今回ご紹介するアウトドアブランドのCOTOPAXI(コトパクシ)は、店舗を持たない代わりにQuestivalと呼ばれるビッグイベントをおこない、熱狂的なユーザーを増やしているDNVBです。
海外アウトドアブランドといえば、パタゴニア、ノースフェイスなどが世界的に有名ですが、「パタゴニアやノースフェイスに対抗しうる、唯一の新興アウトドアブランド」としてCOTOPAXIは注目を集めています。
CEO、Davis Smith(デイビス・スミス)は、幼少期をエクアドルで過ごし、難民問題に大きな関心を寄せるようになりました。
そこで、ブランド哲学に「GEAR FOR GOOD」を掲げ、ハイクオリティなアウトドアギアを通して世界の貧困を解決することを目指しています。
アウトドアファッションブランドであるCOTOPAXIは、そのカラフルなデザインも人気のひとつですが、徹底した生産者側へのリスペクトを持っていることも支持される理由といえるでしょう。
引用
「私たちは敬意を持って製品を縫う人を扱っています。当社の製品に触れる人が適切に扱われるようにするため、サプライヤーと協力して厳格な行動規範を遵守します」
生産者の個性を重要視し、フィリピンにある生産工場では、生産者自身が好きな色を組み合わせて作ることが可能です。彼は「職人たちが幸せであること、仕事を通して自信を持つことは、ブランドにとって重要なこと」だと言います。
また、COTOPAXIといえば有名なのはQuestivalという冒険(quest)と祭り(festival)の2つの言葉をかけあわせた大規模なイベントでしょう。
仲間とチームを組み、24時間にタスクをクリアするアドベンチャーレースにチャレンジをするQuestivalは、ミレニアルズの「ブランドをともに作りたい、経験したい」という欲求を満たし、同時に熱狂的なファンたちがSNSで「宣伝」の役割も果たしてくれるため、まさにDNVBらしい広がり方をしています。
Questivalの参加費は35ドル(約3850円)。チケットとともにもらえるCOTOPAXIのバックパックを持って冒険がスタートします。チャレンジ内容には100以上のリストがあり「スープキッチンでボランティア」「山登り」「川下り」など実にユニークなものばかり。
このチャレンジを自撮りした様子が随時Instagramに投稿されて採点されるため、ユーザーはより楽しく、クリエイティブであろうと奮闘します。
さらに彼らが62年保障をうたっているのは、製品に対する圧倒的な自信と、長く大切にしてもらいたいという哲学の現れにほかなりません。
これまでの記事でもご紹介してきたとおり、人気のDNVBは利益追求だけでなく、サスティナブルな社会を目指すという大義を持っていましたが、COTOPAXIは慈善団体を持つだけではなく、難民を自社工場に雇用するなど、さらに踏み込んだ支援をおこなっているのも特徴のひとつです。
楽しいことと慈善を組み合わせ、ユーザーが消費活動を通じ慈善に貢献しているように感じられるよう設計したのがCOTOPAXIの成功の鍵といえるでしょう。