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SEEDATA
公開日:2020.07.15/ 更新日:2021.06.09

アフターコロナ(afterCOVID)

【7/15更新】アフター(orウイズ)コロナ時代のヒントになるニュースクリップ5選

今回は、美容(化粧品、ヘアケア)に関する生活者の行動や、企業の取り組みの変化をご紹介していきます。美容カテゴリに限らず、日用品やセルフケアにかかわる商材を扱っている方や、店頭販売からECへの強化を考えている方などに参考にしていただけるような、これからの販売方法・顧客体験のヒントを示唆していきます。

1.プロ専売品のホームユース化が進み、プロ仕様のケアを誰でも再現できるようになる

外出自粛期間中に美容院に行くことができず、「色落ちしてしまった髪をセルフで染めたい、けれど失敗が不安」という悩みがあちこちで見聞きされました。そんな中で一気に注目を浴びたのが、ヘアカラーのD2Cサービス「COLORIS」です。

市販薬は誰でも簡単に染められるように設計されているため、必要以上にキューティクルが開いてしまうことで髪や頭皮のダメージに繋がりますが、COLORISでは、カウンセリング結果に基づいて薬剤の量や強さを調整してご提供するため、ダメージが最小限に抑えられ、キレイな発色が長持ちします。

<出典>https://www.coloris.shop/

COLORISが実施するWebアンケートに基づいたヘアカラー剤の調合は、通常はサロンで美容師が行っている作業であり、この調合の過程を経ることで、ユーザーの髪質に合わせた仕上がりと、ダメージの軽減が実現し、失敗の不安を軽減してセルフカラーを行うことができます。(さらに、ヘアカラー剤はサロン向けのOEMメーカーで製造されています)
実際にCOLORISを利用した人たちのレビューでは、「市販のヘアカラー剤よりも高価(約5000円)だけど、サロンに行くよりも安い」という意見がみられました。これは、本来であれば時間とお金をかけてサロンに通っていたのと同じ品質のヘアカラーを、自宅で、かつ初心者でも手軽に再現できることへの高い満足の表れといえるでしょう。
これまでのセルフカラーは、どちらかといえば仕上がりのクオリティや髪へのダメージにこだわりのない人がメインターゲットでしたが、このようなサービスが登場したことで、今後はこだわりの強い人もあえてセルフカラーをおこなうように変化していくのではないでしょうか。

「美容室に行けない」という状況は徐々に解消されつつあるものの、これを機に、「プロが使用している商品を、初心者が簡単に扱えるようになる」という体験への期待は高まっていくと考えられます。

サロン向けヘアケア大手のミルボンも、美容室を通じて、一般顧客にサロン専売品を販売できるECを新たにリリースしました。

高品質の自宅ケアがより普及していくことで、美容へのこだわりが強い生活者の間にも「サロンに行くか、自宅で行うか」という選択肢がいっそう広まっていくかもしれません。

2.オンラインでプロが教える、バーチャル接客体験の拡大

百貨店のコスメカウンター閉鎖によって、従来のようにBA(ビューティアドバイザー)に化粧品選びの相談を行うことができなくなり、その状況は今もなお続いています。

このような状況を受けて、コスメブランド各社が、ZOOMやInstagramのライブ配信(インスタライブ)を用いたオンライン配信に力を入れています。

たとえばM・A・Cでは、メイクアップアーティストがインスタライブでメイクアップの実演を行い、配信を機に実際に化粧品を買ってみたという生活者も現れています。

プロモーションの主軸はデジタルに 体験に代わるデジタルコンテンツが鍵

こうした生活者の反応から、オンラインならではの「憧れのプロが教えてくれる体験」そして「商品の機能だけでなく、メイクの方法までわかりやすく学べる体験」が、化粧品の購買を後押ししていることが伺えます。

このようなオンライン配信を用いた施策には、CLARINS、GLOSSIERといった有名海外ブランドも積極的に取り組んでいます。中には店舗スタッフや専門家とビデオチャットで直接話すことができる、バーチャル対面方式を採用している企業もあるようです。

新型コロナで加速する「デジタル・カウンセリング」、海外化粧品ブランドの事例

これまでのECの購入体験には、「自分に合うかどうかわからない」「使いこなし方がわからない」といった不安がつきものでした。しかし、このように専門的な知識を持ったプロが、オンラインで商品や使い方について教えてくれる体験を提供することで、店舗に気軽に行くことのできない人々(対面接客が苦手、近隣に店舗のない地域に住んでいる、自宅で子どもの世話をしているなど)も、より気軽に購買を行えるようになっていくのではないでしょうか。

3.ほしいときにいつでも手に入る、買いやすさ優先の購買意識の高まり

同じく、店頭接客が行えない化粧品販売についての事例をご紹介します。

これまで通販を行わず、店頭接客による販売を行ってきたアルビオンが、5月いっぱいの期間限定で通販を実施したことが話題を呼びました。

これまで同ブランドでは、店頭接客で丁寧にカウンセリングを行うことが、ブランドに対する信頼や購買への安心感につながるとされてきました。しかし、いつでも店舗に行けるわけではないという制約が生まれたことで、「いつも使っているものが買えなくなる」という不安を感じた人も多いのではないでしょうか。

実際に消費者からは「今後も通販を続けてほしい」という声が上がっており、「店舗に行かなければ購入できない」ことは、信頼感以上に義憤の種となってしまいます。

アルビオンのような基礎化粧品をはじめ、自分に合ったものを毎日使い続けるといったカテゴリーでは、「必要なときにいつでも買える」という買いやすさへの期待がいっそう高まっていると予想されます。

 

その示唆として、コンビニ・ドラッグストアなどで手軽に購入できる化粧品への再注目が伺えます。これまで関心を向けていなかったドラッグストア商品に対しても、「どこでも気軽に買えて、しかも品質もよかった」という気づきが生まれているようです。

商品の機能だけで比較をすれば、これらのプチプラ商品よりも、百貨店などの店頭で接客を受けながら購入するハイブランド商品が勝る場合も多いでしょう。しかし、「高品質だが買いにくい」商品と「品質はそこそこだが買いやすい」商品があったとき、今後は品質だけでなく、買いやすさによって商品選択を行っていく生活者が増えていくことも予想されます。

 

なかなか買い物に行けないから、久しぶりにコンビニコスメをチェックしたらけっこう使えるアイテムが増えていたの。例えばファミリーマートの「カネボウメディア(KANEBO MEDIA)」の口紅。ファミマ限定の「チューリップレッド」は春らしいカラーで顔色もぱっと明るくなるの。ローソン限定の資生堂の「インテグレート(INTEGRATE)」のミニサイズマスカラも使いやすいサイズで優秀だった。

<出典>こんなときだから、子どもも一緒に楽しみながらビューティチャレンジ 働くママのざっくばらん“本音”トークVol.6 ビューティー編

https://www.wwdjapan.com/articles/1081096?utm_source=twitter_wwdjapan_official&utm_medium=social&utm_campaign=1081096&utm_content=tw202006031320

4.見せるためではなく、自分の気分を上げるための美容行動の登場

次にご紹介するのは、在宅勤務中に香水を楽しむ生活者の事例です。

一見、外出機会の減少で出番がなくなりそうな香水ですが、仕事中の気分転換や、周囲を気にせずに好きな香りを身にまとえるといったメリットから、かえって利用が進む場合もあるようです。

香水の利用シーンの変化の兆しは、海外でも見られています。

オンラインで香水を購入することを厭わない顧客が増えるとともに、彼らが欲しいと思う香りも変わってきている。香料メーカージボダン(Givaudan)のリサーチによると、アメリカとフランスにおける18歳から65歳の女性300人に行った調査で、コロナウイルス前であれば顕著であった「セクシー」「魅力」といった要素よりも「気が落ち着く」「リラックス」といった香水を欲しがる購買客が増えていることがわかった。

<出典>香水ブランドは、いかに 新しい生活様式 へ適応してるか?

https://digiday.jp/brands/fragrance-brands-accelerate-digital-to-address-customer-behavior-changes/

この背景には、長引く自宅生活によるストレスや先行きの見えない不安から、リラックスを強く求める傾向が伺えます。同じく海外では、リラックス作用のあるCBDを含んだ製品や、香水ブランドのホームフレグランスやキャンドルの販売が急増しているといいます。

経済や安全に関する情勢がめまぐるしく変化していくことや、在宅勤務によって場所を変えて気分転換を行うことが難しくなっていることなどから、好きな香りやリラックスできる香りを身にまとうことでいつでも自分の心を整えたり、仕事のモチベーションを高めたりといった行動が増えているのでしょう。

こうした変化によって、香水をはじめ、たとえばリップの色、着る服などに関しても、「周囲からよく見られるためのおしゃれ」ではなく、「ストレスを軽減し、自分の気分を良好にコントロールするためのおしゃれ」というニーズが高まっていくと予想されます。着心地や風通しのよさによって心地よく働けるワークウェアや、朝に仕事のスイッチを切り替えるような爽快感を伴うスキンケアなど、毎日ふれるもので自然と自分の気分を高められるような習慣への期待が高まります。

5.在宅期間を活用して新たなメイクや服装を試してみる、自己探索美容の登場

最後に、先の事例と同様、在宅生活ならではの新たな習慣の兆しをご紹介します。

毎日外に出て人に会う生活をしていると、突然メイクを変えて失敗してしまったり、個性的な服装をしたりすることは憚られ、失敗のない同じ習慣を続けることに意識が向きがちです。

しかし、今後も在宅勤務を取り入れながら働く人が増えていく中で、人目を気にせずに過ごせる日が以前より増えると予想されます。そこで、在宅勤務の日に新しいメイク方法を試して似合うかどうかを研究したり、人と会わない数日間でプチ整形を行ったりするなど、失敗を恐れることなく、これまで出会ったことのない自分を追求する習慣を行いやすくなっていくと考えられます。女性だけでなく男性も、在宅勤務日に気になっていたネイルにトライしてみたりといった身だしなみの変化により取り組みやすくなるかもしれません。

今回ご紹介したコロナクリップのまとめは、コロナウイルスの影響により、ひとりひとりの生活者行動の変化や新しく登場した商品・サービスをサマリーし、50~100ほどにまとめたものの一部です。

コロナの影響により現在はSEEDATAもリモートでの活動となっているため、リサーチもインタビューもオンラインでおこなうことが可能です。

業界別ごとにクイックに調べることはもちろん、簡単なレポートから本格的なビジネスモデル、商品開発に影響するカスタムレポートまで幅広く対応していますので、タイトルに「アフターコロナ時代のリサーチについて」と記載の上、makiko.kato@seedata.jp まで、お気軽にお問い合わせください。

 

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