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SEEDATA
公開日:2018.08.20/ 更新日:2021.06.09

トライブ(tribe)

【トライブレポート紹介19】ビジネスマン・ビジネスウーマン向け新規事業アイデアのヒント(多忙族)

はじめに~トライブレポートとは

SEEDATAは今後増えていくであろう考え方や行動を示している先進的な消費者グループ=「トライブ」を独自のリサーチによって発見、定義し、調査した結果をレポートにまとめています。

トライブ・リサーチから得られた知見を通じて、推進される企業のイノベーション活動を「トライブ・ドリブン・イノベーション」または「トライブ・マーケティング」と総称し、コンサルティング、支援を行っています。

トライブレポートの詳細と読み方については、こちらの記事をご一読いただければ幸いです。

トライブレポートの読み方

多忙な人たちに求められる「幸せな1日の終わり方のデザイン」とは?

日本は世界から見ても労働時間の多い国であり、残業するのが当たり前という企業に勤める人々は、その忙しさゆえにさまざまなサービスを活用しています。仕事が時間と場所を選ばないようになってきた現代、一部の労働者にとってはさらにハードワークの傾向が強まっているといえるでしょう。

そんなハードワーカを代表するのが1日のほとんどの時間をビジネスに費やす多忙族です。彼らのスケジュールは、仕事かそれに関連する移動や会食で埋まっており、そのスケジュールをしっかり履行することが生きがいや喜びになっている人すら存在するほどです。

そのために睡眠、食事、身だしなみ、余暇にいたるまで、その多忙な生活を最適化するためのサービスやプロダクトを求めています。

今回は平日に最低でも3時間以上の残業を行っている社会人を中心に、仕事に加え、趣味にも時間を割いている人、家事に時間を取られている人の3つのセグメントを対象に調査を行いました。

多忙な日々を有意義に過ごすコツや現状の生活への不満を分析することで、これからの時間効率化サービスの在り方を探っていきました。

多忙族は完全栄養食を摂るドクターシューマーの調査を行った際に見つけたトライブです。調査前、ドクターシューマーは健康オタクしかいないと考えていたのですが、実は健康にはあまり興味のない人が、「忙しくて食事に時間をかけられず、これなら最低限の栄養がとれる」という理由から、完全栄養食を喫食しているという事実が分かりました。

今後は、多忙を極める人とワークライフバランスを重視する人の二極化がますます進んでいくことが予想されますが、忙しい人は効率化を求め、さまざまな先進的な行動をとる可能性があるということで、今回は多忙な人びとに着目しました。

多忙族の定義の中で重要な点は、主観的に「自分は忙しい」と思っているということです。そのため、客観的に見て忙しくても、忙しいと感じていない人は多忙族ではありません。

この「自分は忙しい」という意識を持つことより、どのような行動が生まれるかが今回の調査のポイントになります。

情報化社会が進み、さまざまな情報が入ってくるようになり、複数のコミュニティに属していたりすると、実際は余暇の時間があっても主観的な繁忙感を感じる人は今後増えていくはずです。

誰しも忙しいと感じる瞬間はあるはずなので、「忙しい」という感覚から生まれる価値観や消費行動がどうなっていくのかを調査することは、都市生活者に向けたさまざまな消費財の商品開発などに役立つでしょう。

今回調査した多忙族は、主観的な繁忙感を感じているという共通点を持つ、以下の3つのセグメントです。

ハードオフィスワーカーは、本当に仕事が忙しい人びとですが「ずっとこの生活が続くわけではないから今は頑張って働こう」というような人。睡眠不足のため、睡眠の質を向上させたいという願望を持っています。

ハードホビーワーカーは、仕事が忙しいながらも、趣味の時間もきちんととるために、睡眠時間を削って趣味の時間を割く人。

ハードホームワーカーは、仕事に加え家事の忙しさが混ざっているため、ロボット掃除機や家事代行を利用している、もしくは興味があるという人。

ハードオフィスワーカーは、20~40代までどの年齢層にも存在します。彼らは効率や商品の持つ機能を吟味する性質があるので、彼らを対象に消費財を考えたり、時短系商品やサービスのアイデアを考えるのはオススメです。

たとえば、調査をしたハードオフィスワーカーの20代女性には「今しかこんなに働けない」というインサイトがあり、積極的に忙しく働いている傾向があることが分かりました。彼女のような人たちに向けた間食や栄養補給などを新たに市場開拓していけば初期採用者が明確な状態になり、トライブ・マーケティングの展開が可能です。

ハードホビワーカーについては、そもそも「趣味に忙しい人は暇」という考え方は間違いです。調査したハードホビーワーカーの一人は長距離走を趣味とし、朝4時半に起き、布団の中で準備運動として腹筋200回、腕立て伏せ30回をしてから15キロのランニングを行っています。

彼らは忙しい中で趣味の時間を作っているので、「昼休みは昼食10分で済ませたい」など時短ニーズは明確で、時短系サービスの需要は相当あります。

ハードホームワーカーは、仕事が忙しいため家事は手を抜きたいと考えていますが、対象者のひとりは、「本当は宅配サービスを使いたいが、夫が難色をしめすから使用できない」と言います。彼女のように、働きながら家事もおろそかにしたくないという人たちの罪悪感をぬぐえるようなミールキットなどが、今後さらに求められていくでしょう。

もうひとりはフィットネスの営業企画しながらMBA取得のために大学院で勉強しているというハードホビーワーカー(女性)です。同棲中ですが家事を自分ひとりが行うことにイライラが募るため、掃除サービスのヘビーユーザーだといいます。

多忙な人たちに向けた商品開発は、たとえば、ガム、チューハイ、ビール、お茶、コーヒー、目の上にのせるあたたかい布、化粧品など、さまざまな消費財において「ほっとできる」「リラックス」「癒し」という方向で商品の価値をデザインしている例の枚挙に暇がなく、もはや開発されつくされているといえるでしょう。

マスプロダクトであったとしても、細分化した最適なシーンや、その最適なシーンに合わせた形で機能をデザインしていくことが、現代のマーケティングにおいて重要な点ですが、このときに役立つのが多忙族から出てきた「幸せな1日の終わり方のデザイン」という機会領域です。

人々はどこかで「1日が終わったな」と感じる瞬間を求めているのです。人によっては寝る直前や、シャワーを浴びているとき、ベッドでゴロゴロしている時間かもしれません。

1日の終わりを感じる瞬間は人それぞれ違いますが、「こういうシーンで、このように使用すると、こんな幸せな1日の終わり方ができます」という伝え方をすることで、多忙な意識を持っている人たちには刺さりやすいのです。詳細な説明は長くなるので省きますが、「人によって一日が終わったと感じる瞬間が多様である」ことはモダンな商品コンセプト開発業務においては、チャンスです。これを人によってシーンが細かく違う現象はマスプロダクトでは扱いにくいと考えている商品開発マネージャーは、すこし時代遅れの考えになっているかもしれませんね。

主観的多忙感を持つ人たちは「忙しかった1日が今日も終わった」と満足感を得たいのです。多忙族の中でも夜はそこまで「動き」としては多忙ではないので、夜の時間というのはまだまだデザインの余地が残されています。

夜の時間にどういったサービスや商品があれば「今日も1日頑張ってよかった」と思えるかを考えてみるとよいでしょう。

たとえば、音楽サービス、ハードウエアのガジェット、アロマ、睡眠、飲み物、夜食、入浴グッズなど、多忙な人々に「あなたのライフスタイルの中で、この時間帯を1日の終わりにしましょう。その瞬間を幸せなものにしましょう」ということが伝わる消費財をデザインしていくことが重要です。

記事ではこれ以上はご紹介できませんが、ほかにもトライブレポートにはおもしろい機会領域が数多く掲載されているため、お問い合わせの際は、まずは気になるトライブレポート名と「〇〇ビジネスをやっています」ということをお伝えしていただければ、我々がトライブレポートをもとにビジネスアイデアをいくつかご提案し、コンサルティングさせていただきます。

あとは皆さんの会社がすでに持っているリソースと掛け合わせて、新規事業の場合はビジネスモデルを変える、または新商品・新サービスを生み出すなど、それぞれの課題に対応いたします。

たとえば、新商品を作りたいという会社の場合、SEEDATAが提携している会社とこのトライブが世の中に何万人いるかを調査し、その人たちにテストマーケティングしてみて伸ばしていくことも可能です。また、サービス開発の場合もプロトタイプを作ることができますし、ビジネスモデルの場合でも、ビジネスモデルに関する検証された知識を手に入れるPoB(Proof of Business)のプロセスに入ることも可能です。

SEEDATAへのお問合せはこちらから(コンタクトフォームに移動します)。

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あとは皆さんの会社がすでに持っているリソースと掛け合わせて、新規事業の場合はビジネスモデルを変える、または新商品・新サービスを生み出すなど、それぞれの課題に対応いたします。

たとえば、新商品を作りたいという会社の場合、SEEDATAが提携している会社とこのトライブが世の中に何万人いるかを調査し、その人たちにテストマーケティングしてみて伸ばしていくことも可能です。また、サービス開発の場合もプロトタイプを作ることができますし、ビジネスモデルの場合でも、ビジネスモデルに関する検証された知識を手に入れるPoB(Proof of Business)のプロセスに入ることも可能です。

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