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Written by
宇都宮 知輝
アナリスト

【海外進出のポイント12】アジア最新トレンド通信vol.4ミャンマー編

今回ご紹介するアジアのトライブはミャンマーのトライブです。

本記事ではミャンマーの最新SNS事情から、インフルエンサーを捉え直し、日本における今後のインフルエンサービジネスへの示唆を洞察します。

まず、ミャンマーという国について簡単におさらいしておくと、ミャンマーは東南アジアに位置し、インド、バングラデシュ、中国、ラオス、タイという5つの国と接し、民族は100 以上が存在しています。

長らく軍事政権による独裁が行われてきましたが、2011年に民政移管を果たし、以後急速な経済発展を遂げています。

ミャンマーで広がる独自のSNS文化

ミャンマーの携帯電話普及率は実は5年前までは10%程度でしたが、2013年ごろに一般向けのSIMカード販売の開始されてから爆発的に普及しました。日本ではガラケーなどの時代を経て徐々にスマホに移行していきましたが、ミャンマーではこれまでほぼアナログといえる生活をしていたところに突如デジタルが投入されたのです。

それによりどのような変化が起きたかというと、これはミャンマー以外の東南アジアなどでもよく見られる現象ですが、Facebookがかなり普及して市民の生活の基盤になりました。日本ではFacebookは数あるSNSのひとつで、TwitterやInstagramなどと使い分けている人がほとんどですが、ミャンマーではスマホではほぼFacebookしか使わないという人も存在するほどです。たとえば、ケータリングの依頼や飲食店の予約といったコミュニケーションも、Facebookの中で行うなど、Facebookは日常生活の一部として深く浸透しています。スマホが一気に普及し、多くの人がFacebookに参加したことで、SNS上でも独自の文化が生まれています。

このような背景を踏まえたうえで、近年ミャンマーの若者たちの間で流行っているFacebook上のMailboxというシステムについてご紹介します。

MailboxはFacebook上にコミュニティページとして作られたさまざまなお店や大学などの非公式掲示板のようなもので、ユーザーがFacebookのメッセンジャーを通してページに送った内容が匿名でタイムラインに投稿されます。

中でも実在するカフェのMailbox(https://www.facebook.com/augustmailbox/)などでは、特異なやりとりが行われています。

店内で気になったお客さんの写真を勝手に撮影したり、外見の特徴や何月何日何時頃にどの席に座っていたなど具体的な情報を記載したりして、Mailboxのタイムライン上で撮影された人の個人情報を募集します。

すると、コミュニティに登録している誰かが投稿のコメント欄でその人の情報や、Facebookアカウントを教えてくれるというシステムが出来上がっているのです。もちろん日本では個人情報保護の観点からこれらの行動はNGとされていますが、こうした情報に対する感覚が異なるミャンマーでは許容されている部分があります。数年前までは携帯もPCもあまり普及していないアナログな生活していたところに突如スマートフォンが普及してデジタル化が進んだたため、アナログので行われていたリアルの行動とバーチャルのプラットフォームが不思議な融合を遂げています。

これは、インフラなどの基盤がない状態に、段階をいくつも超えている最先端の技術を導入したときに起きる「リープフロッグ」現象のひとつであり、ミャンマーでは特にスマートフォンの急激な普及が人々の生活を激変させていて、他の国では見られない新しい使い方や独自の文化が生まれているのです。

このMailboxを使う人の中には、写真を撮られる可能性をある程度理解したうえでその場所を訪れ、「あえて写真を撮られることで自分の価値を高めたい」というインサイトを持っている人が存在していると分析します。

実際このカフェに限らず、他人に撮られた写真を何度もアップされることでローカルな有名人が生まれるという現象が起きており、SD/SAではこれを、自分発ではなく他人に発信させるインフルエンサー「パパライザー」というトライブとして捉え調査をしています。

現代の日本では、すでにインフルエンサービジネスにユーザーが飽きてしまっている部分は否めません。しかし、ミャンマーのトライブのインサイトを活用し、今のインフルエンサーのように自分発ではなく、周りの人発であれば、今よりもナチュラルな文脈で発信し、受け入れられる商品やサービスを作り上げることができるのではないでしょうか。

また、アジアでローカライズを行う際には、生活者のSNSの使い方を定性的に深くリサーチすることで、現地の情報の流れを生かした効果的なマーケティングが可能となるでしょう。

【SEEDATA ASIAにてリサーチをすることができるアジアの国や都市一覧】

東アジア地域:中国(北京、上海、杭州、深圳などの主な都市部)、台湾、香港、韓国

東南アジア地域:タイ(バンコク・チェンマイ)、インドネシア(ジャカルタ)、ミャンマー、カンボジア、ベトナム、シンガポール、マレーシア、フィリピンなど

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SEEDATAでは、独自に定義した先進的な消費者群(=トライブ)のリサーチを通じて、企業のイノベーション支援を行っています。

また、当記事に関するご質問、企業様からのアジアの共同リサーチの相談はinformation@seedata.jpまで、件名に『アジア共同リサーチについて』、御社名、ご担当者名をご記名いただき、お気軽にお問合せください。

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【この記事の監修者】

宇都宮知輝。SEEDATAアナリスト。

SD/SAを中心に生活者リサーチ、商品開発、新規事業開発などの業務に従事。

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