SEEDATAではDNVBについてこれまで数多くの記事で解説してきましたが、デジタル上だけでどのようにコアファンを獲得していくのか、哲学がどのようにユーザーに伝わっているのかを、実際の海外ユーザーに2時間程度ヒアリングするN1インタビューを実施しています。
類似サービスが数多く勃興していく中で、どのようなブランド設計にすべきかという着眼点で実施したインタビューレポートは、現在13ブランドに達しています。今回はこれまで調査をおこなった13ブランドとインタビュー対象者の特徴の一部をご紹介します。
また、カスタマージャーニーとインサイトについてはレポートの本編で分析しています。N1インタビューレポートは、ご希望の5ブランドをカスタマイズし販売していますので、ご希望の方はinfo@sd-g.jp までお問い合わせください。
※調査ブランドは今後も追加予定です。詳細についてはお問い合わせください。
Contents
①Away
1000人以上の旅行者の声を元に、充電バッテリーが内臓されていたり、洗濯物専用の収納袋や衣類を圧縮できる機能などがついたスーツケースを制作、販売している。生涯補償サービスつき。
スーツケースを売るためにリアル店舗でのサービスに注力。旅行関連のイベントを毎日のように開催し、旅行好きの来客数を増やしたり、旅行好きのための紙雑誌「Here」を発行するなどして自社ブランドの哲学やビジョンを伝えている。サービスを通じてブランドと生活者の距離をいかに近づけるか、ということに力を注いでいる。
(出典:https://seedata.jp/blog-dnvb-1605/)
Awayのブランド哲学は Getting Away means getting more out of every trip to come.
(Awayを手にすること=旅をすることは、これからの旅で多くの経験を得ることができる)
Awayの特徴はミレニアル世代をターゲットとし、彼らに向けて雑誌を発行し、旅行を単に目的地紹介ではなく、現地人はどう楽しんでいるかなど旅行のスタイルを提案している点。最初に数量限定の雑誌を発行し、その本を買った人だけがスーツケースを買える仕組みを作り、哲学に共感し、旅行が好きなコアファンを獲得している。
インタビュー対象者①:シカゴの32歳女性
もともと持ってたスーツケースが壊れたことをきっかけに、これまでの女性用のスーツケースはデザインがかわいすぎたりピカピカしすぎて女性っぽすぎることから、広告で見かけたユニセックスなデザインに惹かれて購入。
インタビュー対象者②:29歳男性
もともと彼女が使っていて、一緒にどこか旅行に行く際スーツケースの使い方も雑だが壊れない頑丈なイメージがあった。かつ、充電機能があることに魅力を感じて購入。
②Casper
100日間返品無料という手厚い保証つきで、消費者の購入ハードルを下げ、オンラインのみでマットレスを販売を実現した。
リアル店舗ではCasperが販売しているマットレスで15分、30分、45分、90分のいずれかの仮眠体験ができる。
(出典:https://seedata.jp/blog-dnvb-1605/)
マットレスは値段が高いにも関わらず、買い方がよく分からず、どんなものを選べばいいのか分からない、運ぶのも大変という義憤から、リーズナブルな価格で、かつ試してから買えるよう返品制度を作ったことで支持されている。
マットレスはひとりで自転車で運ぶことが可能なコンパクトサイズにまで圧縮され、今までにないマットレスのパッケージングとその開封動画がネット上では話題となった。
Casperは単なるマットレスの会社ではなく、「ライフスタイルを提供する」ことを謳っており、現在は寝室用品以外に、自然に入眠できるライトや雑誌(テーマは食事、メンタルケアなど多岐にわたる)などにも販売し、運用している。
マットレスは「誰かに話したくなる」ということがあまりない商品で、話題になりづらいため、トラックを改造しカプセルホテルのように誰でも昼寝できるイベントを全米で開催。待ち時間にディスカッションができる場も提供したことでコミュニティが生まれた。
また、セールデーにはクルーズ船を借り、船上マットレスパーティーも開催し、寝室だけに留まらない異なるマットレス体験を提供し、話題となっている。
インタビュー対象者:34歳女性
病院勤務で激務のためマットレスにこだわりがあるが、これまで何度も高額なものを購入しては失敗したり、壊れてしまったりしてきたため、本当によいマットレスを買いたいという思いがあった。きっかけはラジオでキャスパーのポップアップ店舗が地元に来ることを知り、実店舗で試し比較。店員がずっとつく接客ではなく、マットレスひとつずつが個室に設置され、ナイトスタンドなども置かれた空間で気楽に試すことができたことで購入を決めた。
➂Cotopaxi
店舗を持たない代わりにQuestivalと呼ばれる体験型アドベンチャーイベントをおこない、熱狂的なユーザーを増やしているアウトドアブランド。
Questivalは冒険(quest)と祭り(festival)の2つの言葉をかけあわせた造語。仲間とチームを組み、24時間にタスクをクリアするアドベンチャーレースにチャレンジをする。このイベントがミレニアルズの「ブランドをともに作りたい、経験したい」という欲求を満たし、同時に熱狂的なファンたちがSNSで「宣伝」の役割も果たしている。
(出典:https://seedata.jp/blog-dnvb-1605/)
インタビュー対象者:24歳男性
大学生である対象者はCotopaxi創業者が同じ大学出身であることからQuestivalに興味を持ち友だちと参加。イベントが楽しかったことから参加後は商品を購入するようになった。
デザインのパターンがあるわけではなく、フィリピンの工場で現地の人のセンスで色を組み合わせているため、世の中にひとつしか存在しないという点に魅力を感じた。
④curology
ニキビを治すための適切なケアを提供するために皮膚科医が作ったブランド。
アメリカでは皮膚科医の数が極端に少ない、受診しても処方箋が高すぎて買えないという問題があり、「富裕層しかニキビ治療ができないのはおかしい。スキンケアは贅沢な商品ではないはず」という義憤からブランドを立ち上げた。
中間マージンをはぶき、セルフィーによるオンライン受診で処方箋を作り、自社で生産したローションと保湿がカスタマイズされ、有効成分入りクレンジングとともに届けられる。ローションは初回は送料のみで試すことが可能。購入前にはクローズドなグループに申請を行い、そこに多くの人のビフォーアフターが掲載されている。
インタビュー対象者:22歳女性
10代からずっと赤みやニキビに悩み続けさまざまな商品を使ったがまったく改善されなかったが、皮膚科医には行きたいとすら思わなかった。
同じような肌トラブルを抱えた友人の肌がきれいになっていたため友だちからcurologyのfacebook groupに入会したのがきっかけだった。before&afterの写真が公開され、使用効果が嘘偽りのなく確認できるため、トライアルセットを申し込んだ。
⑤Haus
「オーガニックな食品はたくさんあるのに何故ヘルシーなアルコールはないのか」という義憤から生まれたワイン。「市販のアルコールは基準が何十年も変わっておらず、メーカーはアルコールの成分をすべて公開していないのはおかしい」と感じたことから、全てオーガニックのワインブランドを作った。
コストをおさえるために安い原料を使うと度数が高くなり、その場は楽しめるが二日酔いがひどくなってしまうことを解決した。
インタビュー対象者:23歳女性
ワインセラーの試飲にいくほどワインが好きだが、飲みすぎると二日酔いがひどいことに悩んでいたとき、Facebookで「酔わないワイン」と見かけて興味がわいた。
Hausすべて自社農園で栽培し、オーガニック発酵をしているため、アルコール度数が低く酔うことがない。
⑥DirtyLemon
ショートメッセージで購入できるヘルシードリンク。肌のため、睡眠、デトックスなどさまざなシリーズを展開。
ターゲットはミレニアル世代の女性。Iヘルシー飲料のブランドにも関わらず、instagramではヘルシーではなくむしろジャンクな料理の写真をたくさん掲載しているのが特徴。おいしいものを好きなタイミングで好きなだけ食べた後に、DirtyLemonを飲むことで罪悪感を消すことを表現している。「食事のすべてをヘルシーにしなければいけない」という強迫観念から解放し「好きなものを食べていい」というメッセージを伝えている。
インタビュー対象者:31歳女性
普段から健康意識が強くコンブチャなどを飲んでおり、自分の体をメンテナンスするために購入。
飲むと1時間ジョギングしたような気分になれるが、一本1000円ほどするため、毎日飲むものではないと考え、月に一度だけ使用している。
➆equalparts
料理の習慣化を支援するためのコーチングサービスつきキッチンウエアブランド
インタビュー対象者:40歳女性
これまでずっと外食生活でもっと健康的な生活をしたいと考えていたが、料理の作り方が分からないという課題があった。ルームメイトが使っていたことがきっかけとなり、さまざまな料理の作り方を教えてくれたので使い続けることができ、料理は自分の健康への投資だと捉えている。
equalpartsのキッチンウエアは焦げにくく、レシピも素材を切っていれるだけというシンプルさで、洗い物も簡単だったことが気に入ったポイント。現代のアメリカのミレニアル世代は、忙しすぎるなどの理由から、料理へのハードルが高すぎてなかなか手が出せないでいるが、equalpartsのコーチングサービスは料理に対する質問になんでも答えてくれ、おしゃれな料理ではなく、冷蔵庫の中にあるもので家庭向きな料理を作ることができる。料理自体のハードルを下げ、料理の時間だけでなく、食事の時間は楽しいものだと教えてくれた。
⑧flamingo
女性用シェービング。男性用シェービングのハリスの女性版。
ハリスの女性スタッフたちが、自社のシェーバーを女性も使っていることに気が付いたことから、女性のニーズに合わせた女性版製品を作った。シェービングは親しい中でもなかなか堂々と話すことはできないデリケートな問題なので、Instagramのストーリーでブランド側がシェービングのコツなどを投稿している。そこでシェアされたり情報収集をしたりすることでコミュニティが広がっていった。
インタビュー対象者:26歳女性
Function of Beautyで働く対象者の友人がフラミンゴに勤務していたことがきっかけ。
鳥のフラミンゴのような姿勢で毛を剃る女性のロゴに、リアルな中にもブランドのメッセージが込められていることを感じ好感を持った。
➈Function of Beauty
ひとりひとりの髪の悩みや髪質に合わせて、パーソナライズされたシャンプーを提供していくべきという考えから生まれたパーソナライズシャンプーの先駆者。54兆通りもの中から、パーソナライズされたシャンプーボトルには「Function of 〇〇(ユーザー名)」と刻印され、ユーザーは「自分のために作られた商品」だと感じることができ、嬉しさにつながっている。
インタビュー対象者:23歳女性
地下鉄の広告で知ったデザインに惹かれ購入。カスタマイズのためのクイズは「あなたの頭皮はどんなタイプ?」などすごく答えにくい質問が多く難しかったが、それがあえて自分のことを深く考えてくれているように感じた。
また、髪を染めていて色の維持も重要視しているが、シャンプーとともに届いた使用ガイドで色落ちしない洗い方についても書かれていたため、商品のパーソナライズだけではなく、理想の髪スタイルやケアまでパーソナライズしてくれていると感じている。
➉GLOSSIER
消費者に商品をダイレクトに届けるだけではなく、ブランド自体をコンシューマーと一緒に作っていくものと考え、「with consumer」という言葉を掲げているとおり、SNSを活用して消費者の意見を多く取り入れているコスメブランド。
Instagramではユーザー側からの問いに対する返信はもちろん、ストーリーを活用して「新しい製品の色」に関するアンケートなど顧客と積極的にインタラクションをおこなっている。Glossierの売り上げの90%はInstagramのファンからのものとされている。
(出典:https://seedata.jp/blog-dnvb-1605/)
もともとBEAUTY雑誌の編集だった創業者が、有名人のクローゼットやスキンケア、入浴剤などをインタビューした情報をブログで発信し、そこに商品がない状態でも女性たちの関心が集まってた。哲学は「Skincare first,Makeup second」。
インタビュー対象者:25歳前後の3人の女性
対象者は、創業者が1日の様子をYouTubeで配信し、GLOSSIER以外のコスメブランドも合わせて使っているのを見て、GLOSSIERはほかのブランドコスメとの相性もいいことや、自社の商品を押し付けているわけではないことに好感を感じ、自分の中の美を引き出すためにはどんなものを使えばいいか知ることができたという。
厚化粧ではなく努力をおさえてきれいな美を引き出すことが特徴で、「effortless cool(努力しすぎないことがいい)」とファンは解釈している。
⑪LOLA
ナプキン、タンポンを初め、生理痛を緩和するオイル、サニタリーショーツ、初めて生理がきた女性向けの生理グッズセット、コンドームなどを、好みに合わせて必要な量だけアラカルトで選ぶことができるサービス。
従来のサブスクリプションサービスのように定額料金を支払う必要はなく、購入分だけ支払えばよいことも特徴のひとつ。
また、「生理についてもっとオープンに語りたい」「ナプキンをバッグなしで持ち歩きたい」「ナプキンの税金を廃止させよう」といった意見を語り合うコミュニティがあり、女性のQOL向上を目指すD2Cブランドとして支持されている。
(出典:https://seedata.jp/blog-dnvb-1605/)
今まで市販のコットンの原料は不透明で、女性の生理用品の成分は公開しなくていいことになっていたが、いちばんデリケートな部分に触れるものなのに成分開示しなくていいことに義憤を感じたことから、安心して使えるものを作ろうと立ち上げたブランド。
哲学は「for women by women」。生理だけでなく妊活やセックストイなどセックスの話題もブログで配信している。より女性が生きやすい社会を作っていきたいという思いの元に今まで誰かに話しづらかったオーガニズムの話しをホットラインを通じて有名人やインフルエンサーのトークを視聴しながら質問などができるようなイベントも開催。
インタビュー対象者:29歳女性
商品の原料はすべてオーガニックであることが売りで、一般的な生理用品より少し割高なため、対象者は友人とシェアし、ナプキンだけでなくコンドームも作っていることに共感している。
⑫quip
電動歯ブラシのサブスクリプションサービス。
通常の電動歯ブラシは充電型が多いがquip電池型のため、充電台が邪魔にならず、持ち運びの不便さを解消し、旅行や出張など家以外でも健康習慣が続けられる。3カ月に一度、電池、ヘッドと歯磨き粉が届くので電池切れの心配もないことがポイント。
quipは口内を4つのパーツに分け、各パーツを30秒間磨くとポーズし、合計2分で歯磨きが終わる仕組み。これまでの電動歯ブラシは本当にきれいに洗えているとわからなかったが、簡単な仕組みを提供することで健康習慣を保つことを実現している。2回目以降は袋でポスト投函されるため、ユーザーの受け取りの手間も少ない。
インタビュー対象者:44歳女性
対象者は子供と一緒に使っている女性。アメリカでは歯に対する意識は高いが歯磨きはめんどくさいと感じていたがquipの簡単な仕組みが気に入っている。
⑬Ritual
透明なカプセル容器にすることで、中にどんな原料が入っているかが分かる透明性が表現した「サプリメントに懐疑的な人のためのサプリメント」。RitualのCEO自身がサプリメントの効果に懐疑的だったことから「自分に効果があった商品だけを売る」という哲学を持ち、その哲学に共感した生活者が購入している。
(出典:https://seedata.jp/blog-dnvb-1856/)
RitualのCEOは「これまでのサプリにはさまざまな成分が入りすぎていて、そもそも必要のないものを飲まされていたのではないか」ということを訴え、Ritualは本当に必要なたった14の成分のみしか入っていないことを、透明なカプセルが示している。
さらに、材料の原産国、工場も明らかにし、誰もが理解できるよう科学的エビデンスも分かりやすく示していることが重要。
インタビュー対象者:26歳女性
きっかけは、創業者がサプリについて語る動画がFacebookで流れてきたこと。なんとなく習慣でサプリを飲んでいたが、サプリの成分について考えていなかったことにショックを受け、購入するようになった。
今後追加予定のブランドは以下の通りです。
・WARBY PARKERワービーパーカー
・锦衣盒(JYH)
・完美日记(perfect diary)
・IPSY
・Everlane
・Peloton
・public goods
各ブランドのカスタマージャーニーとインサイトについてはレポートの本編で詳しく解説しています。N1インタビューレポートは、ご希望の5ブランドをカスタマイズし販売していますので、ご希望の方はinfo@sd-g.jp までお問い合わせください。