラシーは一律ではないということを意識しなければいけません。つながるデバイスやチャネルは使いやすいもので、このために新しいタスクを増やさず、マニュアルも準備する必要があります。

また、今回のzoom営業のようにオンラインで複数人が集合する際は、ファシリテーターがひとり立つことが重要です。今回は店員を合わせて14名でおこないましたが、全員がフラットな距離感ではないため、みんなが一歩引いてしまい全員沈黙するという場面がありました。基本的にはじめはファシリテーターが世間話をしながら名指しで話題を回していくことで、会の終盤には自由に全員が話すような雰囲気を作っていくことができます。

 

今後、アルコールブランドはオンライン飲み会、フィットネスブランドはオンラインエクササイズ、食品や家電メーカーなどはオンラインクッキング、コスメブランドはオンラインメイクレッスンなど、続々とリリースされていくでしょう。それぞれのブランドがオンラインでファンとつながり、彼らの課題を解決しつつ、ブランド価値を高める行動をおこなっていく必要があります。

当然、単につながればいいというわけではなく、「コロナウイルスによって生まれた生活者の新たな困りごと」を把握する必要があります。

たとえば、生活リズムがつかめない=スイッチングが難しい、運動が減っている、子供の勉強を進められない、オンライン打ち合わせのために薄化粧でもきれいに生えるメイクをしたい…など、ブランド哲学や伝えたいことの延長上にどんな課題を解決できるかを見定めて、解決することが重要です。

 

コロナウイルスの影響により新たに発生している生活者の課題について、弊社ではすでにリサーチを進めていますので、オンラインでの課題解決方法を含めてサポートさせていただきます。

詳細はsho.okawa@seedata.jpまでお気軽にご連絡ください。

海外のコワーキングスペース事例と成功のポイント

コメントする

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です