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SEEDATA
公開日:2019.04.06/ 更新日:2021.06.09

商品開発(product development)

SEEDATAコアメンバーの考えるペルソナの作り方・考え方②商品開発編

前回の記事(リンク)では、ペルソナと一言でいっても新規事業、商品開発、広告、ブランドなど、それぞれのペルソナは異なるというペルソナの使い分けについて詳しく解説しましたが、今回は商品開発における具体的なペルソナの作り方、考え方について解説します。

まず、一般的なペルソナの考え方の誤解は、「ペルソナというものは特定の生活者や理想の生活者の具体的な生活シーンを描くこと」だと考えます。

ペルソナは、具体的なユーザーの価値観やライフシーンを描く必要がありますが、ゼロベースでペルソナのライフスタイルや趣味、デモグラ属性を描き始めると、必ず陥る問題のひとつに、「記述者が考える出来すぎ、または憧れの人物増を描きがち」という問題があります。

たとえば、特定の商品やサービスのペルソナを描いていたはずが、気が付けば自分の理想とする人物や、意識の高い人を描いてしまい、そもそものインサイトと大幅に乖離してしまうという現象がよく起こります。

たとえば「スタバで毎朝PCを開き、雑務をこなしてから出社する」「毎朝カフェで読書をして週3冊の本を読む習慣がある」というような優秀な行動が一例です。

優秀すぎるペルソナを作ってしまった場合、このあとのプロセスで「こんなペルソナ世の中に本当にいるのか?」という疑問が生まれたり、商品を誤った方向性に進めてしまうことがよくあります。当初想定していたユーザーから、ユーザー像がズレていくのです。

このような誤った道筋を歩まないために、ペルソナを作る際にSEEDATAが意識していることは、具体的な生活シーンや趣味、仕事などの具体的な生活をはじめに描かず、まずはペルソナの価値観から描きはじめるということです。まずは価値観を固めたうえで、具体的な生活シーンを描くことで、理想的すぎる生活を描くことを防ぐことが可能になります。

ペルソナを作る際にSEEDATAが採用している2つの価値観の描き方がエンドゴールとライフゴールです。

エンドゴール

特定のモノ・サービスを使ってユーザーがどういう生活を享受したいか、またはどういう人になりたいか、どういう生活を送りたいかなどを示したもの。ライフゴールに比べて中期的な目標を指します。

例:(〇〇コーヒーを持ち歩き、高カフェインを摂取することで)常に努力する姿勢を維持し続けたい

→上記のように、あるコーヒーのペルソナを描く時は、コーヒーを使用してペルソナがやりたいことがエンドゴールになります。

ライフゴール

エンドゴールと比べてユーザーがどんな人生を送りたいかというペルソナの長期的な目標。ライフゴールは、特定の商品やサービスに関連せず、自分の将来成し遂げたいことや生き方などが当てはまります。

例:刺激を得ながら若々しい気持ちで生きていきたい

まずペルソナを描くときはエンドゴールとライフゴールを描きます。次に、エンドゴール、ライフゴール以外にどういった人間関係を求めるか、どんな欲求があるかを考えます。

・周囲との関係性を維持して常にみんなの役に立ちたい

・今まで続けてきた特技をいかして新たなことに挑戦し続けていきたい

このように、ペルソナの一般的な欲求、価値観を3、4つ描くようにしています。

具体的な生活シーンから描かず価値観や欲求ベースで描くことで、出来過ぎ君にならず進めることができます。

SEEDATAの場合、ライフゴール、エンドゴールと一般的な欲求をしっかりと描いたうえで、「この欲求に対応するような生活シーンはどういうものだろう」と考え、そこで初めて生活シーンを考えます。

年齢や性別は比較的最初に決まっていることが多いものですが、趣味、家族構成、居住地、職業や、どういう発言をしそうかといった内容をこの段階で考えていきます。

なるべく分析的に考えていくのがSEEDATAの考えるペルソナの作り方です。

【小見出し】

エンドゴール&ライフゴールと価値観&欲求の抽出方法

では、ここまでで説明したエンドゴール、ライフゴール、価値観、欲求をどのように抽出していくか、SEEDATAではペルソナを作る前に、少なくとも2、3名にデプスインタビューをおこないます。

理想のターゲットに近い人にインタビューすることで、今回のペルソナの欲求のヒントを探します。

ただし、インタビューで聞いたペルソナの発言や趣味などの生活の特徴をそのままペルソナにする必要はありません。むしろ大切なのは、どういう価値観や欲求を持っているかの内容をエンドゴール的視点、ライフゴール的視点、欲求の視点でヒアリングしていくことです。

2、3人のインタビューをおこなうと、どのような欲求があるかが比較的見えてくるため、発言をヒントに、社内でディスカッションをしてエンドゴール、ライフゴール、一般的な価値観、欲求を書いていきます。

※トライブレポートにあるペルソナの例を載せる

ヒアリングをして対象者の共通性を探す必要きはありません。共通点を探してしまうと分析というより照合作業になってしまうため、むしろ「彼らはこういうことを考えているかもしれない」「こういう生活シーンを求めているだろう」ということを、3人の考え方を重ね合わせながら飛躍的な分析をしていきます。

【小見出し】

ライフゴール・エンドゴールを導くためのキークエスチョン

「あなたにとってこの商品・サービスはどういう存在ですか」という質問は比較的エンドゴールを導くことができるクエスチョンになります。

たとえばコーヒーについて質問して、「私にとってエナジードリンクのような存在です」というような回答が得られたとします。これを深堀りすると「いざというときに自分を加速させてくれる」というエンドゴールを考えるヒントを導くことができます。

また、ライフゴールでは「今までの人生の中でいちばんうれしかったことはなんですか」「今後どんな人生を送っていきたいですか」というのがキークエスチョンから、彼らの人生観を探っていきます。

もしもインタビューができないは場合、ブログやツイッターなどからヒントを探す必要があります。ゼロベースで作ることは絶対にオススメしません。ゼロベースで作ってしまうと、結局自分の価値観になってしまうため、なにかしらのヒントが必要なのです。ヒントやインスピレーションを得るために、想定しているターゲットに近い人のブログやSNSを探し、「家族とはどういう関係でいたい」ということが書いてあれば「こういう価値観がありそうだ」と探っていくことができます。

このように、ペルソナ作成の際インタビューができない場合も、ゼロベースではなく、デスクリサーチで担保していく必要があります。

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