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SEEDATA
公開日:2019.04.06/ 更新日:2021.06.09

商品開発(product development)

【商品開発のプロセス⑪】アイデアのコンセプトを検証する定量調査の方法【後編】

前回は商品アイデアの受容性を検証するための定量調査の概要と、定量調査前のスクリーニングについて解説しました(リンク)。

今回は定量調査の本問で活用するコンセプトシートについて具体的に解説していきます。

定量調査のコンセプトシート

定量調査の本問は、6~8アイデアごとにコンセプトシートを用意し、それぞれのアイデアに対する受容性をはかっていきます。

コンセプトシートには、

①商品アイデアのビジュアルイメージ

②アイデアの概要

③商品の特徴

④利用シーン(コンセプト文)

を記載し、以下のように1枚で商品の魅力を表現します。

①商品アイデアのビジュアルイメージ

どんな商品なのかというコンセプトを表現できるアイデアのビジュアルイメージです。

消費財であればボトルのパッケージであったり、コンセプト段階であればその商品の与える世界観のコラージュ画像などでも可能です。

もし社内にデザイナー、あるいは商品のイメージ作れる人がいれば実際のユーザーが見て理解するようなイメージデザインを作成します。ただ、社内にデザイナーがいない場合、イラストを作ることが難しいため、その場合は左の(※図)画像のようにコラージュを作るといいでしょう。

商品そのもののパッケージではなく、この商品がどういうときに飲まれるか、どういう抽象的なイメージなのか、情緒的なイメージ(すっきり、爽快感、ほっとする)など、気持ちに関するイメージのイラストだったり、一人で使うのか、みんなで使うのかという実際の利用シーンの中でターゲットがどのように使うのか、そういったものをいくつかの画像を組み合わせてコラージュを作成します。

そうすることで、商品の物性としてのイメージはなくても、実際にどんなシーンで使用されてどんな気持ちになれるのかという、商品が提供するシーン、あるいは気持ちのイメージを伝えることができます。社外のデザイナーに発注すると時間がかかってしまいますが、コラージュであれば数時間で作成できるので、プロジェクトをクイックに進めたい場合、コラージュをオススメします。

②アイデアの概要

ここでは商品そのものの機能ではなく、商品がユーザーにどんな価値を提供するかということを説明する必要があます。

たとえば、毎日を忙しく過ごす人に心の休息を与えます提供しますというような内容。

③商品の特徴

②に対して③はもう少し機能的な部分を説明します。

商品概要(成分、アルコールなら何パーセントかなど)、製法などの特徴を箇条書きで4つくらいの要素でまとめます。

たとえば、旨味、甘味成分であるアミノ酸の多い一番茶を使用という風に、この商品がどのように作られるかという製法や、商品の事実特徴を記します。

既存商品と同じでは新商品としての魅力がないので、ここでは今ある商品と事実特徴として何が異なるのかを示す必要があります。

④利用シーン(コンセプト文)

たとえば、「減量しなくてはならないが無理なく続けたいと思っていた数カ月前に、コンビニで見つけて手に取る」というような、こういう状況で見つけて、この商品のどこがよくて、どうやってリピートするようになったかという一連のストーリーがえがかれたものが利用シーンです。

利用シーンはシーンごとに4つほど線が引かれていますが、この商品を毎日飲み続けることで忙しい日にちょっとした休息がとれる、自分がリラックスできるものがいつでもコンビニで簡単に手に入る、自分で入れるお茶と違いペットボトルなのでちょっとした隙間時間にも飲める……など、先に商品が提供する価値を4つほど洗い出して、その4つの機能価値をもとにストーリーを描きます。

対象者には下線が引かれたシーンのうち、どのシーンにもっとも価値を感じたかを質問します。4つの価値があったときに、グビグビ飲める点なのか、カロリーを気にしてなくてもいい点なのか、よいと思ったポイントを選んでもらいます。

商品アイデア自体への評価ではなく、商品のどの価値に魅力に感じたかという評価になり、これをコンセプト文の評価と呼んでいます。

線を引くポイントや線を引く箇所に何を書くかは、この調査から何を導きたいかによって変わってきます。この商品を使うことでユーザーがどんな価値を得たいかを入れるよう意識しましょう。

この項目は、今後商品をブラッシュアップ、あるいは実際に作り上げていく際に、評価が高かった機能価値の方向性に寄せたり、どの価値を残さなければいけないのかを明確にするために役立ちます。

実際にコンセプト文の評価をしてもらうと、「〇〇という提供価値は70%の受容性があったが、△△は20%の受容性だった」など、誰にどの程度どの機能が受け入れられたかを可視化することができます。

この結果によって今後のターゲット規定や、商品価値のどこに重点をおくかを確定することができるのです。

商品コンセプト提示後、本問で聞くのは絶対評価と相対評価という2つです。

絶対評価(5段階尺度)

1つのアイデアに対して「魅力を感じる」〜「魅力を感じない」まで5段階で評価してもらう

相対評価(TOP1.TOP2)

全アイデアの中で順位をつけるとするとどういう順位になるかを評価してもらう

価格イメージ

この商品があるとすると、いくらだったら払いたいかを評価してもらう

あとは自由回答で商品を魅力的と感じた理由などを記入してもらいます。

・絶対評価

・コンセプト文評価

・オープンアンサー

・価格イメージ

は4つで1セットとしてアイデアごとに聞いていき、最終的に全案の中でもっともよいと思ったものはどれか、相対評価を聞きます。これが基本的な受容性調査の流れです

情報感度に関する質問

最後に、本問答えてもらった数100~数1000サンプルの人たちの属性をより明確にわけるため、情報感度に関する質問をします。

これは、定量調査をおこなったあと、この数100~数1000の人たちをクロス表で切ると際に、たとえば「Aというアイデアは健康感度が高い人に魅力的だった」「Bというアイデアは情報感度が高くない人に魅力的だった」など分類を分けるために、この質問を最後に入れます。

ここもアイデアのジャンルによりけりで、合わせ調味料であれば、添加物を気にする人、添加物は気にしない人など健康意識に関する質問が必要かもしれないし、衝動買いをする人に魅力的だったのか、コストコンシャスな人に魅力的だったのかなどお金の使い方に関する意識の確認が必要かもしれません。

アイデアの内容に合った質問をいくつかいれておき、のちほどそれを点数化しクロス表に対応させます。

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