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SEEDATA
公開日:2018.09.03/ 更新日:2021.06.09

グローバル(global)

海外進出で失敗しないリクルーティングのコツ

SD/SAではアジアにおいて、独自の意味を見出している現地の旬な生活者(=トライブ)の調査を行い、日本企業の海外進出支援を行っています。

これまでの海外進出に関する記事はコチラ

このトライブの活用が海外進出の際の失敗と成功を分けるといっても過言ではないでしょう。

彼らを発見・独自に定義し、リクルーティングをして、デプスインタビューやエスノグラフィを行うというのが私たちのベーシックな調査方法になりますが、そもそも国内外問わず、「新たな意味を自分なりに見出しているトライブを、どのように見つけるのか」という質問をよくいただきます。

そこで、今回は海外の生活者を調査する際のリクルーティングのコツやポイントを解説します。

リクルーティングには大きく2つ方法があり、ひとつは調査会社を使う方法、もうひとつが機縁法です。

リクルーティング方法①調査会社を使う場合

調査会社を使う方法では、調査票を作成します。我々が事前のデスクリサーチで得た仮設をベースに、トライブの定義に即した行動を行っているかどうか、またその行動の背後にどんな理由があるのかを明らかにするような質問項目を作成します。

調査会社を通じて、この質問に対する多くの人々の解答結果を確認します。行動と理由の2つの観点から我々が最初に想定したような行動をとっており、かつその行動の背景にしっかりとした強い哲学を持っているかどうかという点をチェックして、調査の協力依頼を行います。

ここで注意しておきたいのは行動に関してです。我々が定義するトライブは、必ずしもエクストリームな行動をしている人たちというわけではありません。一見行動としては、普通に見えても、その背後に自分なりの意味や価値観を持っていればトライブとして成立します。つまりトライブとは、ある特定の商品やサービスなどを多用する、または全く使用していないエクストリームなユーザーに限られるわけではないということです。

さらにはこちらが想定さえしていなかったユニークな行動をとっている場合もあります。リクルーティング時には、そうした行動はもちろんですが、それ以上に意識項目に対する回答に独自の考えが反映されているかなどをチェックします。どれくらい自分の言葉で書いているか、どれくらい長文で答えてくれているかなどが、強い哲学を持った生活者を見極める上でのポイントとなります。

機縁法と比較した、海外リサーチにおける調査会社を使ったリクルーティングの特徴は、多くの生活者にリーチした上で適切な人材を絞り込める点です。ただし、上述したようにトライブをリクルーティングする際には、特徴的な考え方を持っているかどうかを見出す必要があります。

国内であれば日本語の回答を見て、その人の考えが文体や単語の使い方などから読み取れるものですが、海外の場合、言語の違いによって、細かいニュアンスが読み取りにくいことや、対象者が正確に答えていない場合も多くため、調査票の書きっぷりと実態の相違が起こり、結果失敗しがちです。

リクルーティング方法②機縁法を使う場合

一方、機縁法とは、友人や知人などに「こういう人はいませんか?」と聞いていき、人づてに対象者を見つける方法です。実際、うまくいけば短時間・低コストでリクルーティングできるというのが調査会社経由でのリクルーティングに対するメリットになります。

また、トライブのように先進的な考え方を持つ人が調査会社に登録している確率自体があまり高くないため、SEEDATA ASIAでは基本的に、「周囲にこのような変わった行動・価値観を持っている人がいないか?」と現地の知人に話を聞き紹介してもらうことを推奨します。

機縁法の場合、最初から割と筋のいい人を紹介してもらえることが多いのですが、機縁法においても行動と価値観をベースに候補者に事前に質問して、対象者としてふさわしいかどうかを確認します。

知人からの紹介のため、対象者候補にはFacebookやWeChatなどのコミュニケーションツールを用いて、比較的フランクに気になる点を確認できるため、事前に気になる細かい質問をすることも容易です。さらに、トライブは同じような価値観を持つ人と情報交換をしていることが多いので、一度見つけたトライブに「周りに同じような人はいませんか?」と聞くと、どんどん同じような人を芋づる式に見つけていくことが可能です。

パイロットインタビューについて

上記のリクルーティング方法を行って、現地での調査をしてみた結果、期待していた人物像とは相違があり失敗してしまったということが起き得ます。それを防ぐ有効な手段として、パイロットインタビューがあります。

先程Facebookなどを通じて、事前にコミュニケーションを取ることの有用性を述べましたが、20~30分程度の簡単なインタビューを現地入りする前に事前にオンラインで行ってみることで、対象者の精査をより高くすることが可能になります。またこのパイロットインタビューを通じて、調査における仮設のブラッシュアップ、質問の修正などをすることもできます。

調査の場所について

海外進出のための調査のリクルーティングを失敗しないためには、場所の選定というのも大きなポイントのひとつです。例えば中国などは国土が広いため、街ごとの生活習慣や考え方にも差異があります。トライブリサーチの場合は、特定の都市の性質に注目して、そこで暮らす生活者を調べるという考え方が有効な場合もあります。

プロジェクトによってケースバイケースですが、中国全域を対象にする場合は、主要な都市を対象に都市間の違いも考慮してリサーチを行います。例えば、中国における子育て事情の調査というテーマであった場合は、主要都市を幅広く網羅するように調査するというのが一般的な考え方です。

一方で、SD/SAの場合、すでに意味を発見している旬な生活者たちを調査することがポイントです。トライブは、周囲と比べて先進的な意味を発見し行動しているため、やはり都市部にいることが多い傾向があります。たとえば中国で先進的な購買体験を日常的に行っている生活者の考え方を調査するのであれば、国土全体を回る必要性は低く、無人店舗などが旺盛する上海や杭州を中心にみればよいでしょう。

あるいは、赤いシリコンバレーと呼ばれている深センなども、起業家や起業志望の人が集まる独自の経済圏が発達しています。深センには国外に留学して修士や博士号をとって帰国し、ビジネスを立ち上げようとしている海亀族と呼ばれる人たちが数多く集まっていたり、私たちがメイカーと呼ぶ、日用品を勝手に改造して自分の暮らしに馴染ませているエンジニアなどの特徴的なミレニアル世代の生活者が多く暮らしています。

たとえば、中国における先進的な働き方を調べるといった場合、上海や北京ではなく、深センなどの場所に限定してトライブリサーチするという方法も考えられます。

【SEEDATA ASIAにてリサーチをすることができるアジアの国や都市一覧】

東アジア地域:中国(北京、上海、杭州、深圳などの主な都市部)、台湾、香港、韓国

東南アジア地域:タイ(バンコク・チェンマイ)、インドネシア(ジャカルタ)、ミャンマー、カンボジア、ベトナム、シンガポール、マレーシア、フィリピンなど

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SEEDATAでは、独自に定義した先進的な消費者群(=トライブ)のリサーチを通じて、企業のイノベーション支援を行っています。

また、当記事に関するご質問、企業様からのアジアの共同リーサチの相談はinformation@seedata.jpまで、件名に『アジア共同リサーチについて』、御社名、ご担当者名をご記名いただき、お気軽にお問合せください。

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