Written by
宮井 弘之
代表・ファウンダー

【トライブレポート紹介23】マッチング・シェア系サービス開発・新規事業アイデアのヒント(シャリオ(捨離男))

はじめに~トライブレポートとは

SEEDATAは今後増えていくであろう考え方や行動を示している先進的な消費者グループ=「トライブ」を独自のリサーチによって発見、定義し、調査した結果をレポートにまとめています。

トライブ・リサーチから得られた知見を通じて、推進される企業のイノベーション活動を「トライブ・ドリブン・イノベーション」または「トライブ・マーケティング」と総称し、コンサルティング、支援を行っています。

トライブレポートの詳細と読み方については、こちらの記事をご一読いただければ幸いです。

トライブレポートの読み方

廃棄もするが購入も頻繁に行う人びと

生活に必要最低限なモノのみを確保し、それ以外は積極的に捨てることで、快適な環境や生活を持続させることを目指す考え方を持つ人が増えています。やましたひでこ氏の「断捨離」やこんまりこと近藤麻理恵氏の「人生がときめく片づけの魔法」など、「捨てる」思想が女性の間で話題になり、すっかり定着しています。この波は男性にも及び、もはや性別を問わず、「捨てる」ことは重要なキーワードの一つとなっています。

ただし、断捨離はどちらかというと「捨てなければならないから捨てていたら気分がよくなった」という話で、ポジティブな前提で捨てるという話ではありません。

また、断捨離に類似する概念として、必要最低限のモノのみで暮らす「ミニマリスト」への注目も高まっていますが、積極的に捨てるというところまではいっていませんでした。この調査で特に注目しているのは、モノの購入自体を控えがちなミニマリストよりも、購入はするが同時に廃棄も頻繁に行う、モノを捨てることへの抵抗が薄れた存在の「シャリオ(捨離男)」です。

シャリオは断捨離やミニマリストよりもさらに先をいく概念を持ち、購入はするけど同時に廃棄もする、さらに循環をさせるような動きをとっています。

これまで、どちらかといえば男性はコレクターが多いという印象がありましたが、捨てる男性は今後も増えていくはずなので、彼らがモノを買う基準、捨てる基準、あるいは手元に残すモノの基準などを知ることは、現代人に向けた商品開発に大いに役立つことでしょう。

まず、シャリオの調査でみえてきた重要なポイントは、彼らはモノを購入する時よりも、捨てたり、売ったり、買った後の廃棄のプロセスのほうが大事という価値観を持っているという点で、捨てることにもはや喜びを感じているともいえます。

これはSEEDATAが調査したフューチャーショッパーにみられる「購入もするが返品する」という考え方にも似ています。単にモノを購入しない、または仕方なく捨ててすっきりするというような人たちよりも、購入しつつ廃棄や売却もするという人がこれから生み出していくであろう循環サイクルに着目しました。

シャリオを知る前に、まずミニマリストについておさらいしておきましょう。

ミニマリストとは必要最低限の生活用品だけで合理的に暮らす生き方です。2015年に佐々木典士氏の『僕たちにもうモノは必要ない』という本が出て話題となり、最近では、ライフハックスキルがネットでシェアされたり、モノを持たずに生活出来るロールモデルが生まれ始めて、このようなライフスタイルを誰もが志せるようになってきています。

また、断捨離の背景についても簡単にご紹介します。

断捨離が普及した大きな背景として

①フリマアプリの普及

②ECサイトの普及

があげられます。

フリマアプリは『メルカリ』などが有名ですが、従来のオークションサイトとは異なり、落札までの時間や金銭のやりとりの手間が軽減されたことが、普及の一助となっています。これにより、フリマアプリで不用品を手軽に売って小遣い稼ぎができるようになり、これまで不要になったモノを捨てるのにはどこか罪悪感があった人びとの「もったいない」という気持ちをうまく解消することに成功したといえるでしょう。

また、フリマアプリとECサイトを断捨離の規模感に合わせて使い分けているということも分かりました。ECサイト、フリマアプリの普及により「モノを手放しやすい」環境が構築されたことが断捨離を促進している要因といえるでしょう。

「捨てるということは終わりではない」というインサイト

断捨男は、「モノを捨てる」ことを積極的に捉えているという価値観が共通の人びと。そのうえで、アプローチやスタイルの違いで以下の3つのセグメントに分類しました。

シングルシャリオ

妻子がおらず個人の価値観のみで断捨離をしている人。

家庭妻子持ちシャリオ

家族と合意形成しながら断捨離している人。

合理的シャリオ

モノだけでなく、人間関係も含めて断捨離している人。

彼らを調査して分かった興味深いインサイトは「捨てるということは終わりではない」というものです。

たとえばシングルシャリオの方からは「捨てることは記憶することだ」という発言があり、普通モノを捨てると忘れてしまうという感覚がありますが、逆に歴史が構築していくと考え、捨てることに積極的に意味付けをしています。

彼は「服を捨てるときに今まで持っていた価値観も捨てる」といいます。捨てることで自分に必要なモノと不必要なモノがはっきりと分かる、自分でモノを選ぶ価値観がはっきりしてくるというのが、シャリオから得られたおもしろい価値観のひとつです。

また、合理的シャリオの方には、単に定期的にモノを捨てるのではなく、仕組み的に捉えて生活の中のあらゆるものを断捨離していこうという考えがありました。

たとえば、ある30代男性はすべてのモノを1軍、2軍とランクづけし、場所を決め、だんだん使わなくなったら二軍の場所に移動させ、「主力」や「戦力外」かを決めて捨てたり、友人にあげたりするなどして、新陳代謝させるといいます。

これは服や本、電化製品などに活用し、モノを循環させる一環として捨てているため、捨てる=新陳代謝なので、ネガティブなイメージはありません。

さらに、友人関係すらも単調になってくるとメンバーを入れ替え、あえて新しい友人関係を作るなどして循環させているといいます。

シャリオはミニマリストとは違い、積極的にモノは買うので部屋には意外とモノがあるというのも特徴といえるでしょう。

もう一人の合理的シャリオの方は、モノを売ったり引き取ってもらったりということを積極的に行っていますが、モノも本もクラウド上のデータも「断捨離に慣れ過ぎていてすぐ捨てるクセがついている」といいます。

一方、家庭妻子持ちシャリオの方は「断捨離は教育の一環である」といい、整理整頓や定置管理などの勉強という意味合いもあるといいます。

配偶者がいる場合はパートナーに確認をしながら捨てているという人もいました。

以上が簡単なシャリオの特徴になります。SEEDATAではシャリオから得られた考え方をさまざまなプランニングで活用しています。

売り買いを超えたクラウド質屋のデザイン

いくつかの消費スタイルを類型化しているトライブレポートの中でも、「クラウド型消費」というのは頻出するインサイトです。シャリオの場合、捨てるモノに対して循環や整理整頓などの意味合いを持たせているわけですが、クラウド型消費として注目すべきは「どこかに預けるつもり」というものです。

彼らは、実際捨ててはいるが預けているという感覚が強く、今後預けるサービスやメルカリのようなフリマサービスが普及するにつれ、このクラウド型消費はさらに広がっていくでしょう。

これはフューチャーショッパーなどを調査したときにも出てきた重要なインサイトで、シェアビジネスなどを考える際は、手放すのではなく、預けていると感じてもらえるようデザインすることで積極的に使ってもらうことができます。

もはや、捨てるという行動はクラウドに預けるのと同じ意味になってきていて、逆に「購入はしたがその後売ったらレンタルと同じ」というような考え方も存在します。このような消費インサイトはかなり多くの場面でみられるようになってきたといえるでしょう。

最後に、シャリオから得られた機会領域をひとつご紹介します。

クラウド質屋は、現在では実際にキャッシュサービスなども出て来ており、レポート作成当時我々が予想したものが実際に起こってきた例のひとつといえます。

たとえばネット上で自分が撮ったモノの写真を「これはいくらで売ることができる」と査定できるのがクラウド質屋です。質に入れて売ってしまってもいいし、買い戻すこともできるので、このようにオンライン上になると質屋に入れる感覚がもっと気軽になっていきます。ポイントは売り買いではなく、質屋なのでまさに担保にするという点です。

このほかにもシャリオのレポートには、シンプルな生活ということで、マンションや不動産系、クラウドでシェア系サービスをする方にとって参考になるインサイトがたくさん掲載されています。

記事ではこれ以上はご紹介できませんが、ほかにもトライブレポートにはおもしろい機会領域が数多く掲載されているため、お問い合わせの際は、まずは気になるトライブレポート名と「〇〇ビジネスをやっています」ということをお伝えしていただければ、我々がトライブレポートをもとにビジネスアイデアをいくつかご提案し、コンサルティングさせていただきます。

あとは皆さんの会社がすでに持っているリソースと掛け合わせて、新規事業の場合はビジネスモデルを変える、または新商品・新サービスを生み出すなど、それぞれの課題に対応いたします。

たとえば、新商品を作りたいという会社の場合、SEEDATAが提携している会社とこのトライブが世の中に何万人いるかを調査し、その人たちにテストマーケティングしてみて伸ばしていくことも可能です。また、サービス開発の場合もプロトタイプを作ることができますし、ビジネスモデルの場合でも、ビジネスモデルに関する検証された知識を手に入れるPoB(Proof of Business)のプロセスに入ることも可能です。

SEEDATAへのお問合せはこちらから(コンタクトフォームに移動します)。

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