はじめに~トライブレポートとは
SEEDATAは今後増えていくであろう考え方や行動を示している先進的な消費者グループ=「トライブ」を独自のリサーチによって発見、定義し、調査した結果をレポートにまとめています。
トライブ・リサーチから得られた知見を通じて、推進される企業のイノベーション活動を「トライブ・ドリブン・イノベーション」または「トライブ・マーケティング」と総称し、コンサルティング、支援を行っています。
トライブレポートの詳細と読み方については、こちらの記事をご一読いただければ幸いです。
コミュニティビジネスにはユーザー側とサービス側の間に立つ人間が不可欠
インターネットの普及は人びとの生活を大きく変えましたが、その大きな変化のひとつにそれまで一握りの人にしかできなかったレビューが、すべての人にできるようになったことが挙げられます。
これまで評論家の専売特許だったレビュー。インターネット上でその権利が広く開放されたことで、我々が何かを選択する際に参照できる情報は劇的に増えたといえるでしょう。
レビューと一言でいっても不動産、映画、商品、グルメなどさまざまなジャンルがありますが、とくにグルメ系などでは顕著な傾向として、ヘビーユーザーがライトユーザーに影響を与えているという現象がみられます。
ヘビーユーザーとして熱心にレビューを書き続け、他のユーザーの間で評価されるようになったのが「カリスマレビュアー」です。彼らは膨大な質量の文章を書き続けて他ユーザーから信頼を得て、それをモチベーションにさらなるレビューを書き、評価され…というサイクルを繰り返しています。
彼らの中には、小説家顔負けの独特な文体を手に入れた者や、インターネット外でも有識者と目されるようになった者も存在します。
このように、ユーザーがユーザー目線で口コミ、評論をして、多くの人に影響を与えることの未来や、レビューやヘビーユーザー活用の未来を洞察したのがカリスマレビュアーのレポート内容です。
とくにレビューサイトやCGMサイト、コミュニティを活用したインターネットサービスを作る際にはカリスマレビュアーは広く活用できるでしょう。
まず、ユーザーの中には普通のレビュアーとカリスマレビュアーが存在します。サービス開発者会社側にコミュニティーマネージャー、レビュー対象として店舗や料理があるという関係になっています。
今回はレビュアーの中でも有名人であったり、サービス開発側、起業側からヘビーユーザーとして認識されている人をカリスマレビュアーという風に定義しました。
会社のコミュニティマネージャーは、ユーザー側にいるようにみえますが、コミュニティを管理しています。
まず我々が注目したのはアメリカを中心に大人気の口コミサイトのyelpです。
yelpは人々とさまざまなローカルビジネスを繋げることを目的に作られたWebサービスです。レストランだけでなく、観光施設や、地域にある病院にもレビューを書くことが可能で、住所を持つ場所なら何にでもレビューをすることが出来ます。
日本でも東京・大阪・福岡で月2~3回オフラインでのイベントを実施し、ローカルビジネスと人々をつなげる役割も果たしています。
また、口コミサイトで重要視されるのは、レビューの信用度と透明性です。安心して使ってもらうためには、レビュアーも実名を名乗ることが必要とされていると考えられます。レビュアーとの信頼関係が築けることで、レビュアーの影響力は強くなり、人気レビュアーが、店や場所のトレンドを生み出す発信力を持つようになっていくでしょう。
yelpは日本ではまだそこまで広がっていませんが、日本の口コミサイトとして有名な食べログなどとは違い、ローカル(地元)とつながっているという特徴があります。
カリスマレビュアーのセグメントは、アプローチというより動機の違いで3つに分類しています。
自己ブランディングレビュアー
自己PR、自分をブランディングしたい人。
自分の世界観を大切にしていて、実名ではなく芸名を使っていたりする。
応援レビュアー
お店紹介することを目的としている人。
「このお店に行ってほしい」という思いがあるので、ユーザーがお店に行きたくなるような書き方を意識している。
ネットワーキングレビュアー
レビューを通じて人と交流したりつながりたい人。Yelpの利用者はこれにあたる。
自己ブランディングレビュアーで、1日2スイーツの生活を9年続けているというスイーツブロガーのあまいけいき氏は、スイーツについてのブログを書くことはもはや自分の「生きている証」になっているともいい、読者がお店を選ぶ理由のひとつに自分たちがいると認識しているそうです。
また、YouTubeで有名店の裏メニューレビューを行う「裏メニュー.com」運営のだるるんさんは、「レビューは有名になるための手っ取り早い手段」と考えています。
彼に限らず、レビューを有名人になるためのアプローチとして捉えているのは自己ブランディングレビュアーの特徴でもあります。
yelpの方の調査で興味深かったのは「社員からの信頼性が支えになっている」という発言です。コミュニティマネージャーはユーザーと社員の中間的な位置づけとして存在していますが、今後コミュニティビジネスをやっていく際は、こういった存在をいかに作るかが重要なポイントになっていくでしょう。
これまでのコミュニティデザインは人を多く集めてそこからカリスマ的な人やリーダーになる人を見つけるという方法が主流でしたが、これからは中心になる人(コミッター)を先に小さく作るほうが有効といえるでしょう。
繰り返しになりますが、サービス系やコミュニティ系の新規事業を立ち上げていく際には、
サービス側とユーザー側の間に立つユーザーという人たちを作っていくことがもっとも重要です。
yelpの例にもあるように、POCやPOBなどであてていった初期ユーザーの中のいちばん濃い人をカリスマユーザー的に立て、チームの一員に入れていくべきなのです。実際に最近のIT企業などでは、有名なヘビーユーザーをカスタマーサポートにしている事例もあるように、外部と内部の目線を持つ人がいることが求められています。
今後、プロフェッショナルな役割としてコミュニティマネージャーという職種がどこの会社でも必要になっていきます。
たとえばクラウドソーシングのサイトでも、クラウドワーカーのコミュニティマネージャーがオフラインでミーティングをしたり、コミュニティマネージャーという、社員でもありヘビーユーザーでもある人たちをいかに作っていくかは、UX以上に大事になっていくでしょう。
カリスマレビュアーのレポートには、このほかにもレビューやマッチングなどコミュニティデザインのヒントがつまっています。
記事ではこれ以上はご紹介できませんが、ほかにもトライブレポートにはおもしろい機会領域が数多く掲載されているため、お問い合わせの際は、まずは気になるトライブレポート名と「〇〇ビジネスをやっています」ということをお伝えしていただければ、我々がトライブレポートをもとにビジネスアイデアをいくつかご提案し、コンサルティングさせていただきます。
あとは皆さんの会社がすでに持っているリソースと掛け合わせて、新規事業の場合はビジネスモデルを変える、または新商品・新サービスを生み出すなど、それぞれの課題に対応いたします。
たとえば、新商品を作りたいという会社の場合、SEEDATAが提携している会社とこのトライブが世の中に何万人いるかを調査し、その人たちにテストマーケティングしてみて伸ばしていくことも可能です。また、サービス開発の場合もプロトタイプを作ることができますし、ビジネスモデルの場合でも、ビジネスモデルに関する検証された知識を手に入れるPoB(Proof of Business)のプロセスに入ることも可能です。
SEEDATAへのお問合せはこちらから(コンタクトフォームに移動します)。
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