日本国内外の先端事例や生活者トレンドをSEEDATA独自の視点で分析し、ブログ形式で配信しています。News

Written by
佐々木 健眞
アナリスト

【5/21更新】ニューノーマル時代の商品開発のヒントになるニュースクリップ5選

この連載ではコロナウイルスの影響による現在の情勢とアフターコロナを見据え、これまで生活者調査をおこなってきたSEEDATAが、生活者の価値観や行動の変化や、これらを反映した新商品・サービスなどのニュース5選を紹介し、解説していきます。

4月にSEEDATAのアジアチームでコロナの影響による海外の消費や価値観の変化をリサーチしたため、今回のテーマはグローバルという広い視点でお届けします。ミレニアル世代の消費購買、時間の消費の仕方、家中時間の過ごし方、環境の整え方などが、コロナを経てどのような価値観にアップデートされていくのかを解説していきます。

【4/23更新】アフター(orウイズ)コロナ時代のヒントになるニュースクリップ5選

①「免疫を向上させるための細菌」という捉え方の浸透

 

近年、医療・美容の両業界で注目を集めているのが、ヒトの免疫システムや代謝を改善する「マイクロバイオーム(微生物叢)」だ。この微生物の研究に熱中するあまり自分の身体で培養を始めてしまった男性の、「細菌偏愛ぶり」を米誌が追った。

<出典>16年間シャワーを浴びてない男が開発! 清潔と美肌を保つ「細菌ミスト」

https://courrier.jp/news/archives/166632/

アフターコロナ以降、衛生や菌に対する考え方が、日本だけではなく世界でも注目を浴びています。

「ウイルスに打ち勝つためには自分自身の免疫が重要」という考えが増えている中で、自分で菌を保菌する、免疫力を高めるために清潔を保ちすぎないという考え方が広がっています。

上記の記事では、自分の身体についている免疫や代謝を管理、促しているマイクロバイオームに注目し、自らの体で培養している生活者や、マイクロバイオームに着目した商品が世界的に少しずつ増えていることを紹介しています。

これまで、「もともと自分の体に生息している細菌や微生物は自分の体にとって有益であり、排除してはいけないもの」という価値観のもと、科学成分を使っていない身体に優しい製品が消費されてきました。

コロナを経て、これらの考えはさらに加速し、コロナのような大きなウイルスによるパンデミックが起きた際、自身の免疫力を高めていくために、化粧品などで日常的に細菌に触れる行動を取り入れるといった動きが今後増加していくのではないかと考えます。

たとえば、空気清浄機などはこれまで「空気をきれいにすればするほどよい」と考えられていましたが、海外の事例から、今後は家の中にある程度菌などがいる環境を意図的に作り出し、自分自身の免疫をより高めていくという価値観の増加が推測できます。

先進国に比べまだまだインフラが整っていない発展途上国では、今後インフラを整えていく際に、先進国並みに清潔にしていくのではなく、細菌類を完全に消さないような消費が注目され、免疫を磨いていくチャンスという価値観が増えていく可能性もあります。

これまで菌と聞くと、一般的にはあまりよいイメージを持たれることはありませんでしたが、事例以外にも腸内フローラなども一部で話題となっており、今後世界的に「免疫を上げるために菌をどのように利用するか」という考え方は広がっていくでしょう。

②家中空間をマインドリセットの観点でアップデートする生活者の増加

 

withコロナを考えていく際の事例のひとつとして、観葉植物に対する価値観の変化があげられます。

これまで観葉植物の役割は、シンプルにインテリアとして彩りを増やすことなどがメインでしたが、アフターコロナの今、アメリカを中心に観葉植物がブームが起きています。

ご紹介しているThe Sillは観葉植物のサブスクリプションサービスですが、昨年比で400%の売上増を達成しています。これは、近年の世界的なトレンドとして、ノマドやフリーランスが増えたことによる在宅ワーカーの増加や、コロナ禍におけるニーズの拡大が考えられます。

以前から観葉植物は精神的な安らぎを得ることを目的として育成されていましたが、コロナ以降、さらに家中で自粛する中でのストレスマネジメントや鬱の予防として購入する人が増加しているといいます。とくに単身世帯の人にとって、観葉植物を世話することは、自分のメンタル状態をキープするためや、リモートワークでの気分の切り替えのために役立っているのです。

 

実際にアメリカでは、観葉植物の世話を生活の一部にとり入れることのメリットを発信しているミレニアルのインフルエンサーも登場しています。日々成長する植物に触れることは、ある種の疑似的な家族とのふれあい時間ともいえます。

ミレニアル世代を中心に、マインドを安定させていくために観葉植物を世話するという価値観は今後も広がっていくでしょう。

 

➂ミニマリズムから一転、マキシマリズムの台頭

 

つまりはフロー(流れ)よりも、ストック(備蓄)の時代に回帰するのだ。ジャストインタイムによってあらゆるものが世界中を流れ続ける世界ではなく、いろんなものを溜め込んでチビチビと使い、外部との物理的接触は避けるようになるのである。

 昔も今も農家には、いろんな道具や材料が山のように置いてある。農業という仕事はミニマリストとは対極にあり、さまざまな作業のためにさまざまな道具や素材を必要とするからだ。言ってみればフローに頼らず、すべてをあらかじめ準備するストック型の姿勢だと言えるだろう。この方向をさらに突き進めると、懐かしいアメリカのドラマ『大草原の小さな家』のような自給自足になる。完全なるプレッパー的生活だ。

 私は登山をよくするが、山小屋は好きではないので泊まらない。そのかわりにテントと食料、燃料などすべて担いでいく。重量が増えて肩と腰にがっつりと負担が来るが、背負っているザックのなかに生活のすべてが詰まっていると思うと、「何が起きても大丈夫。いまこの瞬間に文明が崩壊しても、数日間はこれだけで生き延びられる」というような変な安心感を感じる時がある。これもプレッパー的なストックの感覚なのだろう。

<出典>「アフターコロナ」社会はどうなる? 「ミニマリスト」から「プレッパー」の時代へ

https://bunshun.jp/articles/-/37175?page=3

ここ数年、世界的にミニマリズムという考え方に注目が集まり、シェアサイクルやカーシェアなど、モノを所有せず、シェアしようという考え方が浸透していました。しかし、コロナ禍で、家中で過ごさなければいけない状態となり、持てる限りのものは自分で所有しようというマキシマリズムな考え方を持つ生活者が現れ始めています。

この価値観は主にアメリカで浸透し始めており、俗に「プレッパー」と呼ばれています。「プレッパー」は、もともとはいずれ来る世界の週末から逃れるために備えている生活者のことをさしており、語源は準備する、という意味の’prepare’からきています。ここでいう世界の週末とは、人類が滅びることではなく、物流や生産といった社会のシステムの崩壊をさしています。現在の社会はまさしく、コロナにより社会システムの崩壊が危ぶまれているため、「プレッパー」の価値観が広く浸透するきっかけとなったと考えられます。

「プレッパー」の特徴的な価値観は、「備えることこそ恐怖や不安に打ち勝つ唯一の方法である」と捉えていることです。日本では、3.11の東日本大震災のあとは逆に所有することよりも身軽でいることが重要であるという価値観が普及しましたが、アメリカでは全く逆の価値観が浸透していることが特徴的です。

そのため彼らが車や自転車などはもちろんのこと、今回のコロナのような事態に備え、日常生活では決して必要でなさそうなものまで、準備しておこうと考えるのは当然の流れともいえるでしょう。

 

<出典>https://www.instagram.com/p/CARehPBFoXP/?utm_source=ig_web_copy_link

また、これを象徴する消費として、アメリカではピクルスを漬ける生活者が増加しています。これまで料理をしてこなかった人でも簡単に作れること、長期保存ができることに加え、ピクルスにすることで非常食では不足しがちな栄養分をおぎなえることなどが人気のポイントとなっています。

 

また、この記事にあるように、YouTubeなどの動画サービスでサバイバルを学ぶというトレンドもあります。ロックダウンで外界とのアクセスがとれなくなり、シェアリングは今後成り立たないのではないかという不安から、自分の身は自分で守ろうという考え方が勃興し始めています。

アメリカではサバイバル方法のレクチャーから備蓄方法のハウトゥーを紹介する、シティプレッピングといいうチャンネルが再生回数を伸ばしています。

④“ Mobility as a Shelter ”と捉える居住空間の変化

中国では、キャンピングカーのようなバンを自分の居住空間兼モビリティシェルターとしている生活者が登場しています。ご紹介しているのは、中国で居住空間と移動手段を一緒にし、調理器具などを積んで自炊しながら中国大陸を移動し、旅先で出会った人と交流を楽しむ生活の様子をつづった、シニアのブログです。

日本でも第二の家として改良して使用している人は存在しますが、このブログ主は完全に車だけで生活しており、中国ではほかにもこのような生活者が増加しています。

 

この記事からSEEDATAがおこなった洞察は、コロナによる車に対する価値観の変化です。

近年、シェアカーが台頭し、自家用車は必要ないという考えが広がりつつありましたが、ロックダウンなどで公共の移動手段が使用できなくなった際、自家用車は安心かつ、シェルターともなり得るという価値観が現れ始めています。

中国では車という空間をどうアップデートしていくかが、今後重要な価値となっていく可能性があります。

たとえば、中国では日本同様フリーランスで働く人が増加していますが、カフェなどの居心地の悪さから車で仕事をする人も増えつつあります。そこで、車内の不安定なネット回線という課題を解決することも、車内空間をアップデートすることのひとつといえるでしょう。

 

⑤Brain Stoppingなリラックスニーズの拡大

withコロナの時代において、余暇時間の使われ方がどのように変化しているかを考察する際、一例としてご紹介したいのがNetflixです。これまでドラマや映画がもっとも視聴されてきましたが、最近は歴史、芸術、アート関連、ドキュメンタリーなど、頭を使い考えながら見るコンテンツが注目されていました。

しかし、コロナで自粛生活を強いられるストレスフルな状況が続く中で、知的欲求を満たすコンテンツよりも、バラエティなど頭を使わずに見られるコンテンツの視聴が伸びています。

この背景には、テレワークで仕事とプライベートの境目がなくなり、休息がとりづらい中で、「頭を完全に休める時間を求めている」という生活者のニーズが考えられます。一回の視聴で有益な情報を得るわけでも深く考えさせられるわけでもなく、無意味な時間を過ごすことで、ある意味ストレスフリーな余暇時間を過ごしたいと考える生活者が増加しているのではないでしょうか。

日本ではNintendo Switchソフトの「あつまれ どうぶつの森」が爆発的人気となっているのも、同様の理由が考えられます。また、コロナ以降TikTokの利用者も増加しており、生活者にとって、頭を使わない時間を提供するコンテンツが求められているといえるでしょう。

 

もう一点、「オンオフの切り替えをストレスなくおこないたい」というニーズがあげられます。

コロナウイルスの影響による外出や旅行の自粛で多くの人がストレスをためるなか、自宅で楽しめる入浴剤の好みにちょっとした変化が起きている。人気なのは「温泉地」シリーズだ。

 入浴剤大手バスクリン(東京)によると、製品の中でも各地の温泉名をうたった「日本の名湯」の1~3月実売額が前年同期比247・5%と急増。3月単月も同307・9%だった。

<出典>朝日新聞デジタル:旅情を誘う入浴剤が人気 新型コロナの外出自粛余波

https://www.asahi.com/articles/ASN4X4HZ0N46ULFA010.html

日本の事例ですが、通常冬に売り上げが伸びるバスクリンの「日本の名湯」シリーズの売り上げが、春先であるにも関わらず、コロナの影響で急増しています。これは日本に限らず、グローバルでも考えられる視点で、たとえば外出できないからこそ、世界各地の雰囲気を気軽に体験できる商品やサービスののニーズは高まっていくでしょう。

 

今回ご紹介したコロナクリップのまとめは、コロナウイルスの影響により、ひとりひとりの生活者行動の変化や新しく登場した商品・サービスをサマリーし、50~100ほどにまとめたものの一部です。

現在、SEEDATAは購買・所有、美容・ファッションと言ったテーマごとに事例を解析することで、アフターコロナ/ウィズウイルス時代の社会変化を洞察しています。

コロナの影響により現在はSEEDATAもリモートでの活動となっているため、リサーチもインタビューもオンラインでおこなうことが可能です。

業界別ごとにクイックに調べることも可能ですので、ご興味のある担当者さまはお気軽にtatsuma.sasaki@seedata.jpまでご連絡ください。

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